送検容疑は、2月11日、女性が開設したインターネット掲示板(ツイッターのこと)に「良い朝鮮人も悪い朝鮮人も追い出そう。女性は殺そう」などと書き込み、脅した疑い。府警によると、男は「デモを批判する女性の記事を読み腹が立った」と容疑を認めている。
同課によると、男は「在日特権を許さない市民の会」のメール会員という。同月9、10両日に新宿区などで行われたデモに参加しており、女性はニュースサイト「ガジェット通信」にデモを批判する記事を寄せていた。
[時事通信]
2月に警察に通報し、その後何度も警察に足を運び、やっと被害届が出せたのが5月。それまで、警察はなかなか動こうとしなかった。確実な証拠や、さまざまな背景を積み重ねなくてはいけないことは知っているが、もどかしい状態が続いた。
「朝鮮人は本当に殺されるまで何もしてくれないのか?」と警察で泣いたこともある。
その後、国会などでの対応が後押しとなったのは確かだと思うが、府警は起訴を求める「厳重処分」の意見を付け書類送検をおこなった。起訴になる可能性も高いと聞いた。
●書類送検報道後
警察に訴えることが、ネット上で「ノリで」繰り返される差別や殺害予告の歯止めになれば、と思ったのが今回の訴えをおこなった理由だ。
「しまふくろう」は殺害予告から2日後の2月13日、
「のりで呟いたことで人を傷つけてしまったので責任と反省の意を込め当アカウントを近日削除します。関係者の皆様誠に申し訳ありませんでした。○○」※○○は実名
と発言している。
人を殺せと呼び掛けることを「ノリ」で済ませてしまう軽さ――それを感じてさらに背筋が寒くなったことを覚えている。
私自身、「訴えたことは間違いではない」と自分に言い聞かせている状態だ。
「これで良かったのか」「ほかに方法はなかったのか」とずっと考えている。
彼の名前から沖縄の人だろうとは推測していた。しかし、いざその事実を目の当たりにすると辛くて眠れなくなった。事件後、彼は東京の住まいを引き払い、実家に戻ったとも聞いた。何故、マイノリティ同士がこんなことになるのだろうかという思いが頭から離れない。
4月に逮捕された神鷲皇國會の当時18歳だった少年のこともたびたび思い出す。
彼らをブログや街宣やデモの現場で讃え煽った在特会の桜井誠会長や「行動する保守」系の右翼活動家・瀬戸弘幸氏はのうのうと排外デモや差別街宣を繰り返し、まるで彼らが存在しなかったように、動画の向こうで笑い、忘れ去ろうとしている。
瀬戸氏は以前、自身のブログで「しまふくろう」のことを「…こちらにもご協力下さい。尚 主催者の○○君は当会の会員であると同時に熱心に『反パチンコ廃止署名活動』にもこれまで参加して来たので、応援することを本部運営会(9月30日開催)で決定しております」 http://blog.livedoor.jp/the_radical_right/archives/52903283.html と紹介してきた。
しかし、事件後は一切口をつぐんだままだ。
桜井会長も事件が公になった後、「しまふくろう」の件についてはほとんど触れず、「メール会員でしかない」として無関係を装っている。しかし、並んで少人数で街宣する動画も多数ある。無責任な、苦しい言い訳だと思う。
ネット上での私への嫌がらせはさまざまな形で続いているが、投げかけられる言葉に腹も立ちながら、どこかで心配もしている。
ネットの向こうにいる人たちと2人の青年の姿が重なりあって見えるのだ。
腐った排外主義者に使い捨てにされる前に、馬鹿なことはやめよう。
親や大切な人が泣く日が来る前に。
(李信恵)
画像: 「昨日一昨日は良いデモだった。どんどんやって良い朝鮮人も悪い朝鮮人も追い出そう。んでこういうの @rinda0818 は殺ろう♪」 - @simafukuroh (しまふくろう)のキャプチャー
※この記事はガジェ通ウェブライターの李信恵が執筆しました。あなたもウェブライターになって一緒に執筆しませんか?
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