バイオリニストにとってバイオリンは商売道具であり、命同然ともいえる。そんなバイオリンが税関に押収された挙句、1億2千万円もの関税を要求されていたという事件が起きた。
●あらまし
今回、バイオリンを押収されたのはドイツ在住の有希・マヌエラ・ヤンケさん(26)。ヤンケさんは音楽大学ピアノ科教授であるドイツ人の父と、ピアニストである日本人の母との間に生まれた。3歳からバイオリンとピアノを始め、現在は長姉、長兄、次兄と4人でピアノカルテットを組んで活動もしている生粋の音楽一家である。ヤンケさんが今回押収された楽器は、イタリアの楽器制作者のストラディバリが1736年に制作した名器ストラディバリウスの“ムンツ”。楽器製作者のストラディバリは1737年に死去しており、最晩年に製作された名器だ。楽器収集家のムンツ氏が所有していたことから名がついたこの楽器“ムンツ”は、日本音楽財団がアメリカから購入し、ヤンケさんは5年前から貸与を受けて使用している。
●なぜ押収された?
ヤンケさんは、日本で公演を終えドイツに帰国したところフランクフルト国際空港で押収という形になった。空港側は、バイオリンの保険金額を約6億円とし、その19%である約1億2000万円を関税として請求しているのだ。税関は「輸入証明書や貸与契約書はあるが、転売する可能性もある」として、容疑をかけているのだが、輸入証明書も貸与契約書もあるのになぜ……。
フランクフルト国際空港では、今年の8月にもバイオリニストの堀米ゆず子さんが、時価1億円相当のバイオリンを持っていたところ約3800万円近くの輸入税を要求されるとともに、脱税疑惑もかけられるというとんでもないことが起きている。こちらは、高額商品を持ち込む際の申請を行ったためということだが、ヤンケさんの場合は何故このような事態のかはよくわからない。
その他にも、フランクフルト国際空港ではマスコミが機材に高額の関税をかけられたり、免税範囲外のものを免税申告しなかったとして関税を要求されるなどの関税トラブルが起きているそうだ。高額商品をもって海外旅行に行く際は十分に気をつけられたい。
画像はFlickrより引用
http://www.flickr.com/photos/ykjc9/3653326393/
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