節分といえば、なんといっても成田山の豆まきだ。全国にテレビ中継される豆まきは、すっかり風物詩になっている。
門前町では、節分限定の日本酒の発売も行われる。
例年、有名芸能人や力士が豆をまくのがおなじみだが、なぜ芸能人と力士なのだろうか?
新勝寺企画調整課の寺口照慧さんにお話を伺った。
■芸能人の豆まきは元々は大本堂完成記念だった!
寺口さんによると、芸能人豆まきは「昭和43年(1968年)の、成田山大本堂の落慶(完成)を記念するため、大相撲・高砂部屋の先々代の親方と、NHK経済部のスタッフの協力で始まった行事です。それから毎年行われています」ということだ。既に本堂では「謹賀新年」の看板を外し、「節分会」の看板がかかり、境内のあちこちで準備が行われていた。
「節分といえば成田山ということで、大勢の方に来て頂いております。お正月より節分で成田山を知る方も多いのではないでしょうか? 芸能人の方は、例年、NHK大河ドラマの出演者の顔ぶれを見て、スケジュールが合う、主役・準主役クラスの人気がある芸能人さんを、新勝寺からピックアップしてNHKさんにお願いしています。NHKさんの方でご都合の良い方に来ていただく、ということですね。主役でも諸事情でご都合が悪い方は来られませんが、今年は岡田准一さんが来られますね」(寺口さん)
成田山公式サイトで発表されている、今年の力士・芸能人は以下の通り。
大相撲力士
横綱白鵬、大関稀勢の里、前頭隠岐の海、前頭遠藤、前頭舛ノ山
NHK大河ドラマ『軍師官兵衛』出演者
岡田准一、速水もこみち、片岡鶴太郎、中谷美紀、桐谷美玲 (敬称略)
なお、門前の老舗の造り酒屋『長命泉』では、節分の日の朝に絞り上げ、成田山の僧侶に開運厄除の祈祷をしてから搾る『吟醸無濾過生原酒 成田霊水 節分搾り』も期間限定で発売している。蔵元の話によると、「このお酒は、直ぐに売り切れてしまいますね」とのこと。
『長命泉』ホームページ
http://www.chomeisen.jp/
■昨年は綾瀬はるか人気で例年の倍の参拝客が!
せっかくなので、寺口さんにもう少し節分豆まきのお話を聞いた。
――ネットのブログでは、「昔、お姫様役の女優さんが豆まきの時に、豆をまかないで、手渡ししていた」と書いてありますが、あれはどういう意味があるのですか? 今回は、お姫様役で中谷美紀さん、桐谷美玲さんが来られますが。
寺口さん:ああ、あれは女優さんによって、『お客さんに投げるというより、手渡しでさしあげたほうがいいかな?』ということで、やっているようですね。
――そうなんですか。やはり、節分は風物詩ですから、来られる方も多いでしょう。
寺口さん:ええ、節分の2月3日当日が休日で、芸能人の方が人気がありますと、人出が多くなりますね。去年は日曜日で綾瀬はるかさんでしたから例年4万人の倍、8万人来ましたね。
武士と節分とは元々関係があり、節分行事の前身である宮中の「追儺」では、宮中警護の下級武士(大舎人など)が陰陽師とともに鬼を撃退する行事が行われていた。
今年はちょうど、官位が宮中警護の武士・兵衛尉(ひょうえのじょう)の三名、小寺藤兵衛尉(片岡鶴太郎)、黒田官兵衛尉(岡田准一)、母里太兵衛尉(速水もこみち)が揃ったので実に節分にふさわしい顔ぶれだ*1。また、力士は大地を鎮魂する力があると信じられてきた。
*1大河ドラマの役名では尉を略しているが、正式にはすべて「尉」をつける。古文書の宛名も「黒田官兵衛尉殿」などとなっている。
■成田山の節分のご利益とは?まくのは大豆だけではない!
成田山の節分豆まきは正式には「節分会」(せつぶんえ)といい、下記の祈願をすることになっている。
・国土安穏(日本国が平穏無事であるように)
・万民豊楽(日本国民全員が豊かで,人々が暮らしを楽しめるように)
・五穀豊穣(農作物が豊作であるように)
・転禍為福(災い転じて、福が来るように)
新勝寺では東日本大震災の復興祈願も行っており、新勝寺も復興を支援している陸前高田市の戸羽太市長が被災地代表として豆をまくことになっている。
芸能人などの豆まきがあるのは、「節分会」のうちの『特別追儺(ついな)豆まき式』であり、三回行われるうちの第1回(午前11時)、第2回(午後1時30分)に行われる。
実は、成田山では大豆をまくだけでなく、お守りや落花生もまくのだ。
剣守(けんまもり) 1回につき365体(今年1年間の日数分)大豆860kg・からつき落花生400kg(3回分計)
成田は東京からも近く、テレビで見るだけではなく、現地に行くのもなかなか面白いのではないだろうか?
成田山新勝寺公式「節分会」
http://www.naritasan.or.jp/gyoji_sp/setsubun-e.html
(画像は成田山新勝寺公式「節分会」ページと蔵元『長命泉』ホームページより)
※この記事はガジェ通ウェブライターの「松平東龍」が執筆しました。あなたもウェブライターになって一緒に執筆しませんか?
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