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小飼弾の論弾 #93 「細胞から考えてみる、国境はなぜ出来たか(その2)」

2018/12/08 07:00 投稿

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「小飼弾の論弾」で進行を務める、編集者の山路達也です。
2018年10月9日(火)配信の「小飼弾の論弾」の前半をお届けします。

次回のニコ生配信は、2018年12月18日(火)20:00からの「小飼弾の論弾」です。テーマは、「2018年を騒がせた「おまいう」事件を振り返る」。

お楽しみに!

2018/10/09配信のハイライト(その2)

  • 中国は拡張主義? Apple国は?
  • 国に頭を下げた方が、グローバル企業は儲けられる
  • 細胞から考える「国の大きさとコスト」
  • SFに見る国境と「国境がなくなる可能性」

中国は拡張主義? Apple国は?

前回からの続き)

山路:じゃあそのさっき中国のことを言いかけたんですけど、中国が最近アメリカなどと激しく対立してます。中国は、領土の拡張主義によるものなんですかね。

小飼:いや、領土拡張主義というのであれば、それこそ旧ソ連よろしくアフガニスタンに攻め込むんじゃないですか。

山路:ほほう。ちなみにアフガニスタン侵攻というのは、弾さんからみるとはっきり言って、あんまり全然意味がないというか。

小飼:いやもう、あれほど鶏肋(けいろく)という土地はないですよね。

山路:中国っていうのは、そういう領土を取るということに、専心しているわけではない?

小飼:あの中国といえども、どこもかしこも欲しいというわけではないんですよね。

山路:軍事的に要衝だったりとか。

小飼:中国の覇権主義っていう時、たぶん日本で1番話題になるのは、南シナ海。南沙諸島とかことですけども、あれも資源見つかったでしょう。

山路:油田採掘する、機械をもうガンガン立ててるんじゃないかっていう話はありますよね。じゃあ、もう中国があのへんを獲っているのは、非常に旧来的な経済的な利益のためというのが1番大きいという。

小飼:というのが1番大きいですよね。

山路:あとはそういう軍事的な要衝とかを押さえて。

小飼:あと中国の場合、これ旧ソ連もそれになりますけれども、じつはある国が1つの国だって主張し続けるというのは、簡単なことではないんですよ。

山路:え? 1つの国であると主張し続ける?

小飼:はい、たとえばアメリカ人が、俺がアメリカ人だっていう認識を持つというのは、生まれて育ったくらいではあやふやなんですよね。

山路:ああ。いろんな民族いますしね。人種。

小飼:じつはけっこう対外戦争の少なからぬ部分というのは、国をまとめるために。

山路:「俺たち」っていう意識をつくるために。

小飼:俺たちという意識というのもありますし、中がまとまらないので、外に目を向けてもらおうという。

山路:考えてみると、あらゆる国のその外交政策って、内政面でゴタゴタしてくると対外的に強硬に強気に出たりとか、そういうのありますもんね。

小飼:日本の場合は国が小さい国ではないですけれども、大国というにはちょっと小さいので、あんまり問題になりにくいんですけれども、たとえば中国とかっていうのは、まとめておくにはあまりに人も多いし、あまりに広い国の1つですよね。今まで中国がやった代表的な戦争といえば、朝鮮戦争ですとか、あとじつはベトナム戦争も北ベトナムの味方をしてたのに敵になったじゃないですか。中越戦争というのもあったじゃないですか。

山路:ああそうかそうか。単純にずっと味方なわけでもないですもんね。

小飼:それでどっちの戦争でも、領土を増やしてないんですよね。だから、もし覇権主義だというのであれば、失敗なんですよ。もし覇権主義というのであれば、北朝鮮もね、占領。

山路:領土の維持コストを抑えつつ、何というか影響力を。

小飼:維持コストではなくって、メンツなわけです。朝鮮戦争の時にはっきり言いましたよ。

山路:朝貢貿易というか、従えている国というイメージを作っておきたい、強国っていうイメージを作っておきたいということなんですか?

小飼:強国というイメージを作っておきたい。少なくともこの領域における親分は俺たちだっていうために。
 だから金銭的な損得でいけば損でしかないんですけれども、もしそういうことをしないと、1つの中国っていう幻想が破れちゃうんですよね。あれ? よく考えたら、俺たち満州族? あれ? よく考えたら、俺たちウイグル族? よく考えるまでもなく(笑)。俺たちモン族。
 忘れてはいけないのは、中国は多民族国家なんです。人口で言えば圧倒的に漢族なんですけども、それでも多民族国家なんです。今どき多民族国家でない国というのは、そんなにはなくて、じつは日本だってそうではないんですけども、でも目に見える形で、政治的な意味において多民族国家なんです。だから外に対して時々拳を振り上げないと、まとまらんのです。

山路:中国ってしかし、そのもっと細かい国に分かれたほうが運営コストが安くなるっていうことはないんでしょうかね?

小飼:それは、必要な物事を金銭に置き換えられる平和な都市の住民的な考えなわけですよ。繰り返しますけど、土地というのは資源なんです。

山路:まだいまだにやっぱり土地を押さえておくことによる上がりというか。

小飼:そういった資源を金で買えるために、まずもって平和でなければいけない。もし戦争してたら売ってくれないわけです。日本の太平洋戦争の発端だって、アメリカが石油を売ってくれなくなったからですよ。

山路:そもそも売ってくれない、そういう商売が成立しないということが問題なんですか。

小飼:そう、金持ち喧嘩せずという言い方もありますけれども、喧嘩しないから金持ちは金持ちとしてやっていけるっていうところもあるわけです。戦争というのはそういうものも吹っ飛ばしちゃうんですよ。いつでも吹っ飛ぶかもしれないと思っているから、要はすべての価値もお金にしきれてないんですよ。金で解決出来ないものが残っちゃってるんですね。
 ぜんぶ金で済むのであれば、じつは国境をなくす方法としては、全員を金銭主義者にしてしまうという。

 

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