「小飼弾の論弾」で進行を務める、編集者の山路達也です。
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今回は、2020年11月10日(火)配信のテキストをお届けします。
次回は、2021年03月02日(火)20:00の配信です。
お楽しみに!
新刊『小飼弾の超訳「お金」理論』
「ブラック労働者」をやめましょう。「お金を増やさねばならない」思い込みを捨てましょう。働いたら負け。もう労働には価値はない。理想は、誰でも自由に生きて食べていける世の中。なのに、いつまでも「お金」に振り回されるのはなぜか―――。
『小飼弾の超訳「お金」理論』では、世界を動かしているお金の仕組みと、お金との付き合い方をやさしく解き明かします。
2020/11/10配信のハイライト
- Oculus Quest 2紹介と「mRNAワクチンは人工ウイルス」
- アメリカ大統領選についての雑感
- 民主主義とは何か、その成立までの歴史
- ルネサンスで発明された一番重要な物とは?
- 産業革命と奴隷と民主主義の関係について
Oculus Quest 2紹介と「mRNAワクチンは人工ウイルス」
山路:今日はタイトルが民主主義という超硬い……
小飼:はい、超硬いというのか、デカいというのか
山路:当然、アメリカ大統領選の話について……
小飼:これまでの放送では最大の主語ですね。なにせ主が民となってますから。「ふたりともマスクしないよなー」(コメント)と、見ての通り密ではないからね(笑)。
山路:まぁがっつりと硬い話、じつは硬くないのかもしれないけれども、歯ごたえのある話をするんで、最初に軽いところ行っときますかね。オープニングで遊んでたOculus Quest2……。
小飼:軽いって、けっこう、まぁまぁ重さはあるじゃん(笑)
山路:これ、ベルトって別売りのやつを買ったんですよ。標準で付いてるやつはこの布のやつで、これを付けることでひゅっとネジをするだけで、簡単にセットできるという。(Oculusの画面を見せながら)このボール飛んでるの見えますかね?
小飼:おお、切り替わった。
山路:こういうようなことが。つかんでと、打ったりとかが。
小飼:練習モードがあるわけですね。
山路:映っているのがアホみたいに見えるかもしれないんですが、けっこうな臨場感。
小飼:ちゃんと中継できるようになったのね。
スタッフ:達也さん画質どうですかって質問が。
山路:けっこういいですよ。もちろん4Kテレビみたいなわけにはいかないですけど、Netflixを見ても、そんなに荒いっていう感じじゃないですね。もちろんハイビジョンのいいテレビにはさすがにぜんぜんかなわないんですけども。こういう風なもの以外にも、もうちょっとゲームっぽいものも。
私がお気に入りと言うか、『Beat Saber』なんかは有名なんですけれども。たとえばこの、ピンボール、ただのピンボールなんですけれども。
小飼:で、山路さんはいつbanされるの?(笑)
山路:まだエロいこととか見たりとかもしてないし、大丈夫なんじゃないですかね(笑)。つかエロいことをしたらbanされるのかっていう。
小飼:もう一生脅迫されるとかね。
山路:あーFacebookだから侮れんですよね。この『Pinball FX2 VR』、これ本当にただのピンボールなんですけれども、これがエフェクトとかが全部画面の外にはみ出してくるわけなんですよね。
小飼:やっぱそこはあれだね、同時中継だとちょっとわからないところだね。
山路:今どんな画面、あ、そうか、これ難しいな、中継の画面を見ながらピンボールをプレイするのは相当難しいな。ま、こんな感じで遊んでますよという。私使ってるのがMacだから、PCのOculus Link使って高解像度のやるやつってまだ試してないんですよね。で、その辺りのところとか、もうちょっとガッツリやってみたいところなんですけれども。これ、今までのをOculus Goかに比べるとかなり解像度いいし、こういう別売りのストラップとか使うとサクッとはめられたりするので。
小飼:ところであれだね、山路さん眼鏡外してやってたね。
山路:いちおう、眼鏡用のスペーサーっていうのがついてるんですよ。
小飼:あーなるほど、認識したままでも。
山路:これをカチッとはめてやれば、眼鏡をつけた人でも。ただやっぱめんどくさいです、眼鏡つけると、多少は。
小飼:僕はメガネっ子なので……
「PS5もあるのに、出費がヤバい」(コメント)
山路:いやもうそこはコロナの給付金とかを使う……
小飼:明日には新しいMacが出てくるしね、まぁ買うかどうかは置いといて。
山路:今日の、今日ってかは日付超えて午前3時でしたっけ、なんかAppleシリコン搭載のMacが出るという。
小飼:そこまで確実なんだけど、One more thingってなんだろうね。
山路:いやAirTagが出て欲しいですねー。ずっと言って、1年ぐらい待ってるんですけど、この失くし物を見つけるタグ。
小飼:ほんと給付金、全然来ないね。
山路:じゃあ最初何から、コロナのワクチンの話から行きますか。
小飼:いきなりワクチンの話行きますか。
山路:民主主義にちょっと行く前に。
小飼:じつは繋がってるんだよね、今回は。
山路:ほんとですか。
小飼:うん。ワクチンの話も。なんでこの時期に出たのかという。
山路:はぁはぁ。BBCの方で出たニュース、まぁ公式の方でももう出てるんですけれども、接種した人と接種してない人のやつを半々で調査して、
小飼:要は効いたと。これの本当のニュースは効いたっていうことではなくて、仕組みなんですよね。どういうことかって言うと、今までのワクチンというのはウイルスの死体というの、死体っていう言葉はウイルスは生きてないっていう意見が今は定説なので、ちょっと不適切で、不活性なウイルスですね。か、あるいは要は病原性がすごい弱い、けども活性が残ってるウイルス、ポリオとかで使われてた生ワクチンとかっていうのはだからそれですね。
山路:今回のはmRNAワクチン。
小飼:そうです。RNAなんですよ。要は、RNAと、裸のRNAのままだと投与されてもすぐ分解されちゃうので、脂質で包んであると。それだけなんですよね。で、実際にはどうやってワクチンっていうのが効いてるかって言うと、人の免疫系を訓練するわけですよ。そう、表面がこういう形がしたやつが来たら、抗体を作れというような教育をするわけですよね。その抗体を見せる、提示するというのがワクチンの役割なんですけど、このワクチンはその抗体そのものは持ってません。その抗体を作る情報ですね、設計図を持ってると。だから実際に抗原を作るのは人細胞なんですよね。
別の言い方をすると、はっきり言って人工ウイルスなんですよね。単に人工ウイルスというだけでなくて、普通のウイルスを外に出てる状態のことをビリオンという言い方をしますけれども、何でウイルスはビリオンの形をとってるかって言うと、まず遺伝物質だけではDNAかRNAだけではすぐ分解されちゃいますよね。だから、これは容器に入れます。封筒という意味でエンベロープという風に言いますね。でも、それだと単に入ってるというだけで、細胞にくっつけません。だから細胞にくっつけるためのタンパク質の鍵みたいなのを持ってます。これをだからスパイクという、まぁトゲトゲですね。トゲですねって言ってますけれども、今回の発表曰く、学校のワクチンを投与するとヒトの細胞がスパイクタンパク質を作るようになる。それを見た免疫細胞というのが抗体を作るようになると。
山路:なんでしかし、そういうちょっとまどろっこしいことをするんですか?
小飼:一見まどろっこしいけれども、まずウイルスそのものを使うタイプのワクチンだと何らかの形でウイルスを不活性にするか、あるいは病原性というの弱めてやらなければいけないんです。その一方で、スパイクの形は同じでないと同じ抗体を作ってくれない。まずそこの部分っていうのが難しくて。ワクチンっていう言葉は、あるいはワクチンという言葉は牛の天然痘、牛痘(Variolae vaccinae)から来てたんですけど、それはすごい幸運な偶然で見つかったとも言えるんですよね。同じような抗体を作ってくれるような抗原を持ちつつ、天然痘よりもずっと病原性は低いというものがあったから、できたんです。
山路:ジェンナーは賭けに勝ったけど、たまたま賭けに勝ったみたいなところがあるわけですね。
小飼:ところが、このやり方だとRNA自体には病原性は全くないですよね。だけれども、そのRNAを何らかの形で細胞に突っ込んでやれば、細胞の方で作ってくれるわけです。だから設計図だけ渡すと。
山路:安全性が高そうという、上手くいけば。
小飼:ずっと安全性が高いけども、でも逆に言うと、さっきも言ったようなむき出しのmRNAなんてすぐ分解されちゃうわけですよ。で、どうしたかって言ったら、脂質の膜で包んだと。いや本当にそれだけ、そこが一番びっくりするところではあるんだよ。
山路:つもり今回そのワクチンに入ってるmRNAって、それぞれの細胞の核に入って、そこで組み込まれないといけないわけですよね。
小飼:そう、こんな簡単なやつが細胞に侵入して、タンパク質を作らせて、さらにそのタンパク質を外に出せるのかって言う。
山路:なんかすごい怖い応用もできそうな(笑)
小飼:うん、mRNAの中身を変えれば、けっこう怖い応用もできちゃうでしょうね。ソースコードさえあれば。
山路:へーっ、なんかしかし、そんなんでうまくいくんかいなと。弾さんが理路整然とした話を聞いてても、そんなにうまくいくのかいって素人でも思うような。
小飼:まぁでも組み換えた遺伝子とかを注入するのに、まぁたしかウイルスに入れてというのはよくやるんですよ。ちゃんとだから、そのためのウイルスをベクターっていう風に呼ぶというのも決まってるんですけど、誰か別のだからいちおうそこまで知ってる人に別の言い方をすると、こんな簡単なのでベクターになるのかっていう、そこですね。一番びっくりなところは。大腸菌に遺伝子を組み込む時とかっていうのは、本物のウイルスの中身を入れ替えるとか、そういうことをするんですよね。
山路:iPSの時とかも本当にすごい苦労してませんでした?
小飼:そうです、苦労してました。
山路:その脂質のところとかにまた技術があるのかもしれないですけどね。特許技術の
小飼:あともう一つは、せっかくそうやって確立された免疫というのも長持ちするのかと。今回のSARS-CoV-2のもう一つの特徴というのは、せっかく免疫になってもすぐそれが失われてしまうんではないかと。で、実際に再感染したという例も見つかってますからね。
山路:今回のファイザーのワクチンではT細胞とか、言ってみたら自然免疫のところも強化するみたいなことを売りにしてるみたいな。
小飼:でも、そこまで機序を調べてるのかなと。だから、今のところは統計的に効いてるんじゃね、ぐらいなんじゃないかな。
山路:機序っていうのはそういう作動、そういう原理っていうことですよね。
小飼:そうそう。こういう仕組みを期待して、実際にそういう仕組みになってましたっていうところまで調べたのかな。
山路:まだ本当に検査した人数とその割合みたいな事しか、なんか出てないんですよね。
小飼:そうなんですよ。まあ実際に治験に参加した人の数が4万3千人で、そこの部分というのは多いんですけれども。ですが、実際に感染した人というのが、要はコントロールと実際に本当に作った方の、プラシーボと両方合わせて93人。で、内、本当のワクチンの投与を受けた方の人という6人しか感染しなかったと。
山路:しかも、感染って言いますけど、それって普通に暮らしてての感染なわけですよね、今回の場合。
小飼:そうなんですよ。
山路:それこそウイルスをピュピュピュピュッて直に噴霧したとか、そんなんじゃないわけですよね。
小飼:さすがにそこまでの人体実験というのはまぁ少なくとも、ファイザーとえーと何だったっけ、ビオンテックか、つい英語読みしそうになるけど、ビオンテック。ではできないでしょうね、こういうこと言うとまた必要もないのにdisとか言われるかもしれないけど、中国ならそれくらいの実験は……まぁでもそう言ったら731部隊だったら絶対にやってるよな。だから、それであればnをもっと大きく取れるんだけど、だからまだ決定的なことを言うには要は感染者のnが少なすぎやしないかと。治験者総数の4万3千というのはnとしては充分大きいんだけれども。
だからワクチン治験っていうのはそこも難しいところなんですよね。普通の薬であれば、実際に既に病気を発症した人を母数として確保できるんだけれども。そうでない、ただの人も含めなければいけないので、ワクチンの場合は感染予防なので。そこも難しいところ。
山路:人間に近い動物でCOVID-19を同じように発症するのはいないんでしたっけ、完全に同じような
小飼:いやワクチン、さらにそこが難しいところで、免疫というのは特異性がものすごい高いですよね。下手すると、同じ人間でさえ、たとえばHLAの形が違ったら、こっちはうまくいってあっちがうまくいかないなんていうことがありえるわけですよ。だから動物実験でも確定的なことが言えないというところもやっぱり、ワクチンの辛いところで。
これが普通の薬であったら、もっと小さな分子ですよね。だから種の障壁というのはもっと小さいということが十分に期待できて、マウスで安全であれば人でもまぁうまくいくんじゃねって言えるんだけれども。これがもう免疫系を相手にするって言ったら、そんなこと全く言えない。下手すると、人種差にすら阻まれる可能性があるからね。
山路:あー、はぁはぁ。効いたか効かねえか、じゃあもうはっきりするのは本当に言ってしまえば、市販して効くかどうか、統計的に見るしかない。
山路:これ、影響でかかったじゃないですか、株価とかもすごい、たとえばファイザーの株価は上がったし。
小飼:笑ったのが、ZOOMの株価が
山路:17%下がったんですけど(笑)
小飼:ただなぁ、こう言うのもなんだけども、利益確定ってところもあったんでしょうな、まあちょっと上がりっぱな所があったので。
山路:それにしても今回のこのワクチン、開発を始めてからえらい早いですよねっていう。11月にもういちおう承認申請するわけじゃないですか。ファイザーとか。
小飼:でもえらい早い理由の一つというのは、じつはmRNAワクチンというのはずっと狙ってる人たちは少なからずいたんですよね。もしかしてこういうやり方ではワクチン作れるんじゃねと。
山路:それはCOVID-19に限らず?
小飼:そうそう。そこにもう、是が非でもすぐにでもっていう需要が生じたと。今回のCOVIDがなければ、本来では10年ぐらいかかるプロシージャというのを、思いっきし前倒しして。
山路:製薬会社としては、言ってしまえばもう市販を早くしちゃって、そこで言い方悪いけど人体実験できちゃうみたいな。
小飼:まあそういうことですね。すがるための藁をすぐにでも配りたいということになるでしょうね。
山路:後でも出てくる、今回のメインテーマにも出てくるトランプ大統領なんかは12月には配るみたいなことを言ってたりもしたわけですよね。大統領選前の前……
小飼:大統領選の前に配るって言ってたけど、それは間に合わなかったというのか、でもバイデンが勝利宣言を出した直後というのはやっぱり考えさせられるよね。この政権を避けたかったのかっていう。
山路:その製薬会社も、ちゃんと大統領選の結果が出てからにしようと思ったと。
小飼:ファイザー、連邦政府からお金もらってないんだよね。
山路:そうなんですか。トランプ大統領、ワクチンの会社にガンガン予算突っ込むみたいなこと言ってたように思ったんだけど。
小飼:そうそう、だからワープスピード計画というのがあったらしくて。要は連邦政府がガンガン支援するから、ガンガンワクチン開発してねというのがあったんだけど、それに乗ってないんですよね。まぁファイザーというのはすごい超優良企業なので、だから連邦政府から金もらわなくても開発できるというのあるんですけども、その一方で、ドイツ側のビオンテックの方はもうバッチシドイツ政府から金もらってるという(笑)。さすがにここまで見え透いてるとね。政府から独立たいんじゃなくって、トランプ政権から距離を置きたいっていうのが本音中の本音だったんでしょうね(笑)。
アメリカ大統領選についての雑感
山路:じゃあトランプの名前が出たところで、大統領選の話ちょっと行きますか。
小飼:はい
山路:今回、私トランプ勝ってもしょうがないかなと思ってたんですよ。
小飼:あーそういう人は少なくなかったね。
山路:べつにトランプを望むっていうんじゃなくって、またトランプが選ばれることはありえるんだろうなと覚悟してた。
小飼:というよりも、再選されるのがデフォなんですね。基本2期務められて。実はですね、その辺のルールというのもルーズベルトの時に変わったんです。ルーズベルトは最後に3期、ほぼ3期務めた、なんで「ほぼ」かって言うとだから3期目の途中で死んじゃったから。それでトルーマンになったんですけれども。
でもそれはさておき、基本的には2期しか務められないと。それで本当に国家の緊急事態がある時には、だから2年間の延長を認めますということだから、理論的に10年で、普通は8年。なんだけども、8年目の真ん中で選挙の洗礼を受けなければいけない。で、それをパスできなかった久しぶりの大統領ですね。一つ前がパパブッシュです。で、もう一つ前がジミー・カーターです。
山路:ジミー・カーター人気なかったみたいですもんね、本当に。ジミー・カーターはイランの米国大使館の救出作戦に失敗したというのがやっぱ大きかったですね。
小飼:でもパパブッシュは、はっきりせんのだよね。だから僕もいまだになんでクリントンが勝ったのか、ビル・クリントンが勝ったのかというのがいまだにピンとこないところは。というのも、選挙は1992年だったんですけど、その前の年には湾岸戦争があったわけですよ。ほぼ圧勝したわけですよ。もう文句のつけどころのない勝ち方をしたんですよ。なのになんで負けたかったいう、選挙には。
「トランプ負けて嬉しそうな弾さん」(コメント)
小飼:あのね、これは今からそれも話が出ますけれども。トランプが負けてというよりも、だから退屈な大統領になるというのが何よりも嬉しいですね。やっぱり世の中はexcitingなのは自分の人生であるべきじゃん。
山路:あー(笑)。
小飼:そう、世の中が平凡で自分の人生にはexcitingの方がいいのに、逆になっちゃったもんね。
山路:私も気にしないつもりでいたんだけど、国家元首のツイートって絶対、国際的な報道で入ってくるじゃないですか。耳を塞げないんですよね。嘘とかヘイトみたいなこととかが満載のやつとか聞いてると、なんかすごいストレスを感じる、疲れるんだよなぁ。
小飼:そうなんですよ。ミュートとかかけても、もうしょうがないんですよね。中継されてきちゃうから。
山路:たぶん人って明らかな嘘みたいなこと言われたら、そうじゃないよっていう風に何か言おうとして脳が働くから、余計な、なんかこうストレスをたぶんかけてるんじゃないかって気がするんだよな。
小飼:でも、何と言えばいいのか、逆にここまで間抜けというのか、マンガでもこんな、かっこ悪い落とし方はしねえだろうって言う
山路:フォーシーズンズ(笑)
小飼:フォーシーズンズの前にやっぱり今回のほんとにtweet of decadeいや、tweet of the centuryになるんじゃないかな、ここまであれだと。Stop the count!
山路:投票投票のカウントを止めろと。
小飼:それ、言っちゃう? それ言ってしまいます?
山路:いやぁ、ねぇ。それに乗っかった支持者たちもなかなか強烈なものがありましたけど。
小飼:こう言うのもなんだけど、仮に不正を訴えるとしたら、逆に黙ってなきゃいけないですよね。最後までがカウントさせた上で、最後までやらせた上で、お前正しくやってないじゃないかというのが、まともないちゃもんの付け方ですよね。だから、いちゃもんつけるにつけられなくなっちゃってる。お前、数えろって言ってんのか数えるなって言ってんのか、どっちだよと。出た、出た。
「『カウントを止めるな』」(コメント)
山路:意外に低予算で作れそうな映画ですよね(笑)。
小飼:いや、だからその意味ではもう最高のエンタテイナーではあるんだよね。だからこれが本当のことでなければ。これがフィクションであれば、いや、でも、もし全く同じことを脚本に書いて持って来られたら、絶対も誰もウケないと思うんだけどね。もう少しマシな脚本送って来いって。いや、だから出そうと思って出せるセリフじゃないもん。Stop the count!
「何かゆったり喜んでる弾さんが意外」(コメント)
小飼:まぁでも確かに不必要に疲れてたね。
山路:疲れた。当確の後、すごいよく寝れたし。スパークリングワイン開けちゃったせいもあるかもしれんが。
小飼:当確が出るまでの長かったこと。長かったおかげでトランプが途中で喜んじゃったんですよね。でも確かに今回は、じつはこれで統計正しい仕事をしてないじゃないか、だから票読みうまくいってないじゃないかって言ったけど、意外と少なくとも、大統領に関しては当初の下馬評どおりになったんだけども、下馬評通りじゃなくって、みんな知識としてはわかってたけれども、実際にこんなに長くかかるのかっていうのは、一番の誤算だったのは当確が出るまでの期間で、米国時間で土曜日、日本時間で確か3時頃だったっけな
山路:いやーなんか長く感じたっつうのはあるよな
小飼:長く感じたじゃなくて、実際長えよ。なっげえよ。火曜日の結果が土曜日に出るとかさ、本当によほどの途上国でもここまで遅れることっていうのはないんだけども。
「郵便投票がクソっていうのはよく分かった」(コメント)
小飼:あのですね、少なくとも偽造防止という意味ではよくできてるんです。どういうことかというと、この番組の視聴者であれば全員知ってはいるとは思うんですけど、アメリカの選挙というのはふらっと行って「私、有権者です」って投票できるわけじゃないんですよ。だから、まず私は有権者なので登録してくださいって登録しなきゃいけないんですよ。その登録の時にサインも登録するんですよ。で、サインした上で渡して、それ実際に照合するんですよ。
山路:サインの照合ってめっちゃ面倒くさくないですか?
小飼:めっちゃ面倒くさい上に、ちょっとサインが怪しいのでカウントできませんっていうのがあって、カウント出来ませんがあるので、わざわざ私の一票はカウントされましたかって言うのを確認できるところも。確認してカウントされません、あるいはこっちにカウントされましたって、「いや違う!」っていう異議申し立ての時間が用意されてたりする。
山路:そんなこともできるんだ。
小飼:ものすごい面倒な代わりに、不正もすごいしにくい。一番、唯一できる不正って言うは、票を届けない。それがまさに政権が企んだこと。
山路:郵便の仕分けの機械を撤去しようとしたっていう(笑)
小飼:そう、だからどんなにいいところがあっても、それは駄目だと。要は選挙抜きで反則負けなんですよ。選挙抜きで反則負けなんだけれども、それはファールじゃないという風に言ってると。これちょっと今回の番組の本題の伏線になるので、よく覚えといてください。
山路:ほう、ほうほう。じゃあちょっとその前になんかコメントであった「葬儀場と火葬場とアダルトショップの間のやつが面白かった」っていう。
小飼:そうそう
山路:Four Seasons Total Landscapingっていう造園業者の、前の庭、庭と言うか広場みたいなところで会見をしたんですよね。造園業者なんですよね。けっこう郊外な割と、言っちゃなんですけど変哲もないような場所で。そこにジュリアーニ弁護士とか。
小飼:いや、だから本当に行っちゃうところがすごいよな。本当に行っちゃうところがすごいよな。
山路:どうもいちおう、経緯を説明してるツイートとかがあったんですが、これ完全に私も裏取れてるわけじゃないですけど、それによるとトランプがまあ11時ににフォーシーズンズで会見をやるよって言って、
小飼:だけどもフォーシーズンズまでしか言ってないから。
山路:フォーシーズンズはそんな予約は受けてないし、そんないきなり言われても困るってことで、スタッフがフォーシーズンズに似た名前のところを急遽探して予約したという、なんかこう涙ぐましい(笑)
小飼:いや、だから、予約しちゃったというのがな、すごいな(笑)
山路:っていうか、そもそもそれ、場所とか別のホテル取ってトランプにツイートし直させるっていうのが恐らくベストな方法じゃないですか。それができないってことは、スタッフとトランプの間で意思疎通はないってことですよね、つまりは。違うんですかね?
小飼:うーん、上意下達なんだろうなあ。
山路:とりあえず、あの会見はフェイクニュースではないですよね。USA TODAYとかその他のニュースサイトもあの所のやつで。でも造園業者、普通に、何か別に賄賂もらったわけでも上乗せしてもらったわけでもないと思いますけどね。普通に会見費を。ただその造園業者はLawn & Orderって言うステッカーを今売り出してて(笑)。かなりステッカー売れてるそうなんで。けっこう名前もあがったし、かなり儲かったんじゃないですかね。
小飼:あれだよね、日本の梅田ハジメさんみたいなもんだよね。梅田ハジメ(正しくはユタカ)だっけ、梅田穰さんだったっけ、ジョー・バイデンと呼ばれてるという……うん、とばっちり
山路:はいはい(笑)、どっかの町長さんの名前が。ありましたよね。まぁそんな感じでいちおうガチャガチャに混乱しそうだったアメリカ大統領選も意外に落ち着いて終わりそうな気配が見えてきたっていう。これってトランプの悪足掻きで逆転とかってありえるんですか?
小飼:まぁ難しいなあ。
山路:あとは本当に1月20日?
小飼:厳密に言うと12月7日だったっけな、要は今回の選挙というのは大統領選に関した選挙人を占拠する選挙という位置付けなので、12月に選挙人による本選が行われて、その結果ジョー・バイデンとカマラ・ハリスが選ばれたて、1月20日に就任とinauguration……
山路:これ、選挙で選ばれた選挙人が、本来期待されてるのとは違う候補に入れるって事はないんですか?
小飼:2016年にもそれは話題になりました。で、結局そうはならなかったということで、だから理論上ができる。法にはそれやっちゃいけないと言うのと、実際にそれが行われるって言うのはけっこうなギャップがあるんですよ。じつは、特に英米法、慣習法だから読み解く時、そこの部分っていうのがけっこう行間を読む必要があるんですよね。
山路:行間を読むんだ。
小飼:うん。だから、要は法にはこうしてはいけないよって言って書いてないよね、ではけっこう済まない例もあるんですよね。慣習法の場合は。むしろ大陸法の方が、書いてない場合には確かに書いてなかった、が起こる確率が高い。
「霞ヶ関文学みたい」(コメント)
小飼:まぁでも何で霞ヶ関文学が成立するかっていう風に言うと、日本が大陸法の国だから。でも、なんだけれども、法というものがあると、で、どっちも法で引かれた線、だからギリギリの球を打ち込もうとするけれども、ファールラインそのものを動かそうとはあんまりしてないって言うのは、そこはまずやっぱりヒントなんで、ちょっと覚えていてください。
民主主義とは何か、その成立までの歴史
山路:じゃあ、メインテーマの方、いきますか。民主主義とは何か。今日、タイトル「民主主義とは何か」っていう、なんか硬いタイトルですけど、これ書名でもあるんですよね。
小飼:そうそう。はい、これですね。
山路:そのリンクも出そうかな。
小飼:はい、じゃあリンク願いします。
山路:これで大丈夫かなっと。そうとう、ちょっと硬い。
小飼:いやまぁ硬いタイトルで、大事な本ですけども、ものすごいぶっちゃけたことを言ってしまうと、これ「初めに」だけ読んでも、それで十分なところあります。
山路:あははは、ぶっちゃけたなぁ(笑)
小飼:どういうことかというと、「はじめに」に書いてあるのは質問が3対。3対しかないので読み上げましょう。まず最初の質問に対する答えの1つというのは、「民主主義とは多数決だ」、これがまずA1となってます。A2は、「多数派によって抑圧されないように少数派の意見を尊重しなければならない」。多数決は多数決をそのまま押してはいけない、というのはまず設問のその1ですね。その2が、「民主主義とは選挙を通じて国民の代表者を選ぶことである」、というのがB1。で、B2は「民主主義とは自分たちの社会の課題を自分たち自身で解決していこうということであって、選挙だけが民主主義でない」。「民主主義とは選挙である」と、「民主主義とは選挙だけとは限らない」というのが設問の2番目ですね。2番目の2対目ですね。で、もう一つというのか、まぁ最後の設問に対する選択肢の1つが、「民主主義とは国の制度である」。これに対して、「民主主義とは理念である」と。イズムであると。
という質問を、民主主義の歴史を通して振り返っていくというのがこの本なんですけれども。で、3回ぐらい読んで、すごい一番大事なことが書いてないじゃないか(笑)
山路:書いてない(笑)。書いてあると言ったんじゃなくて、書いてない?
小飼:書いてない。たぶんこの本を読んだことになるには、何が書いてないかというのにも気づかないといかんのではないかと。だから本来であれば、皆さんにもこれを読んでいただいて考えて、一晩ぐらい考えていただいてから話をした方がいいのかなとは思ったんですけども。
まぁもうだからそこはちょっとネタバレになってしまいますけども、これノンフィクションですし。あと民主主義の歴史を、もうギリシャから振り返る本でもあるんで、そこはネタバレと言っても、歴史でネタバレと言われてもなぁと。織田信長が出てきて、この後本能寺で死ぬでーとか言って、それネタバレ責められないだろ(笑)という意味で、だからそこはちょっとご容赦いただきたいなと。
山路:あとまぁこの本のちょっと擁護をしておくならば、けっこう読んでみると当たり前だと思ってたけど言われてみるとそうだよな、みたいな記述を、考えさせる、歴史を追って考えていくとその通りだよなと言うところがあって、そういう部分では一読に値する本だとは思いますけどもね。
小飼:この本に対する不満というのは2つあって。1つは、明らかに書いていない、だから抜けてる、今回の主題なんですけれども。もう1つの方というのはこの本でも触れているので、先に触れておきましょう。
じゃあ民とは何か。民主主義と書いてあるからにはご主人様は民であると。民衆であると。けれども、たとえばギリシャのポリスでやってた民主主義の民というのは、入ってない人いっぱいいましたよ。
山路:バルバロイ。
小飼:うん。当時のポリスの言葉ではヘイロータイって言ってたみたいですけれども、奴隷いたわけですよ。もちろんポリスの外の人たちというのは、政治参加というのはできなかったわけですよね。女性もまるっと抜けてました。で、じつは女性が加わるというのはものすごい後で、確かニュージーランドが最初なんですよね。19世紀の終わり頃です。
山路:ニュージーランド、意外な。
小飼:意外でしょ。確かニュージーランドが。で、アメリカも最初の方の、一次大戦のほうのルーズベルトの妻のエレノア・ルーズベルトの頃というのは、まだ女性参政権なかったんですよね。かなり後です。日本に至っては戦後ですね。敗戦の結果でもあるんですよね。で、もちろん皆さんもご存知の通り、黒人には選挙権なかったんですよね。アメリカ合衆国、United States of Americaが13 states、13州でできた頃のThe Peopleと現代のThe Peopleは違う人たちなんですよね。
山路:黒人も入ってるし、女性も入ってるし。
小飼:だけれども、もちろんまだ外国人は入ってないんですよね。実際、民主主義、特に近代民主主義の歴史というのは、民とは誰かって言うのを再定義する歴史だったんですよね。アメリカ合衆国の独立宣言にはall men are created equalって書いてありますけど、menですよ。だから今だったら絶対直されますよね。all the peopleとかに絶対直されますよ。でも、そもそも直すのが当たり前になったっていうのが変化なわけじゃないですか。じゃあなんでそれができるようになったのか。
山路:なぜできるようになったのか。いろんな人を含められるようになったか。
小飼:民というのが一握りの人々ではなくって、要はホモサピエンスに分類されるであろう、すべての人々にほぼ近いところまで持ってこれたというのはなぜだろう。
山路:けっこうこれって、今までニコ生で語ってきた話にも……
小飼:通じます。
山路:ポリコレって言うけど、つまりなんでポリコレっていうのが言われるようになったかということではありますよね。
小飼:はい。
「ヒントちょうだい」(コメント)
小飼:はい。でですね、じゃあギリシャの奴隷によって、要は民でない人によって支えられてたポリスというのは、じゃあそういった参政権のない人たちがいて、回ったんだろうか。
山路:そういう奴隷なしで社会が維持できたかと言う。実際問題として無理だったんじゃないだろうかと。農業もみんなが奴隷、奴隷が皆、すべてが農作業を奴隷がやってたって限らないみたいですけど、かなりの部分をやっぱり奴隷がやってたりして。
小飼:農奴というやつですよね。
山路:その他いろんなところ社会でのあちこちで奴隷が使われていたと言う。
小飼:で、今でこそ民主主義というのは世界のかなりの部分で採用されている、政治形態ですけれども。そうなってきたというのは、けっこう最近なんですよね。
山路:普通選挙と言われるようなもの?
小飼:普通選挙というよりも、もともと民主主義という言葉はプラトンとかは衆愚政の意味で使ってますからね。
山路:そもそも民主主義が素晴らしいっていうのも、近代的な価値観と言うか。
小飼:もうほぼ死語に近いというのか、もう少なくとも全盛期の言い回しで言うと「バカでもチョンでも」政治に口出しができるなんて言うなんてとんでもない、というのがプラトンが言ってたことなんですね。プラトンがなんでそういうこと言ったかと言うと、プラトンってどんな人でしたっけ?
山路:哲学者として……
小飼:哲学者として、弟子だったわけです。誰の弟子でしたっけ。
山路:ソクラテスの。
小飼:ソクラテスの弟子でしたね。ソクラテスってどんな人でしたっけ?
山路:道行く人に議論を吹っかけて、みたいな。
小飼:で、どういう末路を辿った人でしたっけ?
山路:毒飲まされて。
小飼:はい。誰に?
山路:裁判の結果?
小飼:誰の?
山路:民衆による。
小飼:そうです。デモスがお前死ねっていう風に言って、自殺させられたわけですよね。
山路:この辺、世界史に出てくるとこではありますね。
小飼:世界史には出てきますね。じゃあとりあえず昔のポリスのことは忘れて、今持ってきましょう。じゃあ今、陪審裁判でソクラテスが訴えられたとしましょう。死刑にできますか?
山路:できないんじゃないですか。
小飼:何で?
山路:ソクラテスが何やったかですよね。
小飼:ソクラテスは何をやったかですね。
山路:ソクラテスは確か、毒飲まされる原因になったのは青少年に有害な考え方みたいなのを吹き込んだとかなんとか……
小飼:要するにむかつくことをいっぱい言ってるからですよね。こう言うのもなんですけども、Facebookとかだったらアカウントbanされてたかもしれないですね。で、Twitterとかだったらfreezeかけられてたかもしれませんね。でも死刑?
山路:死刑はないだろうって思いますよね。
小飼:でもなんで?
山路:そんな法律ってない
小飼:バノンとかも、ファウチ先生──アメリカの感染症対策の今一番偉い人でトランプ政権にとって、一番偉い人なのになぜかトランプ政権に一番憎まれてる人ですよね──を誰か殺せっていういうようなことを言ったら、もうTwitterアカウントをfreezeされましたけれども。
山路:でも、それでも出来るのはせいぜいbanなわけですもんね。
小飼:で、何で殺せないの? だって民主主義でしょ。だから主の皆さんが死ねって言ってるのに、なんで殺せないの? ギリシャ人は。なんでギリシャのポリスの人たちにできたことが現代人にはできないの?
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