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小飼弾の論弾 #33「ゲスト対談:クマムシ博士 堀川大樹氏(その3):科学研究はニートのたしなみ?」

2017/03/30 07:00 投稿

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「小飼弾の論弾」で進行を務める、編集者の山路達也です。1月23日(月)に行われた、クマムシ博士こと、堀川大樹さんとの対談を3回に分けてお届けします。動画も合わせてぜひご覧ください。

次回のニコ生配信は、4月3日(月)20:00の「小飼弾のニコ論壇時評」。旬のニュースをズバズバ斬っていきます。21:00頃からは、通常の「小飼弾の論弾」をお届けします。

次回もお楽しみに!

■2017/01/23配信のハイライト(その3)

  • 全人類をニートにしてしまえ
  • 実はショボい? NASAの研究環境
  • やりようで人生は面白い方向に転がる
  • 人が何にハマるかなんて、わからない
  • 著作権をないがしろにするサービスとはちゃんと戦おう

全人類をニートにしてしまえ

小飼:いまだにほとんどの人が労働の対価としてしかお金をもらえないっていうのは、どんなに貧しいんだと思いますよ。

山路:そもそも研究者っていうのは、自分の趣味をやっているわけですからね。「お前は面白いそうなことやってるから」ということで、パトロンからお金をもらっているという。

小飼:全員ニートになって、やることがなくなって、「しゃーない、研究でもしてみるか」っていうふうに全人類がなればいいじゃんと、僕は7割方本気で思ってますよ。時給1500円にしろとか、本当にさもしいよ、お前ら!(笑)

山路:クマムシ博士みたいに、自分でグッズ作ったりとか、メルマガやったりとか、できる人ってなかなか多くはないですよね。

堀川:たぶんやろうとしないだけじゃないですか。頭おかしくないとしないですよ(笑)。

小飼:でも、頭おかしい方が面白いじゃん? 面白くするためには、やっぱり今ある後ろめたさは片付けておきたい。いまだに残っている貧困だとか、人類が後回しにしてきた宿題はとっとと片付けて、みんなニートになって「変なことしようぜ」っていうふうに(笑)。

堀川:人類の歴史を見ると、段々そこに向かっていっているように思います。ただその一方で、人間ってやっぱり、相対的に物事を考えちゃうじゃないですか。

小飼:「俺はこんなに一生懸命やってるのに……」っていうやつですか?

堀川:うん、周りを見ちゃうんですよね。例えば、今ニートで飢えずに生きていけているのに、自分よりも年収や社会的ステータスが上の人を見て、「ああ、俺はニートだって卑屈になってしまう。ああいうのって、解決しないのかな。

小飼:そこも含めて人類の宿題なんだと思いますよ。
 そもそも「時給」って考えが間違っているし、君らが働いていると思っているのは、そもそも科学的に見て間違いだから! 働いているって言うなら、「お前、光合成してみろよ」と。我々がどうやって生きているかって言ったら、太陽エネルギーを植物からピンハネしているだけだから。

堀川:なるほど(笑)。

小飼:我々は自分たちがちゃんと寄生虫であることを認識すべき。ああ、すまん、それは虫にとって失礼かもしれない。「我々は寄生体である」っていうところから始めるべきだと思うんですよね。

堀川:今「ニートが過半数を超えないと」ってコメントが出ましたが、これが一番解決方法に近いんじゃないかと思います。

山路:みんなが生活保護で養われるようになって、制度が限界になった時に始めて社会が大きく動くかもしれないですね。

小飼:うん。ただやっぱり歴史はまっすぐ前には進まないね。それは去年、イギリスとアメリカの選挙の結果が示すとおりですよ。

堀川:以前、シチリア島に行ったんですが、あそこの20代の若者のうち、4割くらいがニートらしいんですよ。でもね、幸せそうにしてるんですよ。周りもニートだとあんまり劣等感を感じないのかな。

小飼:それはあるかもしれない。10人のうち9人が働いていて1人だけ何もしていないと、その1人は嫌な気持ちになるだろうけれども。でも、いわゆる先進国で定職についている人たちはせいぜい5割なんですよ。日本って人口1億2000万人だけど、労働人口はその半分くらいでしょ。でも残りの人たちは働いていないのかって言ったらそんなことはないでしょ。

山路:家事をしていたりもするだろうし。

小飼:そうそうそう。

山路:子どもの面倒見てたりもするし。それも仕事だろうと。

小飼:そう、そう! だから自宅警備というのは立派な仕事だと僕は思っています。ただ「やるからにはちゃんとやれ」とも言ってるけどね。

実はショボい? NASAの研究環境

山路:日本のポスドクの話に戻ると、日本では国が意図的に博士を増やしましたよね。

堀川:これは難しい話なんですが、その時点では国力を底上げするのに博士を増やそうということになったわけです。これによって、いい人材もかなり出てきたと思います。
 ただ、ミクロの視点で見ると、僕もその一人ですが、うまくいかないであぶれちゃった人も出てきた。そういう人たちは、どうしても人のせいにしたくなって、「ポスドク1万人化計画がいけなかったんだ」と。博士号を取るような人は小さい頃から田舎なら「神童」とか呼ばれてチヤホヤされてきた。ずっと「優秀」だったのに急にはしご外されて、「自分の能力が足りない」と認めたくない。
 でもそんなことをしていてもしょうがないと僕は思っていて、だからこんな帽子を被ったりしているわけです(笑)。

小飼:何かを研究するというのは最高の暇つぶしのはずなんですよ。そして、おそらく暇つぶしというのは人類の生存のために必要なことなんですよ。

山路:「役に立つ」ということではなく、「面白いからやる」ことが必要だと。

小飼:そっちの方が本質的なんですよ。世の中に仕事を持っていない人はいるけれども、遊ばない人というのはいないんですよ。どっちが本質的かって言ったら遊びの方なんですよ。

山路:今、「NASAの話を聞きたいな」というコメントをいただきました。NASAの研究環境はどうでした?

堀川:これが本当にショックだったんですよ。NASAって、人類の夢っぽいところがあって。ハイテクでなんか全部キラキラしているようなイメージがあるじゃないですか。でも実際に入ったら、日本の地方大学にある研究室の100倍ショボいんですよ(笑)。

 

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