日本の真裏に位置するアルゼンチン。首都ブエノスアイレスまでは、最低でも片道36時間のフライトを要するが、南米のパリとも呼ばれる美しい街に魅せられる人は多い。2013年1月29日に代々木上原にオープンした『Mi Choripan(ミ・チョリパン)』のオーナー、中尾真也もその一人だ。
まだ日本ではそれほど知られていない『チョリパン』だが、現地アルゼンチンでは老若男女から愛される国民的ファストフード。牛をはじめ、豚、鶏など肉食文化が盛んな国ならではの料理だが、炭火であぶったチョリソ(ソーセージ)を好みの野菜やチミチュリ(ハーブやビネガー、オイルを合わせたソース)とともにパンで挟む、アルゼンチン流ホットドッグのようなカジュアルな食べ物。現地では専門の屋台や一部のレストランで食べることができる。
かつては、東京・四谷にあるつけ麺専門店に勤めていたという中尾だが、退店をきっかけに世界旅行に飛び出し、アルゼンチンで出会った『チョリパン』の素朴で直球な美味しさに「これだ!」と一目惚れした。ブエノスアイレス市内、プエルト・マデーロ地区の水路近くにある通りに、チョリパン専門店がずらりと並ぶ一角があるが、中尾はそのエリアの店を食べ尽くしたうえで、自分がいちばん美味しいと感じた『Amparito(アンパリート)』という店に片言のスペイン語で直談判。日本でこの味を再現したいと通いつめ、店の掃除からはじめたところ、オーナーがその熱意を汲んで、チョリソのレシピとチョリパンの作り方を伝授してくれたという。
オレガノやバジルなどのハーブと香辛料がブレンドされた『チミチュリ』はビネガーベースでオイルを使わないさっぱりタイプなのがうれしい
自慢のチョリソは、牛豚の合挽肉に大きめに切った背脂、たっぷりの香辛料をブレンドしたもので、毎日店内で自家製している。これを炭火であらかじめ焼いておき、オーダーごとに半分に切ってからこんがり焼き上げる。そしてパンに載せるわけだが、このパンはグルメバーガーのバンズ作りに定評のある、東新宿の『峰屋』に特注しているもの。これを皿に載せてお客に渡し、それぞれが自分の好きなトッピングとサルサ、チミチュリで味付けするというスタイルだ(トッピングのおまかせもあり)。
タイムアウト東京がオープン初日にさっそく訪れたところ、肉々しいチョリソからあふれる肉汁と、パンチの効いたチミチュリがパンに染み込み、食べ応え抜群。かつてブエノスアイレスで実際にチョリパンを食べたことのある筆者含め、大満足の味だった(ポイントは欲張ってトッピングを載せすぎないこと!)。香辛料がしっかり効いたチョリソに、タマネギやニンニク、ハーブ類がたっぷり入った自家製ソースを好みのブレンドで合わせ、自分流のチョリパンを楽しんでみてほしい。
ジューシーなチョリソにチミチュリ、野菜の酸味と甘み、さまざまな食感が混ざり合う
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