今回はメカAGさんのブログからご寄稿いただきました。
■美味しんぼと放射線(メカAG)
最近の美味しんぼはまったく面白くないので、目についた時にパラパラとめくる程度にしか読んでいない。スピリッツ自体は「王様達のヴァイキング」が連載されているので読んでるが。
なので全体的にどんな話になってるのか、あまりきちんと泊してないのだが、一生懸命福島の農作物の安全性をアピールしてた印象なのだが…(違ったらごめん)。んで安全の根拠というのは農作物を放射線測定器にかけて、「しっかりチェックしてますよ」という話だったと思う。国が決めた基準を下回ってます、と。
ところが今回は鼻血。でもいちおうこれも政府が決めた基準はみたいしているから、住人は住んでいるわけだ。俺はこの基準を支持しないが、それはまた別な話。
食品については国が決めた基準を根拠に安全だと主張し、住人の健康については国が決めた基準を満たしているにもかかわらず、警鐘を鳴らすというのは、美味しんぼの作者の姿勢に一貫性が内容に思うのだが、その辺合理的な説明があるのだろうか。
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無論食物の安全基準は妥当だが、住民に対する安全基準はおかしいという主張もあっていい。でもそれなら作者がそう考えていることをわかりやすく示すべきだろう。まあ今後の話の中で示されるのかもしれないが。
んで仮に作者はそういう主張だとする。となるとなぜ食物の安全基準については国の決定を支持し、住民の安全基準については国の決定と異なるスタンスをとるか、だ。その根拠はなんだろう。
これも推測になってしまうが、取材の中での作者自身の体験なのだろう。実際に鼻血が出たと述べているし。
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しかしここで問題になるのが、作者が直接体験したもの(鼻血)はそれを優先し、そうでないもの(食物の安全性)は国の決定を無批判に支持するという姿勢。
承知のように放射線の影響(癌など)は時間が立たないと現れない。つまり作者があくまで自分の実体験を重視するとなると、短時間で目に見えるような影響しか、正しく判断できないことになる。
国の基準を満たした食物だって、何年も経って影響が出る可能性があるだろう。そういう部分は無視して、実体験だけを優先して判断するのはいかがなものか。
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わかりにくい影響、症状が出るのに時間が掛かる影響、そういうものは個人の体験では正しく判断できない。だから過去の研究や統計データにもとづいて推測するしかない。まがいなりにも国はそういう方法で食物にせよ住民にせよ、安全基準を定めている(しつこいが俺はこの基準を支持ないが)。
このような統計的な判断は信用できないというなら、食物に対する安全基準も信じるべきではないのではなかろうか。美味しんぼの作者の姿勢は一貫していないように見える。それともすぐ症状が出る影響だけを考慮しておけばいいという考えなのだろうか。まあ、それはそれでひとつのスタンスではあるが…。
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放射線と関係なく鼻血を出す人は一定数いるだろう。だから福島で鼻血を出す人の数を数えるのではなく、他の地域と比較して福島で鼻血を出す人の「割合」が多いか少ないかを比較しなければならない。それには大規模な調査が必要。したがって美味しんぼの作者がどうしても鼻血の件がきになるのであれば、そういう調査を行うことを呼びかけるべきだろう。
ただそれとてバイアスの問題がある。福島に住んでいる人は敏感になり、他の地域の人が気に留めないような鼻血も、「鼻血が出た」と報告するかもしれない。結果的に放射線の影響がゼロでも福島で鼻血が出たと報告する人の割合が高くなるかもしれない。したがってそういう部分を何らかの方法で補正した上で比較しなければならない。これが放射線の影響の研究が一筋縄ではいかない理由だ。
執筆: この記事はメカAGさんのブログからご寄稿いただきました。
寄稿いただいた記事は2014年05月11日時点のものです。
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