2013年9月2日に内閣府内で第一回パーソナルデータに関する検討会が開かれ、山本一太内閣府特命担当大臣(IT担当)・島尻安伊子内閣府大臣政務官が出席。多種多様なパーソナルデータを含む大量のビッグデータの流通や、国際的な基準と照らし合わせる必要性といった課題が提示され、現状あいまいな個人情報の範囲の明確化や、独立した第三者機関の設置、それにともなう個人情報保護法の改正の可能性についても言及され、2013年内に結論を出すことになりました。
検討会では、安倍内閣で閣議決定された世界最先端IT国家創造宣言を踏まえて、パーソナルデータの利活用を促進する環境整備を目的にしており、冒頭で山本大臣は「議論の中で法律の見直しをする必要性も出てくると思う。国際競争力を持つためにも制度設計を」と述べ、事務局からも「現行法にとらわれず議論を進めてもらいたい」と踏み込んだ言及がなされていました。
検討会では、個人情報利用に対する反発があることについては「要は心のもちよう。どこまでパーソナルデータを出せるのかデザインする必要がある」(経済産業省担当職員)と説明、ユーザーの納得が得られる形での利活用のためには、各企業・団体でのプライバシーポリシーの明確化と簡素化、国レベルでの啓発が不可欠とされました。
これを受けて、出席者からは「ルールが簡素化すればいいというのは不安」「中小企業に大企業と同じセキュリティ対策を要求するのは非現実的」といった意見が挙がったものの、消費者からの信頼を得られるための第三者機関の設置や、そのための法整備の必要性から個人情報保護法を改正するという方向性について反対意見は出ず、次回以降は実現に向けた具体的な議論が進むものと見られます。
山本大臣は、2013年8月30日の記者会見でのプレゼンテーションでも、個人情報の本人同意取得手続きの標準化の促進を「早期に対応すべきもの」として挙げ、JR東日本のSUICAの個人情報が販売されたことについて問題視された事件についても「明確な定義がなくてあいまいなので、データの利用整備が喫緊の課題」と言及していました。
同様に、ネットではTSUTAYAを運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブのTカードの購買履歴を使用していることについても現行法の違反ではないかと度々話題になっています。
今回の検討会では、このような企業での個人情報の利活用を合法化する動きという側面もあり、セキュリティ意識の高いユーザーならずとも今後の議論の展開を注目する必要がありそうです。
「山本大臣閣議後会見」2013年08月30日『内閣府』
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