今回はzonさんのブログ『きんどるどうでしょう』からご寄稿いただきました。
■Amazonレビューをお金を払って書いてもらうのが大問題になりつつある件
この記事はKindle作家の”七夕賢”さんからゲストポストいただきました。
kindleストアで自著「きっと世界でいちばんやさしい組織論」と、その英訳版を出版しています七夕賢と申します。現在は英訳版を世界に向けてプロモーション活動中です。
アメリカではKindle本の「レビュー」をお金で買うことができます。しかし、この行為はガイドライン違反であり、そのことで、いま向こうで議論が巻き起こっています。
そこで今回は、自著のプロモーション活動の中で実際に私が経験したことについて書きます。
●海外ではAmazonレビューをお金で買える
今月の十三日から三日間、私がkindleストアで出版した英語の本の無料キャンペーンを行います。そのための準備として、kindle本の情報を扱う海外のサイトに対しての告知を行っているところです。無料で載せてくれる所も多いですが、評価の高いレビューがたくさんついていなければ門前払いとなることも多いそうです。
また、最近では5$程度の料金を払えば、ブログやFacebookページに確実に掲載してくれるというサービスも増えています。Facebookの規約などに違反していない限り、このようなサービスを利用することに問題はありません。私も合計で三千円ほどを広告宣伝費として使っています。
●レビューを引き受けるサービスが存在する
今、海外ではfiverrというサイトが人気を集めています。5$を支払うだけで世界中の人が提供する多様なサービスを受けられるというものです。電子書籍関連では上記のような広告サービス以外にも、質の高い表紙のデザインを作成してくれたり、面倒なファイルフォーマットの変換を代わりに行ってくれるなどのサービスがあります。そしてその中に、「kindle本のレビューを書いて投稿します」というものが複数ありました。
例えばあるサービスは、5$+実費を払うことでアマゾンのkindleストアから実際に本を購入し、それを読んでレビューを投稿するという内容です。「必ず5つ星のレビューを書きます」あるいは「複数のアカウントで大量のレビューを投稿します」と言った内容であれば明らかに不正行為ですが(実際にそういったものも一部にありました)、本を読んで正直な感想を書くだけなら問題のないサービスとして受け入れられているのだろうと考え、私はそのうちの一つを実際にオーダーしました。
7日に私の本のアドレスを伝えると、8日の朝にはAmazon.comとAmazon.co.ukの商品ページに、同名のアカウントで5つ星のレビューが掲載されていました。レビューの内容は私の本を読んでいなければ書けないものでした。またKDPのアカウント画面で確認すると、たしかに本が一冊購入されていました。
しかし、その後にいろいろ調べていくと、そのような行為はアマゾンのガイドラインに違反するものだとわかりました。たとえばepubファイルやワード形式の文書として相手に無償で本を提供して、正直なレビューを書いてもらうという行為はアマゾンが認めています(ただし作家同士のレビュー交換は禁止)。
しかしそれ以外の金銭・物品の受け渡しが伴うものは違反となります。そこで私はサービス提供者と連絡を取り、8日の夜にレビューを削除してもらいました。この人は純粋に善意でサービスを行っているようで、事情を説明するとすぐに対応してくれました。
●すでにアメリカでは「レビューを買う」は大きな問題になっている
ガイドライン違反について調べる過程で知ったのですが、海外では今年の9月ごろから、「レビューを金で買う」という行為の是非について激しい議論が起こっています。あるブログがfiverrからの内部告発と称して「五百件以上のレビューを捏造している有名作家のリスト」を公表しましたが、その作家たちやfiverrはそれに反論しており、真偽の程はわかりません。
アマゾン自身は少し前から不正なレビューと思われるものを大量に削除しているようで、その影響で無関係のレビューまで削除されたと怒っている人もいます。あるデータマイニングの専門家は、書籍のレビューでは三件のうちの一件が捏造だと主張しています。
日本ではまだこのような問題は大きなものになっていませんが、いずれ海外と同じような状況になるかもしれませんので、皆さんもぜひ注意してください。
私自身は早期に気づくことができたので、取り返しのつかない事態を避けることができ、多くのことを学びました。しかし、どうすれば多くのカスタマーレビューを集めることができるのかという問題には、まだ答えが見つかりません。
ちなみに、私が最初に出版した「きっと世界でいちばんやさしい組織論」にはやっと初めてのレビューがつきました。これはお金を払って書かせたものではなく、読者の一人がつけてくれた大切なものです。
●※補足 Amazonカスタマレビューの日本版ガイドラインについて
色々カスタマレビューに関して気になっている方が多いようなので、Amazonのガイドラインを紹介しますね。詳細については「レビューガイドライン」*1もしくは「利用規約」*2を御覧ください。
*1:「レビューガイドライン」 『Amazon』
http://www.amazon.co.jp/gp/community-help/customer-reviews-guidelines
*2:「Amazon.co.jp 利用規約」 『Amazon』
http://www.amazon.co.jp/gp/help/customer/display.html/ref=cm_rev_footer_coulink?ie=UTF8&nodeId=643006&pop-up=1
Amazon.co.jpでは、健全なコミュニティを維持するために禁止事項を設けています。せっかくお書きいただいたレビューでも、次の内容および行為を伴うレビューまたはコメントの掲載は削除の対象となりえますのでご了承ください。* 冒涜的、猥褻、また悪意を含む表現
* 商品の作品映像や音源、テレビ番組やゲームの画像、アーティスト映像や写真など、知的財産権を保有していない動画
* 営利広告目的で、著者や出品者が出演して商品を宣伝する動画
* 金品などの対価を受けることを目的とした投稿(無料で提供される商品のレビューは除きます)
* 期間が特定されているものの情報(例:発売情報、イベント情報など)
* 短すぎるまたは長すぎるレビュー(レビューには少なくとも30文字以上の長さが必要です。最大10,000字まで、動画は最長10分まで)
* 商品と無関係なコメントや動画
* 電話番号、住所、URL、Eメールアドレスなどの個人情報。動画には著作権情報を透かしで入れられます
* 外部サイトのURL、キャンペーン、またはそこにアクセスを誘導する内容
* 本人の承諾(未成年の場合は親権者または後見人の承諾)を得ていない顔写真等個人を特定できる画像または動画
* 在庫状況、価格、代替品の注文または郵送方法についての記述および動画
* 「参考になった」の投票を促すコメント
* 作品または商品1つにつき、複数のレビューの投稿
* 他のレビューや当サイトの機能に関するコメントや動画
* 未発売の>商品へのレビュー(劇場公開された映画のDVD、おもちゃなど、一部商品を除く)
* 医薬品に関するコメント
* 薬事法等の適用法令に抵触するコメント
なお、レビューされる商品の安全性についてご懸念がある場合は、ぜひproduct-safety@amazon.comまでお知らせください。商品について出来る限りの情報(商品名、タイトルなど)と懸念事項の詳細を教えてください。
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この記事を書いた人
七夕賢:Twitter @kentanabata
ようやく作家デビューを果たすことができました。これからもよろしくお願いします。自著「きっと世界でいちばんやさしい組織論」kindleストアで販売中。
「きっと世界でいちばんやさしい組織論 だれにでもわかる、組織行動とリーダーシップ [Kindle版]」
http://www.amazon.co.jp/gp/product/B00F4PHAMC/
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執筆: この記事はzonさんのブログ『きんどるどうでしょう』からご寄稿いただきました。
寄稿いただいた記事は2013年11月15日時点のものです。
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