田中さんはアベノミクスによって国民が根拠なき期待を持っていると仰っていますが、根拠はあります。量的金融緩和と財政出動のポリシーミックスは、1930年代に日本がデフレから脱却したときに高橋是清が行ったものと同じです。これにより2,3年でデフレから脱却し、経済成長率も高まり、消費者物価上昇率2%、実質経済成長率7.2%の成長を達成しました。さすがに実質で7%の成長は厳しいと思いますが、これは期待せざるを得ません。 是清の時代は1931年の金本位制離脱と1932年の国債日銀引き受けにより、予想インフレ率が上昇し、株価が上昇し、円安になり、実質金利が低下しました。現在も当時と同様に、金融政策のレジーム転換により予想インフレ率が上昇し、株価の上昇、円安、実質金利の低下が起こっています。これらは設備投資の増加、雇用の増加、実質GDPの増加などと約0.7以上の相関があります。 リーマンショック以降の円高についてですが、これは欧米がマネタリーベース(通貨発行量)を2倍、3倍と増加させたのに対して、日本はほとんど増加させなかったためです。特に2007年から2011年5月までの日米のマネタリーベースの比率と円ドルレートの相関係数は0.91です。 当初所得のジニ係数が日本より大きくても、日本より経済成長率が高い国はいくつもあります。もちろん格差拡大にも限度はありますが、当初所得の格差拡大により経済成長率が低下することはないと思います。あるいは格差が拡大した場合、再分配すればよいのではないでしょうか。 確かに民主党が政権に就いたときはアメリカなどでバブルが崩壊し、世界的に成長率が低下している時期ではありました。しかし、それに対する民主党の対応があまり適切ではありませんでした。民主党がやっていたことは公共事業を削減し、子供手当てなどの所得移転を増やすことです。公共事業に使えば、そのお金はそのまま投資として使われ、総需要を増加させますが、所得移転としてお金を配っても消費や投資として使われるかどうかはわかりません。乗数効果も所得移転より公共事業のほうが高いです。よって、総需要及びGDPは減少し、デフレは深刻化します。 所得移転の源は税金です。税金の源は名目GDPなので、名目GDPの増加なしに子供手当てなどの所得移転を増加させることはできません。これは小沢一郎さんが尊敬している田中角栄さんも日本列島改造論の中で仰っています。 『福祉は天から降ってこない 一部の人びとは「高度成長は不必要だ」「産業の発展はもうごめんだ」とか「これからは福祉の充実をはかるべきだ」と主張している。しかし「成長か福祉か」「産業か国民生活か」という二者択一式の考え方は誤りである。福祉は天から降ってくるものではなく、外国から与えられるものでもない。日本人自身が自らバイタリティーをもって経済を発展させ、その経済力によって築き上げるほかに必要な資金の出所はないのである。(田中角栄:著「日本列島改造論」(日刊工業新聞社)』 安倍政権の誕生時期と同じころにアメリカ経済が回復の兆候を見せ始めたと仰っていますが、何を根拠に回復の兆候を見せ始めたと仰っているのでしょうか。アメリカの経済指標をいくつか調べてみましたが、2012年の秋以降に回復を始めた指標はありませんでした。 ・ダウ平均株価は2009年2月を底に2013年6月まで一定のペースで上昇している。 ・失業率は2009年秋をピークに一定のペースで低下している。 ・四半期ごとの実質GDP成長率を年率換算したものは2010年から2%前後で推移している。 ・小売業の売上高の全月比増加率は2010年11月から概ね0~1%で推移している。 ・鉱工業生産指数前月比増加率は2009年夏ごろから概ね0~1%で推移している。 ・住宅着工件数(新規)は2012年の初めごろから増加を続けている。 ・耐久財新規受注前月比は2009年春ごろから概ね0~5%で推移している。 1930年前後の株価推移 http://www.seijo.ac.jp/files/www.seijo.ac.jp/univ/keiken/kankou/nenpo/keiken_nenpo25_iwata.pdf 34ページ 戦前の為替レート推移 http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2009/data/rev09j01.pdf 6ページ図表7 予想インフレ率の推移 http://www.bb.jbts.co.jp/marketdata/marketdata05.html 金融政策の実体経済への波及 http://www.seijo.ac.jp/files/www.seijo.ac.jp/univ/keiken/kankou/nenpo/keiken_nenpo25_iwata.pdf 17ページ以降 日米のマネタリーベースの比率と円ドルレートの関係 http://twitpic.com/7op9ef 公共投資と減税の乗数 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B9%97%E6%95%B0%E5%8A%B9%E6%9E%9C#.E5.85.AC.E5.85.B1.E6.8A.95.E8.B3.87.E3.81.A8.E6.B8.9B.E7.A8.8E.E3.81.AE.E4.B9.97.E6.95.B0 所得再分配の国際比較 http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/4666.html 主要国の実質GDP成長率推移 http://www.google.com/publicdata/explore?ds=wb-wdi&ctype=l&strail=false&nselm=h&met_y=ne_exp_gnfs_zs&scale_y=lin&ind_y=false&rdim=country&idim=country:JPN:USA:GBR:ITA:CAN:CHE:DEU:NZL:FRA&hl=ja&dl=ja#!ctype=l&strail=false&bcs=d&nselm=h&met_y=ny_gdp_mktp_kd_zg&scale_y=lin&ind_y=false&rdim=country&idim=country:JPN:GBR:ITA:DEU:USA:AUS:NLD:SWE:DNK:FIN&ifdim=country&tstart=901378800000&tend=1280070000000&hl=ja&dl=ja&ind=false 全ての源泉はGDPである http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_34.html#GDP ダウ平均株価 http://ecodb.net/stock/dow.html アメリカの経済指標 http://www.gaitame.com/market/indicator_usa2012.html
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田中さんはアベノミクスによって国民が根拠なき期待を持っていると仰っていますが、根拠はあります。量的金融緩和と財政出動のポリシーミックスは、1930年代に日本がデフレから脱却したときに高橋是清が行ったものと同じです。これにより2,3年でデフレから脱却し、経済成長率も高まり、消費者物価上昇率2%、実質経済成長率7.2%の成長を達成しました。さすがに実質で7%の成長は厳しいと思いますが、これは期待せざるを得ません。
是清の時代は1931年の金本位制離脱と1932年の国債日銀引き受けにより、予想インフレ率が上昇し、株価が上昇し、円安になり、実質金利が低下しました。現在も当時と同様に、金融政策のレジーム転換により予想インフレ率が上昇し、株価の上昇、円安、実質金利の低下が起こっています。これらは設備投資の増加、雇用の増加、実質GDPの増加などと約0.7以上の相関があります。
リーマンショック以降の円高についてですが、これは欧米がマネタリーベース(通貨発行量)を2倍、3倍と増加させたのに対して、日本はほとんど増加させなかったためです。特に2007年から2011年5月までの日米のマネタリーベースの比率と円ドルレートの相関係数は0.91です。
当初所得のジニ係数が日本より大きくても、日本より経済成長率が高い国はいくつもあります。もちろん格差拡大にも限度はありますが、当初所得の格差拡大により経済成長率が低下することはないと思います。あるいは格差が拡大した場合、再分配すればよいのではないでしょうか。
確かに民主党が政権に就いたときはアメリカなどでバブルが崩壊し、世界的に成長率が低下している時期ではありました。しかし、それに対する民主党の対応があまり適切ではありませんでした。民主党がやっていたことは公共事業を削減し、子供手当てなどの所得移転を増やすことです。公共事業に使えば、そのお金はそのまま投資として使われ、総需要を増加させますが、所得移転としてお金を配っても消費や投資として使われるかどうかはわかりません。乗数効果も所得移転より公共事業のほうが高いです。よって、総需要及びGDPは減少し、デフレは深刻化します。
所得移転の源は税金です。税金の源は名目GDPなので、名目GDPの増加なしに子供手当てなどの所得移転を増加させることはできません。これは小沢一郎さんが尊敬している田中角栄さんも日本列島改造論の中で仰っています。
『福祉は天から降ってこない
一部の人びとは「高度成長は不必要だ」「産業の発展はもうごめんだ」とか「これからは福祉の充実をはかるべきだ」と主張している。しかし「成長か福祉か」「産業か国民生活か」という二者択一式の考え方は誤りである。福祉は天から降ってくるものではなく、外国から与えられるものでもない。日本人自身が自らバイタリティーをもって経済を発展させ、その経済力によって築き上げるほかに必要な資金の出所はないのである。(田中角栄:著「日本列島改造論」(日刊工業新聞社)』
安倍政権の誕生時期と同じころにアメリカ経済が回復の兆候を見せ始めたと仰っていますが、何を根拠に回復の兆候を見せ始めたと仰っているのでしょうか。アメリカの経済指標をいくつか調べてみましたが、2012年の秋以降に回復を始めた指標はありませんでした。
・ダウ平均株価は2009年2月を底に2013年6月まで一定のペースで上昇している。
・失業率は2009年秋をピークに一定のペースで低下している。
・四半期ごとの実質GDP成長率を年率換算したものは2010年から2%前後で推移している。
・小売業の売上高の全月比増加率は2010年11月から概ね0~1%で推移している。
・鉱工業生産指数前月比増加率は2009年夏ごろから概ね0~1%で推移している。
・住宅着工件数(新規)は2012年の初めごろから増加を続けている。
・耐久財新規受注前月比は2009年春ごろから概ね0~5%で推移している。
1930年前後の株価推移
http://www.seijo.ac.jp/files/www.seijo.ac.jp/univ/keiken/kankou/nenpo/keiken_nenpo25_iwata.pdf 34ページ
戦前の為替レート推移
http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2009/data/rev09j01.pdf 6ページ図表7
予想インフレ率の推移
http://www.bb.jbts.co.jp/marketdata/marketdata05.html
金融政策の実体経済への波及
http://www.seijo.ac.jp/files/www.seijo.ac.jp/univ/keiken/kankou/nenpo/keiken_nenpo25_iwata.pdf 17ページ以降
日米のマネタリーベースの比率と円ドルレートの関係
http://twitpic.com/7op9ef
公共投資と減税の乗数
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B9%97%E6%95%B0%E5%8A%B9%E6%9E%9C#.E5.85.AC.E5.85.B1.E6.8A.95.E8.B3.87.E3.81.A8.E6.B8.9B.E7.A8.8E.E3.81.AE.E4.B9.97.E6.95.B0
所得再分配の国際比較
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/4666.html
主要国の実質GDP成長率推移
http://www.google.com/publicdata/explore?ds=wb-wdi&ctype=l&strail=false&nselm=h&met_y=ne_exp_gnfs_zs&scale_y=lin&ind_y=false&rdim=country&idim=country:JPN:USA:GBR:ITA:CAN:CHE:DEU:NZL:FRA&hl=ja&dl=ja#!ctype=l&strail=false&bcs=d&nselm=h&met_y=ny_gdp_mktp_kd_zg&scale_y=lin&ind_y=false&rdim=country&idim=country:JPN:GBR:ITA:DEU:USA:AUS:NLD:SWE:DNK:FIN&ifdim=country&tstart=901378800000&tend=1280070000000&hl=ja&dl=ja&ind=false
全ての源泉はGDPである
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_34.html#GDP
ダウ平均株価
http://ecodb.net/stock/dow.html
アメリカの経済指標
http://www.gaitame.com/market/indicator_usa2012.html