闇金業者と闇金にまつわる人々のドラマを描き、累計860万部突破した大人気コミック「闇金ウシジマくん」。2010年には山田孝之主演で実写ドラマ化され、2012年には映画化。今年はドラマのシーズン2やスピンオフ作品も発表され、『闇金ウシジマくん Part2』が5月16日(金)より公開されています。
『闇金ウシジマくん』のドラマ、映画など実写作品全ての企画、プロデュース、演出を行っているのが山口雅俊さん。映画でも自らがメガホンを撮り、エピソード選びやキャスティングまで手がけています。
ドラマ『ナニワ金融道』『カバチタレ』、映画『カイジ 人生逆転ゲーム』など数々のヒット作品を生み出してきた山口監督にとっての『闇金ウシジマくん』とは? なぜ実写化しようと思ったのか? 色々とお話を伺ってきました。
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――監督が『闇金ウシジマくん』を実写化したいと小学館に連絡をしてから、8年という歳月が経ったそうですね。
山口監督:ドラマのシーズン1は闇金がテーマという事で、場合によっては放送出来ないという事もあり危険な橋ではありました。でも、ここまで社会的格差が拡がっている時代、きちんと作れば絶対に受け入れられる、という確信があった。
私が以前携わった『ナニワ金融道』は実写化権が取り合いになったんですね。当時、伊丹十三さんも手を挙げていて。一方、『闇金ウシジマくん』は犯罪である闇金の話だし、エピソードも強烈なので、自分が映像化しなければこの先される事は無いかもしれないと。
――映画第二弾となる『闇金ウシジマくんPart2』には、暴走族、ヤクザ、ヤンキー……ダークなキャラクター達がたくさん登場しますね。
山口監督:映画第一作目では、イベントサークルをやっている男の子と出会いカフェにハマってしまう女の子という、ある程度観客の生活に近いテーマの方が良いなと思ったんです。あまりヤクザとか暴力団とか出てこないストーリーという。で、二作目では以前から取り上げたかった「ヤンキーくん編」のストーリーを入れました。
――色々なエピソードが絡み合い、スピード感がものすごい作品でした。
山口監督:スタッフに最初に脚本を見せた時「これ全部やると4時間かかりますよ」って言われました。でも、無事に2時間ちょっとにおさめました!(笑)。
――今回の映画化にあたって改めて取材した事などはありますか?
山口監督:ウシジマの出身はここらへんであるだろうと思われる、関東の郊外の街に行きました。幹線道路には色々なチェーン店、サラ金のATMなどが並んでいて、駅前は閑散としていて、空洞化している地域。きっとウシジマや愛沢たちはこういう所で育ったんだろうと。日本の景気が全体的に良くなってきていると言われていますが、シャッターだらけの商店街を見ていると高齢者や若者がこれからどうやって生きていったらいいんだろうと思うわけです。『ナニワ金融道』の時代の方がまだマシだったんじゃないかと感じるような。今回の映画でみんなが争っている原点は、この街の中での居場所なんだって。
――愛沢というキャラクターは特に、狭い世界で威張って生きていくしかない人生の辛さを物語っていますよね。その他『闇金ウシジマくん』の実写化にあたり、こだわっている部分はありますか?
山口監督:札束や小銭という「現金」が画面に出てくる作品が好きなんですよね。ウシジマは犯罪者なので「こういう生き方をしてはいけない」という警告者なんですね。強く生きるにはどうしたら良いかというのを教える反面教師的な存在であって。それを伝える為にもちゃんと現金を映画の中で見せたい。
後は「物を食べている」という表現も大事に。直接の食事シーンが無くても良いんだけど、主人公が何を食べて生きているのかという事が分からない映画やドラマはあまり好きじゃない。この映画の中で、ウシジマはパンケーキ、駄菓子、焼鳥、すごく色々な物を食べているんだけど、それを通じてウシジマの「人間」の部分を辛うじて描いている。ウシジマというすごくキレ者の人間がどうして闇金なんていう仕事をしているのかというその何か根っこの部分を。
――原作にも印象的な食事シーンがたくさん出て来ますよね。監督が『闇金ウシジマくん』を初めて読んだ時、どんな部分に一番惹かれましたか?
山口監督:私が以前携わった『ナニワ金融道』というドラマは、金融屋の事をよく知らなかった主人公の灰原が、大阪の街や人に揉まれながら成長していくという話です。主人公が周りの影響によって変わっていく、これはドラマとしてはオーソドックスな構造なんですね。だけど『闇金ウシジマくん』の場合は、主人公のウシジマは全くブレずに周りの人が動いていく。そこにすごく面白さを感じています。
――まだ、実写化していないエピソードもありますし、連載も続いていますが、今後もドラマ化や映画化のお考えはあるのでしょうか?
山口監督:そうですね、山田君たちと相談してっていう感じになると思いますが、『闇金ウシジマくん』は、ダークなテーマでありながら、観終わった後「明日から一生懸命働こう」とか「眠いけどちゃんと学校に行こう」と観客に行動させるメッセージを持っている作品なので、ぜひ続けていきたいと思っています。
――今日はどうもありがとうございました!
映画『闇金ウシジマくん Part2』ストーリー
「10日で5割(トゴ)」「1日3割(ヒサン)」という暴利で貸し付け、容赦なく取り立てるアウトローの金融屋「カウカウファイナンス」の社長ウシジマこと丑嶋馨(うしじま・かおる)の周囲に群がる、ライバルの闇金業者やヤンキー、暴走族、ヤクザ、ホスト、風俗嬢、ストーカーといった金と欲望にかきたてられた人々の壮絶なサバイバルを描く。ある日、ウシジマの事務所に暴走族のヘッド・愛沢とトラブルを起こしたヤンキーのマサルが、愛沢に連行されてくる。愛沢はマサルに借金をさせ、その金を自分への慰謝料として払うよう要求するが、マサルはウシジマに懇願してカウカウファイナンスで働くことに。当てがはずれてしまった愛沢だが、彼にもまた、すぐにでも金が必要なある事情があった。
http://ymkn-ushijima-movie.com/
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