BAND WORKS 30TH ANNIVERSARY
-最終章-
──まずは、11月5日に大阪BIG CATで行った「KISAKI BANDWORKS 30TH ANNIVERSARY LIVE~BEYOND THE KINGDOM -OSAKA-」公演を終えての感想から伺いたいと思います。
KISAKI 僕の30周年を締めくくるイベントとして、あの日はともに切磋琢磨してきた仲間たちを集めて開催。楽屋では、ずーっと和気あいあい楽しく過ごせば、ステージの上では各バンドが最高の華を添えてくれました。しかも、みんなが最後まで残り『神歌』のセッションにも参加してくれた。みんなの熱い想いやサポートもあり、あの日のライブは本当に完全燃焼できました。
──出演した全バンドのメンバーが、KISAKIさんをリスペクトしたうえでライブを行えば、みなさんKISAKI ISMをしっかり踏襲されていましたよね。
KISAKI みんなの想いが伝わってきたのは、すごく嬉しかったです。今回のイベントには、僕が30年間の活動を通して関わりを持った縁のある人たちばかりが集まってくれました。僕のことをよーく知っている人たちばかりだからこそ、自分がヴィジュアルシーンに刻んできた意志を受け継いだ姿をみんなが見せてくれたことは本当に嬉しかった。ほんと、アーティスト冥利に尽きますよね。
僕の30周年を記念して誕生した当日限定のバンドTHE LOCUSのメンバーたちも、少ないリハーサルの中とはいえ、歴史に残るライブを示してくれたように、改めて本当に信頼のおける仲間たちだなと感謝しています。
──ラスト、出演者全員で歌い演奏した『神歌』の大セッションのグチャグチャさも、イベントらしい楽しさで圧巻でした。
KISAKI 僕自身が憧れていたEXTASY SUMMITのラストのセッションのような、あのグチャグチャっとした感じを自分のイベントでもしっかり味わえたのも、素直に嬉しかった。あのときの舞台上、ボンベの中身が無くなるまでCO2を吹きつけるなど、YOSHIKIさんから受けた衝撃を僕なりに踏襲。やりたいことは、あのセッションですべてやり尽くせました。
──30周年を彩るライブ活動は、これで締めくくりましたけど。作品としての30周年の締めくくりになるのが、KISAKI BANDWORKS 3OTH ANNIVERSARY LAST ALBUM『Eternally』、KISAKI BANDWORKS 3OTH ANNIVERSARY LAST SINGLE『破 戒』、ENDING MV『Re_REQUIEM〜FINAL MIX〜』の3つのアクションになります。
KISAKI アルバム三部作に引き続き、今回も、いろんなアーティストをゲストに招いて制作をしています。30周年の動きは、この3アクションを持って完結します。中でもLAST ALBUM『Eternally』へゲストヴォーカルとして参加してくれた苑(摩天楼オペラ)/藍(DEATHGAZE・DARREL)/AKIRA(MIRAGE・RENAME)の3名が、作詩にも参加してくれたのが聴きどころですね。彼らが僕の30周年をどのように受け止め、どういう想いを記したのかは、アルバムのブックレットを通して確かめてください。
──もちろんKISAKIさんも数多く作詞を手がけていますが、どの歌詞も、大きく要約すれば「破滅に向かった」内容が多くないですか?
KISAKI それこそが、今回の3作品を象徴するワードであり、僕自身の気持ち。ただし、けっしてネガティブな意味ではなく、胸に響く感動の映画を見終えた後に心に残る想いや余韻のような感じで受け止めていただけたらなと思います。
当初は、3タイトルともLAST ALBUM『Eternally』へ集約しようとも思いましたが、すべてを1枚にまとめあげてしまうと、物語としての統一感が散漫してしまう恐れもあったことから、「永遠」をテーマに据えた『Eternally』、タイトルが示す"破壊"がテーマの『破 戒』、鎮魂という意味を持つ『Re_REQUIEM〜FINAL MIX〜』と分ける形にしました。ただ、どの作品でも、根底にある想いは共通しています。中でも『破 戒』は、30年間のバンド活動の中で積み重ねてきた経験や蓄積を一度破壊し、ゼロに戻す意味を込めました。『破 戒』に込めた想いを受けて、『Re_REQUIEM〜FINAL MIX〜』の歌詞に触れたら、いろんな想いを巡らせていけるんじゃないかな。
──あえて希望を持った形で終わるのではなく、一度すべてを破壊し尽くすところもKISAKIさんらしいですよね。
KISAKI 『破 戒』は、僕がヴィジュアル系という音楽やシーンに触れて衝撃や衝動を受けたときの気持ちを大切に作り上げた楽曲です。激しい楽曲を30周年の歩みの最後にぶつけたかったし、聴いててテンションのアガる内容に仕上がったなとも思っています。
──『破 戒』を受けたうえで配信リリースになるENDING MV『Re_REQUIEM〜FINAL MIX〜』でも、KISAKIさんは「世界が終わるなら綺麗な心も大切な未来も全て壊れる」と記しました。それも衝撃的だと感じたんですよね。
KISAKI これは、過去に発表した『REQUIEM』という楽曲を新たに昇華。語りとなるヴォイスをRAMI(Aldious・Raglaia・RAMI THE REQUIEM)ちゃんにお願いをし、イメージ映像では、自分とLILLY(Little Lilith)ちゃんがイメージモデルとして参加してくれてます。すごく綺麗な映像です。でも、もの悲しい、僕の30周年の歩みの最後を締めくくるに相応しい楽曲や映像として作りあげました。
──3タイトルとも、異なる表情を味わえるのも嬉しいですよね。
KISAKI LAST ALBUM『Eternally』は、僕の音楽的なルーツを完璧に詰め込んだ作品。LAST SINGLE『破 戒』も、僕の音楽的なルーツであり、90年代初期の頃にあった音楽的な棘のある衝動を詰め込みました。そこを踏まえたENDING MV『Re_REQUIEM〜FINAL MIX〜』に触れることで、僕自身の30周年の音楽活動を集大成したプロジェクトは、しっかりと完結します。
実は今、11月5日に行った大阪BIG CATでのイベントの模様を映像化しています。現状、TVの全国放送の特別番組としてオンエアする方向で話を進めているので、その形で流れる公算は大きいです。ただし、時期的に放送は2024年になってしまいますけど。今回のライブに触れられなかった人たちは、その放送を楽しみにしていてください。映像チームには、今年3本行ったライブの模様をすべて収録してもらえば、レコーディング時の姿も撮影をしていただいたので、今年撮った映像たちがどう使われるのかは、僕自身も楽しみにしています。
──KISAKIさんのファンならきっと気になっているのが、30周年の集大成となる3作品の動きを通して、これまでの歩みを一度破壊し尽くしたこと。過去にも"破壊と再生の美学"を追求してきたKISAKIさんだからこそ、またここから新たな再生の道を築き始めるのではないか??と期待を持って見てしまう人たちも多いと思います。
KISAKI 僕自身の過去を振り返ってもらえればわかるように、バンドもレーベルも、何度も破壊をしては再生を繰り返してきました。だからと言って、すでに次の動きを考えているわけではないです。まずは30周年の動きをすべて完結させ、そのうえで少しだけ休もうと思っています。その後のことは、それから考えるんでしょうけど。ふたたび表舞台に立つかは、正直わからない。ただし、音楽の仕事にはずっと携わり続けます。それを示す形が楽曲制作や、バンドのプロデュースになるのか、どういう形を取るのかは、そのときにならないことには自分でも答えようがないので、今は12月31日まで、破滅に向かって突き進み続けることだけに全集中しています。そのうえで来年以降、自分が動くことへ本当に意味があると思えたなら、何かしらアクションを起こす……のかもしれないですね。
──今,KISAKI ISMを受け継いでいるバンドマンがたくさんいます。そういう人たちを、もっともっと増やしていくこともしてくれたらなとも個人的には思ってしまいます。
KISAKI そういう声はいろいろいただいていますし、そうやって声をかけてもらえるのは素直に嬉しいですよね。僕はヴィジュアル系というシーンが本当に大好きだからこそ、そうやって爪痕を残せたことが嬉しいんです。ただ、繰り返しにはなりますが、今は、30周年をしっかり締めくくる作業へ没頭したいからこそ、まずはそこへ集中させてください。
改めて伝えるなら、LAST ALBUM『Eternally』には、僕がヴィジュアル系という世界で影響を受けた要素を100%詰め込みました。流行りに左右されることのない、先に発売した3枚のアルバムを含め、今年リリースする全作品を、ヴィジュアルシーンの歴史を語るうえで欠かせない永久保存作として残しておくに相応しい作品として仕上げられたなと思っています。
──改めて、今、KISAKIさんが言葉にしたい想いを語っていただけたら嬉しいです。
KISAKI 30年間走り続けてこれたのは、いろんな時期の僕を応援してくれたファンのみなさんや関係者各位、戦友といえる多くの仲間たちがいてくれたおかげ。本当に感謝しています。僕と同世代のアーティストたちは、まだまだ現役で頑張っています。だからと言って、自分を安売りしてまで何かをしようとは思わないので、破壊し尽くした後の、その後の未来は、みなさんも長い目で見ながら待っていてください。その前に、約3年前から水面下で動き続けてきた30周年のプロジェクトがようやく完結を迎えます。まずはその動きを、最後までしっかりと見届けてほしいです。
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