参加メンバーのなかでいちばん年上だということで、僕が会長になった。そして僕の次に年長である、オリックス会長の宮内義彦さんが、理事長を引き受けた。
ほかにメンバーには、高橋洋一さん、古賀茂明さん、原英史さん、岸博幸さんがいる。彼らはみんな元官僚だ。官僚機構の改革を目指したが、さまざまな抵抗にあって、ついには組織を飛び出した人たちである。官僚機構のように巨大な既得権益を持つ組織を、中にいる人間が変えようとしても、その他大勢が大反対するに決まっている。内側からの改革なんて、できるわけがないのだ。
これは国会議員でも同様だ。その最たる例が「一票の格差」問題だろう。選挙区ごとに、有権者1人あたりの「1票の重み」が不均衡な状態にある。これが法の下の平等を定めた憲法に違反するとして、各地で訴訟が起きた。そして「違憲状態」という判決や、なかには「選挙無効」とする判決も出ている。区割りや定数の是正は急務なのだ。
しかしながら、見直しを行おうにも、定数が減る選挙区の国会議員は、当然、猛烈に反対する。死活問題だから必死なのだ。他の国会議員も、仲間の血を流してまで改革をしようとはしない。できないのだ。
それならば、僕たちが外側から政府を監視し、問題点をえぐり、改革していこうではないか。そんな意気軒昂な人間が集まったのが、この「万年野党」なのだ。ほかにも、堺屋太一さん、冨山和彦さん、新浪剛史さん、辰巳琢郎さんなど、さまざまな分野から、力強いメンバーが結集している。
活動も活発だ。たとえば『国会議員三ツ星データブック』という書籍を発行した。国会議員の国会での活動実績をきちんと検証し、その人が本当に仕事をしているのかを明らかにする。民主主義の質を高めるきっかけにしたいという試みだ。
「国会議員質問力評価」ということも行っている。たくさんの人に参加してもらって、各国会議員の国会質問の「質」を評価したのだ。他にも、アベノミクスの目玉である国家戦略特区を徹底分析、それにシンポジウムも開催している。このように、国会、政権に厳しい目を注ぎ、政治をどんどん活性化していきたいと考えているのだ。
「万年野党」の活動が国民に浸透すれば、国会議員はいままでのようにぼんやりしていられなくなるだろう。いや、そもそも国会議員に怠けられては困るのだが。
とにかくこうした活動によって、政治というものが僕たち国民にとって身近なものになるのではないだろうか。とくに、若い世代の政治に対する無関心が問題になっている。この活動が、そういう傾向を防ぐことになると、僕は考えている。
80歳を過ぎてから始めた、この新しい活動に、僕は今とてもわくわくしているのだ。
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〈田原総一朗(たはら・そういちろう )プロフィール〉
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政策NPO「万年野党」、いかにも何かをやりそうで期待できそうであるが、与党に対するたんなる提言機関に過ぎないのではないか。万年野党は、昔の社会党であり、現在の共産党が当てはまる。政権を取るつもりはなく、存在感だけをあらわにしている。ただ、共産党は、地方と中央で区別する必要があり、地方はかなり地域住民の声を議会に持ち上げ、住民にこたえています。一方中央は、独りよがり、国民に身近な政党に感じられない。
発足を前にして、否定的なことを言うのははばかられるが、あえて端的に言えば、支援する組織を具体的に持っていない提言機関「政権獲得を目的にしない万年野党」は、得てして自己満足に陥りやすい傾向を否定できない。