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絶滅危惧種「増やしすぎて」書類送検(弁護士 壇 俊光)

2014/01/20 14:30 投稿

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絶滅危惧種「増やしすぎて」書類送検(弁護士 壇 俊光)

今回は壇 俊光さんのブログ『壇弁護士の事務室』からご寄稿いただきました。

■絶滅危惧種「増やしすぎて」書類送検
「絶滅危惧種「増やし過ぎて」1121匹に 無許可譲受容疑で書類送検」 2014年01月14日 『goo ニュース』
http://news.goo.ne.jp/article/sankei/nation/snk20140114527.html

絶滅の恐れがある淡水魚「ミヤコタナゴ」を無許可で譲り受けたなどとして、警視庁生活環境課は14日、種の保存法違反と文化財保護法違反容疑で、いずれも東京都荒川区に住む会社役員(60)の男ら3人を書類送検した。同課によると、3人は容疑を認めているという。

ミヤコタナゴとは、wikipediaによると、1974年に天然記念物に、1994年に国内希少野生動植物種に指定。環境省レッドリストでは、絶滅危惧IA類に当初から指定されている。魚のようである。

天然記念物とは、文化財保護法109条の規定である。

文化財保護法

(指定)

第百九条 文部科学大臣は、記念物のうち重要なものを史跡、名勝又は天然記念物(以下「史跡名勝天然記念物」と総称する。)に指定することができる。


で、天然記念物については、報告やらなにやらめんどくさい義務があり、これに反すると罰則なのである。

ついでに、絶滅危惧品種というのは、「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」に規定されている。

(定義等)

第四条 この法律において「絶滅のおそれ」とは、野生動植物の種について、種の存続に支障を来す程度にその種の個体の数が著しく少ないこと、その種の個体の数が著しく減少しつつあること、その種の個体の主要な生息地又は生育地が消滅しつつあること、その種の個体の生息又は生育の環境が著しく悪化しつつあることそ の他のその種の存続に支障を来す事情があることをいう。

 この法律において「希少野生動植物種」とは、次項の国内希少野生動植物種、第四項の国際希少野生動植物種及び次条第一項の緊急指定種をいう。

 この法律において「国内希少野生動植物種」とは、その個体が本邦に生息し又は生育する絶滅のおそれのある野生動植物の種であって、政令で定めるものをいう。

 この法律において「国際希少野生動植物種」とは、国際的に協力して種の保存を図ることとされている絶滅のおそれのある野生動植物の種(国内希少野生動植物種を除く。)であって、政令で定めるものをいう。

(緊急指定種)

第五条 環境大臣は、国内希少野生動植物種及び国際希少野生動植物種以外の野生動植物の種の保存を特に緊急に図る必要があると認めるときは、その種を緊急指定種として指定することができる。


で、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律施行令*1というのがある。

*1:『絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律施行令』
http://www.houko.com/00/02/H05/017.HTM

(国内希少野生動植物種等)

第1条 絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(以下「法」という。)第4条第3項の国内希少野生動植物種は、別表第1に掲げる種(亜種又は変種を含む。以下同じ。)とする。

2 法第4条第4項の国際希少野生動植物種は、別表第2に掲げる種とする。

これで、別表第1にミヤコタナゴが指定されているので、ミヤコタナゴは、国内希少野生動物種なのである。

また、環境庁では、レッドデータブック*2というのを出している。

*2:「レッドリスト・レッドデータブック(RDB)とは」 『生物多様性情報システム』
http://www.biodic.go.jp/rdb/rdb_f.html

これでは、ミヤコタナゴは絶滅危惧IA類(CR)=ごく近い将来における絶滅の危険性が極めて高い種とされている。

で、希少野生動植物種は、原則として許可が無いと譲渡出来ない。

(譲渡し等の禁止)

第十二条 希少野生動植物種の個体等は、譲渡し若しくは譲受け又は引渡し若しくは引取り(以下「譲渡し等」という。)をしてはならない。ただし、次に掲げる場合は、この限りでない。

一 次条第一項の許可を受けてその許可に係る譲渡し等をする場合

二 特定国内希少野生動植物種の個体等の譲渡し等をする場合

三 国際希少野生動植物種の器官及びその加工品であって本邦内において製品の原材料として使用されているものとして政令で定めるもの(以下「原材料器官等」 という。)並びにこれらの加工品のうち、その形態、大きさその他の事項に関し原材料器官等及びその加工品の種別に応じて政令で定める要件に該当するもの (以下「特定器官等」という。)の譲渡し等をする場合

第五十七条の二 第九条、第十二条第一項又は第十五条第一項の規定に違反した者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。


というややこしい話だったのである。

で、このお方、28匹を譲り受けて、優れた飼育能力を発揮してミヤコタナゴを1125匹に増やしたところ、怒られてしまったということのようである。

法律は法律ではあるが、絶滅危惧品種を増やそうという人を絶滅させても仕方ないような気がするので、取調調書を飼育ハウツー本にして、書類送検でニュースになったことが宣伝になるくらいの粋な感じでやってもらいたいものである。

執筆: この記事は壇 俊光さんのブログ『壇弁護士の事務室』からご寄稿いただきました。

寄稿いただいた記事は2014年01月20日時点のものです。

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