消費者庁は9月8日、危険ドラッグを販売する業者に対して、特定商取引法取引法違反として実名を挙げて是正指示を行った。特定商取引法では、商品の通信販売を行う際に、販売業者の氏名や住所などの表示を義務づけているが、これらを偽っていたとして、危険ドラッグ通販サイトを運営する東京都台東区の男性(25)に是正指示を出した。
消費者庁の指示に従わない場合、業務停止命令や、同法に基づいた罰則が科せられることとなる。特別商取引法に基づく、危険ドラッグ通販業者に対する行政処分は初めて。
消費者庁は、8月から危険ドラッグの通信販売サイトに対して、特定商取引に関する法律による集中的な取り締まりを行っている。消費者庁のプレスリリースによると、消費者庁が選定した通販サイト146サイトのうち、特定商取引法上の表示義務に違反しているおそれがあるとみとめられた77サイトの運営者に対し、表示の是正を指示している。
なお、消費者庁の要請後1ヶ月を経過しても是正が確認出来ない場合は、通販サイトのURLや運営業者名を公表するとプレスリリース内で述べており、今回の業者の実名を挙げての是正指示は、これらの措置に基づいたものと思われる。
また、消費者庁は、特定商取引法違反に該当する危険ドラッグ通販サイトへサーバースペースなどを提供するインターネット接続業者(13業者)に対して、特定商取引法違反を行う業者であることを通知。また、消費者トラブルを防止するため、インターネット接続サービスの提供停止について協力要請を行っている。
薬事法違反による規制が厳しく行えないもどかしさ
今回の特定商取引法に関する規制は、消費者庁としては、異例の強行な取り締まりだと言われる。
消費者庁は、異例とも言える厳しい取り締まりの理由を明言していないが、薬事法による危険ドラッグの規制が厳格に行えないため、特定商取引法を根拠にした規制に踏み切ったのではないかという声が、各方面から言われているようだ。
危険ドラッグの販売業者は、吸引するための商品ではなく、入浴時に使ったり鑑賞するための商品だと主張して、薬事法による規制を逃れることがほとんどである。加えて、幻覚を引き起こしたりする成分についても、規制を逃れるために常に取り締まりの対象にならない化学構造を持った物質を作り出すなど、文字通りいたちごっこが続いている。
東京・池袋で、去る6月24日に脱法ハーブを吸引して交通事故を引き起こした事件が発生した。
同事件は、脱法ハーブの身体的被害について社会全体に衝撃を与えた。この事件の後行われた市民集会の中で、田村憲久厚生労働大臣は、脱法ドラッグを吸引することを知りながら販売を行った場合は、無認可医薬品の販売にあたり薬事法違反として取り締まりを行っていくという考えを示している。
興味本位に脱法ハーブを吸引し、健康を損ねるだけでなく社会生活を営めなくなるケースが指摘されている。また、一部の専門家からは、覚醒剤や向精神薬などの薬物より、脱法ハーブによる薬物依存状態の治療のほうが難しいケースもありうるという指摘もなされている。一刻も早い厳密な取り締まり体制が敷かれることを待ちたい。
※画像は消費者庁ホームページニュースリリース(PDF)より
http://www.caa.go.jp/trade/pdf/140908kouhyou_2.pdf
※この記事はガジェ通ウェブライターの「松沢直樹」が執筆しました。あなたもウェブライターになって一緒に執筆しませんか?
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