クック のコメント

「えのげなのげ!う……、うんこ食べるのげ!」
言い切ると顔を両手で覆った。悲鳴と笑いが上がり、えのげを追い詰めてゆく。
目元からは涙が溢れかけていたが、笑われては悔しいので、顔を拭って見えないようにする。
その惨めな姿がまた視聴者たちの加虐心を煽るのである。喝采を浴びる。しんと静まりかえり、そして四百の瞳。
悲しみで顔をくしゃくしゃにしたえのげは、器の上にしゃがむと、そのまま脱糞しようとする。
「ん、うぅぅ…」
食糞はえのげの十八番であった。糞を食う姿が汚らしく、嘲笑えば泣き出すので、えのげにやらせるにはもってこいの芸であった。
食糞は初めてではなかったが、何度繰り返そうとも慣れることはなかった。えのげの繊細な心は、いつでも彼を苦しめ追い詰めるのである。
そして、心理的な緊張が体の不調を呼ぶ。人の目に晒されて排泄できるほどえのげは無神経ではなかった。
肛門が固まってしまったかのようにすぼまっている。力もうとしても力が入らない。うんこが外にでることを拒否しているように思えた。
長い長いうんこどころか、かけらでさえ出てこない。
えのげが手間取っている姿に苛つくのか、UNEIは氷のような視線でえのげを見る。UNEIの冷たい声が鼓膜に届く。
「おめえよぉ……ふざけてんのか?」
UNEIが不機嫌そうに頭をかかえると、えのげの顔には恐怖が塗りたくられた。
「なぁ、出来るって言ったよな?約束したよなぁ!?オイ!?」
「あ、ぁぅ……」
「場をしらけさせるな」
叱られた子犬のような顔をする。そしてまた笑われる。えのげは何をしても笑われる。
えのげにとってのUNEIは決して逆らえない存在だった。えのげは意を決したように、自分の排便先、器の底をじっと見つめた。
ここに出すのだ、そして出しただけでは終わらない。けれども、出さなければアフィカス生活の終わりが待っている、これ以上に耐え難い責め苦だ。
ぷすと、屁の音がする。くすくすと笑われる。顔をあげると、大勢の視聴者たちが好奇の視線でえのげを見ていた。
あるものは興奮し、あるものは軽蔑していた。
「う、うぅぅ……!」
茶色くコロコロとした便が顔を出すと、会場が悲鳴と爆笑に包まれる。好奇と軽蔑と失笑が入り混じった視線が雨のように突き刺さる。
肛門の皺が一際広がると、かため粘土の玉をぎゅっとひとつなぎにしたような長い便がぬるりと現れ、器に落ちる。
そして丸いうんこ、そしてそれらが栓になっていたのか、その後ややゆるめの便が、プスプスという屁の音とともに器に盛り付けられていった。
悪臭が広がる。シャッターを切るものもあった。
「あっはー! いいぞー!」
「マジで糞してやんの、あはははははっ!」
おちょこがえのげに投げつけられ、どっと爆笑がおこる。会場の視聴者の反応は、この時点で三つに分かれた。
コマンドー部隊などは率先して囃し立て、えのげのいじめに加担し、積極的にこの催しを楽しんでいた。
たいていの視聴者は、わずかに同情しながらも、酒を片手に事の成り行きを観察している。消極的に、その痴態を嘲笑っていた。
でんきマニアなど立場の弱い擁護者たちは、自分がターゲットにされないよう、空気を読んで引きつり笑いをしている。
ニコニコブロマガは自由に見えても、実際は、徹底したヒエラルキー社会である。そもそも、「アフィカス」それ自体によって覆せない力の差が生まれる世界だ。
そのような世界でアフィカスやその擁護派がターゲットになることは、逃げ場のない破滅を意味している。
排泄を終えたえのげは畳に座ると、おまる代わりの器を前に正座した。顔を真っ赤にして、震えながら山盛りの大便を見る。
その顔は涙でぐしゃぐしゃになっていた。シャツの裾を握る。心臓がバクバクと鳴った。加虐心を呼び起こすその姿は、何枚もの写真を撮られた。

No.4 110ヶ月前

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