先日お伝えした日本発の仮想通貨『モナーコイン』のコミュニティが、予想を上回る速度で大きくなっていた。
3月15日、モナーコインコミュニティに参加する人たちの呼びかけで、『モナーコイン・ビットコイン勉強会@東京』が開催された。会場は銀座にあるドワンゴ本社内の会議室。モナーコインコミュニティで「『ニコ生』なんかもできればいいね」と話していたのが、個人的にモナーコインに興味を持っていたドワンゴ社員の目にとまったことで、『ニコ生』中継も実現した。
会場の参加者はおよそ70名。年齢層は、恐らく最年少であろう17才の少年から白髪混じりのオッサンまで、幅広い。ノートパソコンは『MacBook Air』率高し。スタバでドヤ顔をしているかどうかはわからないが、皆、情報強者な雰囲気を漂わせている。
即売会コーナーでは、中古のグラフィックボードやタブレットPCから、チロルチョコ1個2monaとか、手品を教えてもらえる権利5monaのような、ネタっぽい商品までもがやり取りされている。スマホに表示した2次元バーコードを読み取ってモナーコインを送受信する仕組みには、なんだか未来っぽさを感じる。っていうか、いつの間にスマホウォレットなんかできてたんだ…。
メインプログラムである講演には、モナーコインを利用したサービスの提供者や“採掘”のエキスパートたちが登壇し、参加者同士による積極的な意見交換が行われた。
●ガチな人その1:月14万円稼いでいたプロ採掘人
今回参加したコアな人たちを最も驚かせた登壇者は、月の電気料金が8万円というプロの採掘人「@yuta_nakazawa」氏。2013年10月に仮想通貨に興味を持ち、当初は月に14万円分程度のビットコインを採掘していたそうだ。現在はコストパフォーマンスが最も高いとされる『Radeon R9 280X』(1枚4万円ぐらいするやつ!)を複数枚挿したパソコンを使い、真冬でも冷房を23度に設定した採掘専用部屋にて、ゴリゴリ採掘中。現在までに掘った枚数はおよそ4万モナーコイン。日本人が運営する大手採掘所『gikopool』の中でも一番多く採掘している人で、つまり日本で一番モナーコインを採掘しているかもしれないガチの人だ(ただし採掘環境の資金源は親)。
ただ、これだけガチな環境を整えていても、彼にとって仮想通貨の採掘は半分遊び感覚。投資でもあるが、それで生きていこうという気持ちはないそうだ。また、モナーコインの利用者が増えなければ将来的な価値の上昇も見込めないと考えているので、掘ったうちの半分ぐらいは流通させるようにしているとのこと。うむ、マイナーの鑑だ。
●ガチな人その2:17才のプログラマーも参入
「暗号通貨を使ったサービスの仕組み」と題する講演を行った「@palon7」氏は、『Twitter』を介してモナーコインの送受信ができるサービス『@tipmona』の開発者。ずいぶん若く見えると思ったら、年齢はなんと17才! “17才教”とかじゃなく、ガチの学生プログラマーだ。スマホでソーシャルゲームにハマったり、『Twitter』でヤンチャして炎上したりするのが今の高校生だと思ってたら、とんでもない人もいたもんだ。このように若い頭脳がモナーコインに興味を持っていることを知り、なんとなく明るい見通しを抱いてしまった。
この他にも、IT企業に勤めるオンライゲーム開発者とかサーバー管理者とか知的財産管理技能士とか、結構ガチな人たちがたくさん来場していた。
●ガチな人その3:金融関係者からの視点で未来を語る人
「仮想通貨の普及には信頼できる取引所の存在が欠かせない」と提言したのは、金融機関でファンド商品の開発をしている「@coinlabo」氏。過去に破綻したFX取引所やリーマン・ショックなどから得た教訓から、仮想通貨にも導入できそうな、取引所と“信託銀行”で分別管理する取引の仕組みや、信頼できる第三者機関が仲介することで、3者のうち2者以上が署名しないと送金できない仕組みなどを紹介した。
欧米ではビットコインに投資するファンドも登場しているらしいので、日本国内でも今後、何らかの形でモナーコインを扱う金融業者が出てきてもおかしくない。
●ガチな人その4:商品を売ってモナーコインを稼ぐ業者さん
即売会に本物のケーキ屋さんが出店。モナーコインでさまざまな物品・サービスをオークションする『モナオク!』で、最初期からほぼ毎週、シフォンケーキを出品しているガチの業者さんだ。モナーコインの価値がゼロになるリスクも承知の上で、「買えば買うほど価値が上がる商品を売るという社会実験」のつもりで、いち早くモナーコインコミュニティに参加している。また、実家で栽培している野菜をモナーコインと交換してみたいという人も現れた。
●「ビットコインとモナーコイン」は「ドルと円」のような関係に?
ビットコインの暴落とかMt.Goxの破綻のような不信感を与えるニュースばかりが注目されがちな仮想通貨界隈だが、なんだかんだいってもビットコイン相場はその後持ち直し、今は1BTC=600ドル前後で安定的に推移している。モナーコインも、ビットコインを含む他の仮想通貨との取引所が何軒か完成し、ビットコインのヘッジ先として認知が広まってきた。板はスカスカながら、サヤ取りで儲けている人もいるようだ。
ただ、モナーコインのさらなる普及のためには、乗り越えなければならない障害も多い。一般的なパソコンを使った採掘は既に非現実的な難易度になってしまっているため、これからモナーコインを欲しいと思う人の多くは、自分が所有する物やサービス、もしくは現金との交換が主な入手手段になる。
来場者を対象に行われたアンケートによると、現在所有しているモナーコインが1mona以下の人は5割程度、1monaから10monaの人が2割、10monaから100monaの人が1割、100monaから1000monaの人が1割、1000monaから1万monaの人が数人、1万mona以上の“大モナ持ち”が5人という結果だった(記者の目測)。
モナーコインの所有者を増やし、流動性を高めるため、モナーコインを欲しい人と売りたい人・ばらまきたい人の接点をどれだけ増やせるか。モナーコインの流通ルートをたくさん作り、偏在をどう解消していくかが今後の普及の課題と言えるだろう。
まだ発行されてから3カ月しか経っていないモナーコインだが、今回、多くのサービス提供者と実際に対面してみて、ちょっとやそっとのことでは価値がゼロになるようなことはないだけの素地は完成しているように感じた。将来への期待感からか、モナーコインの市場価格はこの日の午後、1mona=4円前後から6円まで急騰した。
モナーコインプロジェクト
http://monacoin.org/ja/
Start-MonaCoin はじめてのモナーコイン
http://monacoin-crypto.blogspot.jp/
※この記事はガジェ通ウェブライターの「ろくす」が執筆しました。あなたもウェブライターになって一緒に執筆しませんか?
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