「小飼弾の論弾」で進行を務める、編集者の山路達也です。
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 今回は、2019年11月12日(火)配信その1をお届けします。

 次回は、2019年12月10日(火)20:00の配信です。

 お楽しみに!

2019/11/12配信のハイライト(その1)

  • AirPods Proの使用感と「全部持っているApple」の凄さ
  • 「ビューカードを蹴られた」話と「地価高騰とAppleファンドの関係」
  • アラムコ上場から見るサウド王家の思惑と背景
  • ソフトバンクの赤字についてと「低金利は格差を進める」
  • ヴァンロッサム引退と「あまりセクシーでない言語Python」
  • MicrosoftのVisual Studio Online雑感

AirPods Proの使用感と「全部持っているApple」の凄さ

山路:今日はタイトルにもあったように、まあAppleの責任の話というやつ、あと生活保護費の代わりにプライベート情報を収益化するという、まあなんというか香ばしい感じの話だとか。

小飼:うん、香ばしいよね。

山路:モデルハウスで擬似家族体験、これもちょっとなかなか香ばしいニオイするんですけど、あと限定配信のほうで『ターミネーター』についても語ってみるかなという、新しい『ターミネーター:ニューフェイト』原題Dark Fateというやつですよね。ところで弾さん、その耳の中に入っているものは?

小飼:アハハ。山路さんも耳に突っ込んで。

山路:早速買ってみたんですけど、AirPods Pro。そうそう。これいちおうリンク出しておきますかね、今かなり話題になっているやつなんですけども。弾さん、AirPods Pro、普通に買えました?

小飼:普通に買えちゃったんですよね。

山路:なんですか? その買えちゃったっていうのは(笑)。

小飼:あのね、本当にあのわりと銀座って、散歩に手頃なコースなので、たとえば有楽町まで行って帰ってくるとかっていう散歩の仕方っていうのはするんですよ。列が出来ているから、もしかして今日だったっけ、Pods Pro売ってるのって、いやあ物好きな人たちというのはいるなとかっていって、冷やかしのつもりでそこにいる警備の人に聞いたら、警備の人が在庫まだありますよって。

山路:これちょっとやっぱり語ろうかなと思ったんですが、ノイズキャンセリングヘッドフォンとしてまず出来がいいですよね。

小飼:でもねノイズキャンセリングよりもむしろ感動したのは、英語だとTransparencyっていってるんだけども、補聴器モードとでもいいましょうか、外の音が入ってくるモード。

山路:今私たちがしているのも、Transparency modeなんですよね。これがこのAirPods Pro、耳に突っ込んでない時と違いがないという、外部音を取り込んでマイクで言っている筈なのに、マイクで鳴らしている気がしないという。

小飼:むしろ耳が遠い人がこれ補聴器じゃんという。

山路:軽く耳が遠い程度だったら、けっこうその代わりになるかと思ったんですけどもね。私、今までけっこう、いろいろノイズキャンセリングヘッドフォンを物色してきて、最初はBOSEのQuiet Comfortですよ。
 初代を買って修理に出したら、QuieComfort2になって戻って来たというBOSEの神対応。その後やっぱり持ち歩くのはでかいなと思って、やっぱりBOSEのQuietComfortの有線ヘッドフォンタイプですよね(QuietComfort 20i)。さらにやっぱり有線は嫌だなと思って、今度はソニーのネックバンドのタイプにそのBluetoothのトランスミッタをつけて、更にそのオーディオテクニカのノイズキャンセリングヘッドフォンを試し。

小飼:凄いなあ。

山路:そして最近まで使ってたのが、BOSEのQuietControl 30。

小飼:ガジェット好きというレベルじゃないと思うよ。

山路:アハハ

小飼:ソニーの分かれてるやつっていうのは、何だったっけ? 仮面ライダーゼロワンのヒューマンギアみたいな。

山路:あのWF-1000XM3でしたっけ?

小飼:そうそう。名前覚えられない。なかなか見た目が格好いいやつ。滅亡迅雷.net(編注:特撮番組『仮面ライダーゼロワン』に登場する謎の集団)に繋がりそうなやつ。

山路:アハハ。あれにはしなかったですか? 弾さん。

小飼:あれも、そそられたんだけども、そろそろ買おうかなと言ってた矢先に、AirPods Proが出るよというニュースが流れたんで、ほんとに売る3日くらい前でしたよね。売りますっていう風に言ったのが。

山路:記者発表とかもぜんぜんしなくて、いきなりプレスリリースを流して、そんな売り方をするやつあるんかよ。

小飼:そうそう。だからソニー気の毒っていうのが。

山路:ああ、音質はソニーのほうがいいって言う人も、いっぱいいるんですけど、やっぱりケースの小ささがね。

小飼:あと見た目もソニーのやつのほうが、格好いいと思いますよ。ソニーのやつは絶対滅亡迅雷.netに繋がるはずなので。

山路:アハハ、ただやっぱりApple製品を複数使っていた時の切り替えがAirPods Proは楽なんですよね。あと持ち運びとかね。あと思ったのが、これっていきなり最初の製品じゃないですか、Appleにとってみたら、ノイズキャンセリングでトゥルーワイヤレスステレオ(TWS)っていうのは。

小飼:だからもうこの番組では、Appleというのは後出しジャンケンの会社であると、ずーっと言い続けて来たんですけれども、ぐうの音も、ここまでぐうの音も出ない圧勝というのは久し振りでしたね。けなすポイントがちょっと少なすぎるかなと。
 しいて言うと、iPhoneでなくって普通のBluetoothヘッドフォンとしてみなした場合というのは、たとえばたぶんAndroidとかだと、たとえばiPhoneとかだとこれでパッと繋がるじゃないですか。一度使い出すと、ノイズキャンセリングするのか、外からの音を取り入れるのか、Transparentにするかっていうのは、ここでノイズキャンセリングなのかっていうのを、ここでも切り替えられるようになってるんですよ。こういったものというのは、もうOSに組み込みなので。

山路:ファームウェアをアップデートするためにも、Android使っている人もiPhoneとか必要になっちゃうところはあるんですけどね。

小飼:まあUSBならUSB、BluetoothならBluetoothに対応していれば、どれにも分け隔てなく繋がるよっていうのが建前だったんですけども、ここに来てよりハードウェアとソフトウェアの関係が密接になってきて、密接になってきているということが、だからそれだけ囲い込み易くなるということでもあって。

山路:OSレベルでこのAirPods Proってけっこう切り替えが楽になってるじゃないですか。

小飼:そうなんですよ。

山路:Googleが本気になって、自分ところが出すヘッドフォンをこの複数のAndroid端末で切り換えできるようにしようと思えば。

小飼:ヘッドフォンは出してないよね、まだ。

山路:でも発表はしてますよね。

小飼:ああ翻訳するやつね。

山路:そういうやつとかをシームレスに切り替えが出来るようになる機能っていうのをOSにGoogleが組み込んだら、これと同じような使い勝手をAndroidのほうでも実現できる。

小飼:OSにちゃんと組み込んでくれるのかな。やっぱそこはあれなんだよね、Appleに一日の長はあるんだけども、その一方でけっこうPixelのカメラとか凄いじゃないですか。ただそれ凄いって言ったらHUAWEIのやつも凄くて、けっこうカメラをどうコントロールするのかというのは、OSではなくてデバイス作っているメーカーがそれぞれやっているというところがありますよね。

山路:Googleにはコントロールしきれない?

小飼:うん、というよりも標準カメラというのはないんですよね、Androidには。

山路:Pixelがリファレンスモデルみたいな位置づけではあるのでは。

小飼:あのね、カメラの部分はリファレンス外れてますね。

山路:ああ、そうなんですか。

小飼:だからリファレンスで、これであれば最低ここまで出来るっていうのは、カメラではなくって、積んでる石で決まってますね、今。

山路:なるほどね。

小飼:だからけっこうカメラの性能とミスマッチあるんですよ。

「もうすぐXiaomiが上陸か?」(コメント)

山路:日本でもXiaomiがカメラの凄いスマホを出すんじゃないかみたいな話が出てましたね。

小飼:うん、何と言えば、もう少しAndroid端末もキチッと出回って欲しい。日本はもうすっかりiPhoneに占領されちゃったんで。自分らがこういうのも何だけども。

山路:付けてて言うのも何ですけどね(笑)。Galaxy、サムスンの上陸失敗したというか、ちょっとGalaxyが日本で展開するのを失敗したところがあるじゃないですか。それでHUAWEIのやつも、躓いたというところがあり。

小飼:あのね、でも一番いけないのは、あわてんぼうの日本メーカーですよ。

山路:あわてんぼう?

小飼:はい、だから日本でAndroidを殺したのは、富士通と東芝です。

山路:最初の出来が酷かったですよね。

小飼:お金貰ってもいらないレベルだったもんね。誉め難かった、一番マシだったのがシャープのなのかしら。皮肉かもしれないけども、IS01だけは許せるかな、キーボードがついてるやつ。要するに1番最初の。
 あれはもう、あれはiPhoneのコピーではなくて、むしろモバイルギアだから。

山路:どっちかというと、WILLCOMとかのW-ZERO3とかなんかのああいう文化の流れを引いてるところありましたよね。

小飼:それでもね、Nexus5の頃はそんな悪くないと思ったんだけどな、俺も。

「IS01買った」(コメント)

山路:なんかマニアックな人いますね。

小飼:おお凄い。

山路:うん、だから結局、最終的にAppleを利するようなことを日本メーカーがしちゃったという。

小飼:まぁそうだよね。

山路:非常に残念なとこにはなってますよね。これでヘッドフォンで思ったのが、今いきなりこういうヘッドフォンが出せたっていうのは、その勝負が半導体になってきているからだったりするんですか。ソフトウェアとかハードウェアとか。

小飼:それも大きいですね。いや、だからやっぱり全部持っているっていうのは、全部社内で出来るっていうのは、やっぱ凄いことだよな。

山路:BOSEのヘッドフォンってけっこういいんですけど、なかなか小さくならなかったんですよね。それをAppleはいきなりこのサイズまで小さくして、これと同じくらいのノイズキャンセリングヘッドフォン出して来たって、やっぱり半導体の力なのかなという気がしたんですけどね。

小飼:やっぱり自分でチップを自作出来るっていうのはでかいよな。

山路:ヒアラブルデバイスというふうに、最近言われてますけど、やっぱりこれってARへの足がかりだったりするんですかね? 今後、Appleが。これで仕掛けて来るのかな?

小飼:うーん、Appleのヤバいところというのは、本人たちはあんまり仕掛けるとかっていう意識は、今はないんじゃないでしょうかね。iPhone4以降は。

山路:え? 仕掛ける意図はない?

小飼:いや、ベストのものを出そうとは思ってるし、実際にベストのものを出してくるんだけど、そうすると副作用で取られる分野があるんですよ。副作用で取った分野というのもガッチシ離さないようにしているんですよ。その代表ってたぶんゲームだと思うんです。

山路:ほう、ソシャゲとかそういうやつ?

小飼:そうそう。だからゲーミングプラットフォームというのは、たぶん一番予測してなかったところだと、Appleも最初のうちは。

山路:へえ。はああ、それがなんかいつの間にか1兆円クラスの企業がポンポン立ち上がるような産業になり。

小飼:そうそう。

山路:そっか、じゃあ、あんまりそんなにAppleの中の人、考えてないのかな。

小飼:うん、だけれども皆が使いだせばそれを標準にしていくっていうのは。

山路:そこは柔軟っていうことなんですね。

小飼:柔軟といえば柔軟だし、ズルいと言えばズルいんですよね。

山路:昔からサードパーティが作ってたソフトの機能をOSに取り込んだりとか。

小飼:そうそう。かつてはスクリーンセーバーすらサードパーティの領域だったんですよ。

山路:ああ懐かしいですね、フライングトースターとか。

小飼:凄え凄え、超懐かしいなそれは。

「Apple Arcadeじゃない?」(コメント)

山路:まあApple Arcadeっていうか、アプリストアでそもそもゲームを売ること自体が。

小飼:だからゲームを売るのに最適な。

山路:うん、それまでっていうのは、けっこう皆ゲームメーカーがそれぞれにソフトウェアをパッケージで売ってたわけですもんね。

小飼:そう、だからROMカセットにしてすら吸い上げるやつが出てきたというね。AppStoreだとそれはないわけじゃないですか。みかじめ料を取られるけど、Appleに。

「ビューカードを蹴られた」話と「地価高騰とAppleファンドの関係」

山路:AirPodsのヒットなど、最近Appleは上手くいってるけど、その分だけ社会的責任みたいなことを、めちゃめちゃ問われるようにもなってきているなあと思って。最近だとApple Card。

小飼:だから日本でもやって欲しいなと思ってる矢先、けっこうあれですよ、ソフトウェア産業界の大物が立て続けに、あれちょっとSexist(性差別主義者)になってないという。