なぜそうなるのか、どういう意味なのか、すっと理解できない授業や言葉が少しずつ中学生くらいから増えてきたように思う。
英語の文法、変形図形の角度の求め方、物理の公式、難読の漢字、世界情勢に出てくる言葉、それから、背伸びして読んだ本に出てくる単語。(今だったら、ネット用語なんかもその部類かもしれないが、それはネットで調べられるか……今は)。
そんなとき、中学生たちはどうするか? かつての自分はどうしたか?
これまでの経験値の中でその意味を呑み込むしかない。自分なりの解釈で丸呑みするしかない。
答えを教わってもなぜそうなる理由がわからない授業は、丸暗記するか、無理矢理な語呂合わせをするか、定規・コンパスなどで強引に答えに帳尻を合わせるか、していた。
同じように、読み方さえもわからないような背伸びした単語は前後の文脈から無理矢理<予測>で読んでいた。論客たちが繰り広げるカタカナ横文字なんかは、いまだにそれで、理解したふりをしている。「たぶんそうだろう、もうそれでいいや」と。
この『荒唐無稽音楽事典』は、プロ無職・高木壮太さんによるそんな<予測に満ちた確信>の事典だ。音楽にまつわる有名な言葉・人物・モノなどがアイウエオ順に高木さんなりの解釈で説明されている。そのうがった説明は本来の意味を寸止めでかわしていたり、まったく違うベクトルに飛ばしてしまっていたり、時に最後の1行で正解と合致したりする。
正解を理解していないと出来ない芸当ではあるが、だからこそ正解を一度、完全に理解不能状態にもっていかないと出来ない事典である。読んでいくうちに、言い得て妙・確かに・そういえば!・あったあったなど、様々な感情に揺さぶられている自分がいる。
【オアシス】(バンド)…シンプルで演奏が簡単なので千葉県だけでコピーバンドが1000個以上あったそうである【カズー】(楽器)…外見がマリファナ吸引用のパイプに酷似している楽器
【デボラ・ホリー】(人物)…マドンナにキャラをのっとられた悲劇の歌姫
【ファンファーレ】(ジャンル)…葬式の時に流すと怒られる
『荒唐無稽音楽事典』より引用
●『荒唐無稽音楽事典』について
書名:荒唐無稽音楽事典
著者名:高木壮太
ガケ書房での通販ページ:http://gake.shop-pro.jp/?pid=72649877
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