今回はメカAGさんのブログからご寄稿いただきました。
■続・なぜ会社には「働かないオッサン」がいるか(メカAG)
続き。前回は自分とは異なる種類の仕事の価値やスタイルを正しく理解・評価するのは難しいという話だった。「でも自分と同じ作業をしている人の中にも明らかに無能なオッサンはいる」という人への答え。
たとえばプログラミング。若い自分の方がはるかに作業は速いし知識も多い。となりにいるオッサンは作業が鈍いのは言うに及ばず、知識もないからあれこれ自分に質問が来て迷惑。ミスも多くてそのたびに自分が尻拭いをする。100歩譲ってゼロなら我慢するがマイナスだ!と(苦笑)。
そうした部分はその通りなケースもあるだろう。だがちょっとまってほしい。それを投資と考えてはいかがだろうか?いや、冗談じゃなくて、前回の話と被るけれど、どんな仕事にもどうしても雑用的な作業は存在する。たいして高度な能力は必要ではないが、だからといっていざやるとなれば時間を食われる。
で、そういう仕事をバリバリに第一線で仕事をこなしてる人間にはやらせたくない。高い能力を持つプログラマに、そうでなくても出来る仕事をさせるのは不経済。雑用は能力がそこそこの人にやってもらいたい。
別エントリでも書いたけど、能力の高いプログラマ「だけ」を揃えると、この部分のコストパフォーマンスが悪いんだよね。雑用というのは能力が高い人間でもグダグダと時間がかかる。だからそれを処理するのにふさわしい人間がいた方がいい。
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打ち合わせとかも、周知のようにさほど能力や知識は必要とせず、だらだらと時間と手間ばかりかかる作業が大半だ。ただまったく開発の事情を知らない人間でも困るわけで、開発にそういう人間を混ぜておけば、「打ち合わせ」という「雑用」を割り当てられる。
「いや、そんな使えない人間を打ち合わせの席に出すから、妙な仕様になるんだ」と言うかもしれない。まあ、そういうのもないことはないが、だからといって能力の高い人間を打ち合わせの席に出せば、すばらしい仕様が決まるかというと…やっぱ相手があることだからね。いくらこちら側が高い能力の人間を出しても、相手方が無能な人間だと、あまり成果は上がらない…ことが少なくない。
それに言っちゃなんだけど、会社は同時並行的にいろんなプロジェクトを進めてるわけで、その中には最重要のプロジェクトもあれば、社員を遊ばせておくぐらいなら少しは稼いだ方がマシというプロジェクトもある。むろん最重要のプロジェクトには精鋭を投入する。もし自分が参加しているプロジェクトが必ずしも精鋭ぞろいでないなら、そういうこと(笑)。よくいえば「将来への投資」として現段階では、それほど重要でないプロジェクトもあるわけで。
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もう一つ。やっぱ人間は自分中心に考える癖がある。自分がいくら作業を効率よく進めようとしても客先や自社の他の部署、あるいは同僚に足を引っ張られて思うようにできないことは誰でも経験するだろう。そういう時人間は決して「自分が怠けている」とは考えない。自分は一生懸命やっているのに「他の人間に足を引っ張られている」と考える。
でもさぁ、その「他の人間」だって一生懸命やろうとしてるのに、別な人間に足を引っ張られているだけかもしれない。そんなことを言い出したら、結局全員が悪いということにしかならない(ある意味正しい結論ではあるけど、それを知ったところで何の足しにもならない)。
高い能力の同僚、心強い自社の他の部署、打てば響くような顧客。そういう条件で仕事をしたいのはやまやまではあるが…。現実問題としてそうでない以上は、そのギャップを吸収するためにも、それほど精鋭でない人間もいた方が、全体としてはコストパフォーマンスが良くなる。
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遊ばせておくぐらいなら少しでも稼いだ方がいいプロジェクト。そんな面倒なことしないで、仕事がない時は解雇し、必要になったらまた雇用すればいいじゃないかという意見はあるだろう。そんな馴れ合いというか温情的なことをやってるから日本企業はダメなのだ、と(笑)。
でもね、それはそれで効率があまりよくない。理屈としては派遣や外注を駆使すればいいわけだけど、当然彼らも彼らで食っていかなければならないから、うちの仕事がない時は他の仕事をするわけだ。
そうなるとうちが仕事を頼みたいタイミングで、スケジュールが開いてないことがある。だからとってそれまで全然付き合いのない新規の外注会社に頼むとなると、またゼロから打ち合わせとかをしなければならない。すでに付き合いのある外注会社ならこれまで知識で省略できるのにね。
このコストは結構大きい。打ち合わせに取られる直接的な時間もさることながら、打ち合わせのために自分のとこのエンジニアの作業時間が取られてしまう。しかもこの場合優秀なエンジニアの作業時間が取られてしまうから結構痛い。ということで人材をリザーブしておくという目的で、赤字にならない程度に稼いでいればいいプロジェクトというのはある。
もともとたいした難易度じゃないプロジェクトなんだから、人材を1軍の方に引っこ抜いて抜けた穴は、派遣とかで補うことが可能だし。野球の二軍みたいなものですな。
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ということで局所的、一般作業者の視界の中だけ見ると非効率なことも、トータルではプラスになっていることはある。本当に重要な中枢部分の効率の良さを維持するために、局所的には見れば非効率になってる部分もある。自分の周りが「非効率」に見えるなら、言いにくいけどそういう部分なのだ、と。
普通は言いにくいことは言わないからね…。「おまえのところはそういう部署なんだから効率が悪くていいんだ」なんて、仕事へのモチベーションを下げるようなこと普通はわざわざ言わない。言ったところで誰の得にもならない。「たしかにそのとおりだな、ひとつ改善案を提案してくれないか」とか言っといた方が無難。ひょうたんから駒で効率良くなるなら、それに越したことはないし。
関連記事:
「なぜ会社には「働かないオッサン」がいるか」 2014年09月25日 『ガジェット通信』
http://getnews.jp/archives/670961
執筆: この記事はメカAGさんのブログからご寄稿いただきました。
寄稿いただいた記事は2014年10月01日時点のものです。
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