このところ、テレビ番組の捏造・ヤラセ問題が大きく取り沙汰されている。『ほこ×たて』出演者の告発で明るみに出たヤラセ問題を契機に、他の番組でも次々とヤラセ疑惑が持ち上がることとなり、まだしばらくは収まりそうにない。
Twitterとネット掲示板でこのヤラセ問題に関する書き込みを当たってみると、その多くは感情をぶちまけた悪口雑言の類。でも意外とテレビっ子も多いのか、期待して見ていた人、以前はよく見ていたけど見なくなってしまった人、さらにはテレビ局から取材やインタビューを受けた経験があると称する人たちからの、提言とも取れる少し前向きな書き込みも発掘することができた。
捏造を繰り返し、つまらなくなってしまったテレビ。でもまだテレビに期待しているからこそ物申したくもなる。そんな(元)テレビっ子たちから、テレビの捏造・ヤラセを撲滅するために、有意義な提言を7つにまとめてみた。
1.台本ありきで番組を作るな
放送作家を重用しすぎ。撮影順とは前後が入れ替わる程度の編集ならともかく、なかったことをあったことにしたり、結果まで変えてしまうのは捏造であり許されない。想定外の結果になった場合でも、それをネタにして編集すればいい。
2.やってみたらつまらなかったネタをボツにする覚悟と余裕を持て
素人が出演・投稿するような番組では、毎週毎週、面白いネタが見つかるわけがない。ネタが温まった時だけ放送すればいい。劇団員の“仕込み”や“サクラ”を使うぐらいなら、やらないほうがいい。ネットの声を拾ってくるほうがマシ。
3.出演者への誠実な対応を怠るな
“演出”は制作側と出演者双方の了承があってこそ成り立つ。事前に根回し・打ち合わせを重ねて条件をしっかり確認しておく。テレビ的に面白い絵作りをするためにはどうしたらいいか、専門家である出演者の意見も仰げばいい。
4.つまらない芸人を絡ませるな
今のテレビは増えすぎた芸人を食わせるための“公共事業”になっている。ひな壇芸人、画面隅のワイプ、派手な字幕などの賑やかしはいらない。過剰な演出の押し売りがヤラセにつながる。スタジオはいらないから、ロケ現場にもっと予算を回せ。
5.ネットはテレビの下部メディアではない
「ネットの情報は信用できない」という先入観が番組作りを歪ませる。テレビにとってネットは敵ではなく、上手く取り込み利用するもの。かといって、テレビにとって都合のいい絵面や意見ばかりを紹介するのは自作自演と同じでありNG。
6.特権階級意識を捨てよ
ロケ現場での撮影スタッフの横柄な振る舞いがあまりにもひどい。報道のためのある程度の便宜は構わないが、「宣伝してやっている」意識でいるスタッフが多すぎる。「自分たちは何をやっても許される」意識が捏造を生む。
7.法令、一般常識を守れ
ロケ現場の裏でしばしば行われていそうな動物虐待、強要、駐車違反、つきまとい、盗撮などは論外。付き合いのあるタレントや身内の犯罪に対して甘く、自浄作用が働かないのも問題。
ちなみに筆者は『ほこ×たて』について、ガチンコ勝負と銘打っていても、所詮バラエティ番組なのだから、多少の「演出はあり」と考える立場だ。放送されるさまざまなテーマについて、視聴者と制作関係者全員に同レベルの視点と理解を求めるのは非現実的である以上、「演出」と「ヤラセ」の境界を定めようとする試みはナンセンスな気もするが、少なくとも、なかったことを事実のように仕立てあげたり、結果を逆にしてしまうような、明確に区別できる「捏造」は排除していかなければならない。幸い、ネットがマスコミの監視機構として発達してきたおかげで、テレビも以前ほど無茶なヤラセ・捏造はできなくなってきている。テレビといえども、もはや情報発信は一方通行ではなく、番組作りには常に大衆の批判の目に晒されていることを意識した制作姿勢が求められている。個人的には、『ほこ×たて』は楽しみにしていた番組だったので、今回明らかになった問題点を改善した上で復活してほしいものだ。
画像:『ほこ×たて』公式サイトより引用
http://www.fujitv.co.jp/hokotate/index.html
※この記事はガジェ通ウェブライターの「ろくす」が執筆しました。あなたもウェブライターになって一緒に執筆しませんか?
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