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円安と連銀オペによる「ガソリン価格高騰の今後」

2013/08/21 20:00 投稿

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円安と連銀オペによる「ガソリン価格高騰の今後」

今回は脇田栄一さんのブログ『ニューノーマルの理』からご寄稿いただきました。

※すべての画像が表示されない場合は、http://getnews.jp/archives/401799をごらんください。

※この記事は2013年08月14日に書かれたものです。

■円安と連銀オペによる「ガソリン価格高騰の今後」
本日は墓参りに花火(大会)、と冷静に考えれば微妙な感が否めない組み合わせのスケジュール・・

●アベノミクスによる原油価格の高騰
そんな連休のさ中、Uターンラッシュが始まる高速での渋滞要因が毎度のごとくTVで報道されていたが、その1つとして、ガス欠が挙げられていた。なんでも円安によるガソリン価格の高騰加速で、「小刻み給油」の増加がその背景にあるとの事。

(ガソリン価格の高騰で)給油を渋った為に、渋滞の原因を引き起こしているといった、輸入インフレというか通貨安インフレの悪影響が発生しているとの事。これもアベノリスクの一環になる。 ちなみに自分は、円安は安倍首相が引き起こしたものとは捉えていないが、本人がそう思い込んでいるので、敢えてアベノ効果と位置付ける事にした。

で、レギュラーガソリン価格の推移は以下。参考として、安倍さんが円安を連呼し始めた時期からの価格の推移。

<2012年>
11/12 11/19 11/26 12/3 12/10 12/17 12/25 
146.2 145.7 145.5 146.8 147.2 147.4 148.0 →2013年

で、手を抜くわけではあるが、このままずっと高騰を続けて、先日の8月5日終週には160.1円/リットルに到達したとの事。つまるところ、約15円の上昇というわけ。(資源エネルギー庁*1 から)

*1:「石油製品価格調査」 『資源エネルギー庁』
http://www.enecho.meti.go.jp/info/statistics/sekiyukakaku/sekiyukakaku1.htm

●FRBのオペレーションと原油価格の高騰
で、ここまでは円安による弊害の話なのだが、米国事情を観てみると、WTI原油は7月に入って急騰、過去半年間は、1バレル100ドルをプッシュする場面が見られたが、抵抗線(100ドル)を抜ける事はなかった。しかし7月からは100ドルを上抜け、今現在1バレル110ドルに迫っている。

円安と連銀オペによる「ガソリン価格高騰の今後」

(画像が見られない方は下記URLからご覧ください)

http://getnews.jp/img/archives/2013/08/gasoline01.jpg

つまり、(1) 円安と、(2) 米国によるガソリン需給の関係で、日本国内のガソリン価格の高騰は止まらない、といった状況。原価高騰に加え、通貨安が助長しているといった構図。

ちなみに、米国によるその需要拡大は、今現在、買取規模の縮小が俄然注目を浴びている、NY連銀のオペレーション(無期限QE3)による低金利政策によって、自動車ローン金利は抑制されている。米国の住宅市場と自動車市場の、物価上昇2大セグメントが景気回復の両輪となっていることは周知の事実だが、つまるところ、オートローンの低金利が米自動車販売に貢献しており、結果として原油(ガソリン)需要が高まっている、といった状況が続いている。

円安と連銀オペによる「ガソリン価格高騰の今後」

(画像が見られない方は下記URLからご覧ください)

http://getnews.jp/img/archives/2013/08/gasoline02.jpg

FRBが8月7日に発表した消費者信用リリースによれば、6月に回転信用は落ち込んだが、自動車オートローンなどの非回転信用は一層の拡大を見せている。(6月、上図) 自動車が売れ、原油価格は高騰しているといった背景。7・8月の信用結果は出ていないが、WTI原油のチャートを見る限り、信用拡大は続いているものと想定される。 FRBによると、米4年満期自動車ローン金利は5月に4.13%まで低下(FRB)、年度別では以下。

08年 _09年 _10年 _11年 _12年

7.02 6.72  6.21 5.73  4.91(%)

----------------------------------

●今後のガソリン価格
年々、オートローン金利がQEによって低下している事が確認できるわけだが、しかし縮小がスタートすれば、金利は上昇し、ガソリン価格も、自動車販売の需要縮小とともに、軟化する事が想定される。先日、米商務省から発表された7月小売総合値にはその兆しが出ていた。

日本側の事情では、当然ながら円相場がガソリン価格に関係する。ドル円レートは、基本的には下にGが掛かっている(円高方向)が、遅行的米マクロ指標の上ブレ懸念と、縮小議論がセットになって、良い金利上昇と悪い金利上昇が足し算のように積み重なり、結果として長期金利は上昇している、といった流れ。

この状況を考えれば、単純にドルが強くなりそうなものだが、今後の主要マクロの結果によっては再度、米金利は抑制される可能性も残され、単純に円安トレンドが発生するとは思えない。何しろ日本側の事情を考えてみた場合には円高を示唆している。(日銀緩和を追加しても、それのみの事情では長期円安にはもっていけない) ガソリン価格が上昇してくれば、「天井上がり」といった報道が相次ぐ事が多いが、このまま長期的な上昇を続けるようには思えない、といった2つの論拠。

FRBのオペと円安によってガソリン価格が上昇しており、給油をしぶる人の増加とともに、高速渋滞が引き起こされる、という無理やり繋げたような話だが、しかし実際にそういう状況、だという話。

ちなみに、法改正によって、日本国内のガソリンスタンドは減少の一途*2 をたどっている。それもガス欠に輪をかけているという。(以下、資源エネルギー庁)

*2:「給油所が1400カ所減 12年度末、需要が低迷」 2013年07月02日 『47NEWS』
http://www.47news.jp/CN/201307/CN2013070201002394.html

円安と連銀オペによる「ガソリン価格高騰の今後」

(画像が見られない方は下記URLからご覧ください)

http://getnews.jp/img/archives/2013/08/gasoline03.jpg

スタンド数の急減は、新設と廃止の推移を比較すれば明らか。当然ながら、車離れも関係しているらしい。

墓参り行ってくるかな、花火大会も。(ガソリン入れないと)

執筆: この記事は脇田栄一さんのブログ『ニューノーマルの理』からご寄稿いただきました。

寄稿いただいた記事は2013年8月21日時点のものです。

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