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小飼弾の論弾 #62「対談:バンクCEO 光本勇介さん @Yusuke_Tokyo 話題沸騰の買取アプリ『CASH』は、壮大な社会実験だ!」

2017/11/24 07:00 投稿

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「小飼弾の論弾」で進行を務める、編集者の山路達也です。
今回は、10月16日(月)に配信した、株式会社バンクCEO 光本勇介さんとの対談テキスト(全3回)をお届けします。

次回のニコ生配信は、11月27日(月)20:00の「小飼弾のニコ論壇時評」。今時のニュースを小飼弾がズバズバ斬っていきます(21:00頃からは、通常の「小飼弾の論弾」になります)。

お楽しみに!

2017/10/16配信のハイライト(その3)

  • CASHと二次流通における中古品市場の関係性
  • 資産となる、社会実験のデータ
  • 海外進出の野望はある?
  • CASHから見えてきた、ユーザーが求めるサービス
  • 貧テックサービスから見る社会の格差
  • 使い続けることで上がる独自の与信
  • CASHとVALUに共通する価値観
  • CASHが見据えるこれからのサービス
  • CASHのデータを使えば、ノーベル賞も取れるかも

CASHと二次流通における中古品市場の関係性

山路:視聴者から質問をいただいています。

「みなさんは個人での新古品取引、いわゆるせどり業を営んでいる方々についてどう思いますか。私はNintendo Switchやライブのチケットが定価で購入できずに困っています。買いたいものが定価で買えないのにはストレスがたまるということなんですが、光本さんに質問ですと。CASHで買い取った品物が市場に放出されることで、市場が破壊されないか気になります」

 要は、たくさんの人がCASHで買い取りを望んだりすると中古市場とかに影響があるんじゃないかと。

光本:そこまででかくなったら理想ですけれども(笑)。今のところは、その二次流通の市場は新品の市場と比べて規模もだいぶ違いますし、まだまだ成熟しきっていないため、需要のほうが高いと思っています。当面の間は、供給のほうが多くなってしまうという状況というのはないかなと思っています。

小飼:「せどる」にしても額はたかが知れているから、CASH使って「せどる」といったら大変な手間になるよな。僕は考えたくもない。

山路:ヤフオクが出てきた時、みんな中古品を売るのがこんなに簡単になったんだと驚きました。そうしたら、メルカリが出てきて、スマホで中古品のやり取りができるようになった。今度はまたCASHが出てきて、写真撮っただけで現金がすぐ振り込まれると。お金をやり取りするコストが、どんどん低くなっていく感じが驚きです。

光本:お金を移動するコストもそうですし、消費者の行動と言うんですかね、そういうのもどんどん簡素化かされていっているんじゃないかなと、思うことはあります。

山路:それこそビジネスにおいても、ビジネスというかオークションみたいなものは多少。

小飼:ユーザーがCASHに売ったモノは、どうやって仕分けしているんですか。

光本:私たちがまず受け取り、その後プロの方々にさばいていただける体制を作って、今はそれで運用しています。

山路:ちょっといじわるな質問なんですけれども、二次流通のプロがCASHと同じようなサービスを始めようとしたり、別の業界から新規参入してくる可能性はどうでしょう?

光本:あり得ると思いますが、大量のモノと、大量のお金を扱うビジネスになりますから、簡単には参入しにくい領域なんじゃないでしょうか。需要があるとは思いますから、競合になり得る企業やサービスがいずれ出てくるんじゃないかなとは思いますけれども。

小飼:もし簡単にできるのであればもうやっていると思うんだよね。

山路:アプリの開発や、サービスの運営まで全部ひっくるめてノウハウなわけですからね。

資産となる、社会実験のデータ

光本:CASHのサービスを再開してから、日々ものすごいデータが貯まっていくんですよ。やはり、やってみて気づけること学べることがたくさんありますから、そこが私たちの差別化のポイントになっていくのかなと思っています。

山路:本当に走りながらというか、だれもやったことがないからロールモデルがないわけですもんね。

光本:まさに社会実験を毎日やっている感覚です。

山路:起業家の方はみんなそうかもしれませんが、メンタリティが常人より相当タフですよね。夜中に不安になって起きてしまったりとかしないんでしょうか?

光本:せっかくならフルスイングをしてやろうと、この事業をやっています。いちいち気にしていたら、なにもできないので。

小飼:本当にものは考えようです。会社のキャッシュがなくなっても、それで誰かが命を落とすわけでもないですし。自分自身も含めて。

光本:仮に会社のお金がなくなってしまっても、そこから得られる社会実験の結果とか、そこから得られるあらゆるデータは会社の資産になって、活用できます。なので、損をするイメージはまったくしていなかったですね。

小飼:ビジネスそのものがすっ飛ぶよりもデータベースがすっ飛ぶほうが怖いね。

海外進出の野望はある?

小飼:海外進出の予定とか、野望とか、願望はありますか?

光本:ぜんぜん可能性はなくはないと思います。

小飼:そこで商号ちょっと気になったんですよ。

光本:なるほど。

小飼:BANKという社名のままでは、米国や英国には出せません。日本で「銀行」という屋号を勝手に使っちゃいけないのというのと同じ制約がある。「ソフトバンク」がぎりぎり通っているのは、スペースが社名の中に入っていないからでしょう。

山路:だから最初にいきなり社名についてツッコミを入れていたんですね。

小飼:特に米国はSECがすごくうるさいから。彼らは国外の企業にも文句言うんですよ。米国市民がひっかかりそうであれば海外の業者であろうと文句言いに来るところだから。

CASHから見えてきた、ユーザーが求めるサービス

山路:CASHのアプリは相当作りこまれているという印象を受けました。ユーザーインターフェイスの設計など、開発において気を付けたことはどんなところでしょうか?

光本:やりたいことが明確でしたので、それをいかにシンプルに表現するかを意識しました。不必要なものはできるだけ切り落としていきましたし。あと、瞬間的にお金が手に入っちゃうのはちょっと怖いと思うんですよ。

山路:怖いです。

光本:ですから、そういう怖さや不信感を感じさせない表現は心がけました。

小飼:CASHを運営している本人を前に言うのもなんですけれども、例えば今の段階でiPadはマックス2万円です。持ち主がもっと売り先を吟味すれば、もっと高く売ることもできる。ソフマップとかに持っていけば、もっといいお金になるというものを、たった2万円で手放すわけですよ。

光本:うまく使い分けていただくのがいいんじゃないかなと思っています。別に僕たちはユーザーをだまそうと1ミリも考えていなくて。
 隠すつもりもありませんが、たぶんヤフオクやメルカリで売った方が高くなると思います。ですから、買取価格を重視される方は、そちらを使われたほうがいいと思うんです。ただ、この瞬間に現金が欲しいという需要もありますから、手間よりもスピード重視するという方に使っていただければいいんじゃないかなと。

小飼:オアシスまで行けば水はいくらでもあるけれども、今この場に水を持って来いというのに応えてくれるサービスなわけですよね。

光本:私たちも可能な限り、高く買い取りたいと思い、今いろいろ精査をしているところではあるんですけれども、株式会社でやっている以上は収益を上げる必要があります。その収益性やリスクを加味して、今のような買取価格になっています。

山路:どういう方がCASHを利用されているのでしょう?

光本:SNSでのつぶやきや、私たち独自のアンケート結果を見ると、フリマアプリやオークションを使われているような方々と似ているのかなという印象があります。

山路:今の日本で、今すぐ少額資金が欲しいという需要は増えているんでしょうか?それとも、昔からあった需要が再発見されたということなんでしょうか?

光本:私は昔からあったんじゃないかなというのは思っていますけれどもね。

小飼:でも、手間がかかりすぎてだれも手を付けられなかったと。どうそろばん弾いても赤字じゃないかというビジネスを、「待てよ、このやり方なら黒字にできるんじゃね?」と気が付かれたわけですよね。昔はスマホもなかったから、電話番号である程度の与信を取るという手段も使えなかったわけですよ。

貧テックサービスから見る社会の格差

山路:格差が広がっているという議論が最近盛んですが。

小飼:格差というのであれば、それはあると思うよ。物事の準備をきちんと進める人からすれば、「今すぐ2万円を欲しい」なんていう人はバカじゃないかとおもうかもしれない。「前日にATMで下ろしておけばいいじゃないか!」で済んじゃう話かもしれない。しかも、お金が欲しいと言う人は、買った時よりもずっと低い金額でモノを手放そうとしている。だから、そもそもモノを買わなきゃいいんじゃないか、買わなきゃその分のお金が丸々手元に残っていたんじゃないか。そんな風にいうことはいくらでもできますよ。
 だけど、世の中全員、賢くて無駄遣いなんか一切しなくて、用意周到な人ばかりだったら、経済の規模はここまで大きくなったでしょうかね。

山路:経済成長はありえなかった。みんな馬鹿みたいにお金を使う、割高なものを買うから経済が回っている(笑)。

小飼:そうなんです、『アホガール』がいるからバナナの市場が成立するんですよ。それはちょっと違うか(笑)。

 

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