今回は「さとうさん」さんのブログ『さとうさんのキロク』からご寄稿いただきました。
■IT系企業に務める自分がうつ病の苦しみから脱出するために実行した10の事
7、8年付き合ったうつ病からほぼ脱出するために試したことでこれは効果があったと思う10個を並べてみます。
一応順序に気を使っているので、10番に近づくほど難しくなっていきます。絶賛鬱病の人は1番から試してください。
●1.都内に住まず、公園などでぼーっとする。
実家を頼ってお金を借りるでもいい、実家から通勤できるならそれでもいい。とにかく都内から離れること。ある程度の自然があるところに引っ越す必要は絶対にある。しかし、働かない訳にはいかないので、自分から会社との物理的距離は必要。出来れば通勤が電車で30分から1時間の範囲で。家賃も下がり、部屋も広くなると精神的苦痛も和らぐ。庭やベランダが広いのもとても効果的。最終的に菜園的なこともできる。
●2.医者に行き、クスリはちゃんと飲む。
医者からもらう薬は必ず飲みましょう(適量で)。結構落ち込んでいると飲み忘れたりもするし、それの積み重ねで貯まった薬を大量服用できてしまうという問題もあるので必ず飲む。これは基本中の基本でかなり大事なことなので、語ることもそんなに無い。最近の抗鬱剤や睡眠薬的なものは一気に多く飲んでも言うほど効果はないのでしっかり用法用量を守るべき。薬生活は早く終わらせたほうがいい。
●3.歯の治療をする。
何もかもやる気が無い状態がずっと続くと歯磨きすらもだるくなる。磨いてはいても、隅々までは多分磨けていない。だったら歯医者でしっかり整えるべき。これが結構効果がある。口がスッキリしてるとなにげに気分が上向きになる。週に1回でいいので必ず通う。この歯医者へ通うという行為も繰り返しの作業となり鬱病の治療に役立った気がした。
●4.異常にポジティブ思考な人と会わない事。接しないこと。眩しくて痛い。
意識の高い()な人はもちろんのこと、燃えている新人すらも近くにいるとしんどい。まずこういった人々から距離を取ろう。必ず自分と比較してしまう。彼らのように燃えている人はうつ病を理解していないし、理解することもしない。そもそも、燃えている人は自分がよじ登っていくことで精一杯で、ちょっとでもやる気のないやつにはやや攻撃気味。体育会系の精神論をぶつけてくる社畜であることもあるのでとにかく避ける必要がある。彼らは彼ら自分は自分。自分はとりあえず、生きるために淡々と仕事をしよう。
●5.似たようなうつ病、ネガティブ思考の人に会わない。接しないこと。落ち込みが増す。
あ、この人もちょっとうつ気味だなと感じる人が近くにいる場合、距離を取ろう。理由は自分も引っ張られるから。より自分の鬱度が増す。「俺なんかダメなんだ・・・」などの不幸自慢とか体調不良自慢な連中に混ざるといつの間にか自分も不幸自慢してしまう。そんなの競っても意味は無い。友達が減っても構わないので自分のやるべき仕事を淡々とやるべき。
●6.不満な思いを紙に書いて捨てる。言うでもいい。
思いは溜め込むからつらくなる。書く、言うをしてとにかく吐き出す。このへんが自力でできるようになってくると、ゴールは近い。通常の人とはそこそこやり取りできるようになってきている。書くや言うの行動はなにげに馬鹿にできない。アウトプットすることは心に安定をもたらすとともに、問題が明確化してくる。プログラムもそうだけど、悩んでいるだけで解決しないことが多々ある。仲間に言って見るなり、図や表にして書くことで問題点が洗い出せたりする。それに似た形で悩みや不満を書きだして、大した悩みではないことを再認識してしまえばいい。
●7.美味しいものを少量食べる。美味しいモノが重要。すでに幸せになってきてる。
ガンバレあと少し。3番でこの問題は大きく改善している。歯が元気であることは、美味しいものを美味しく食べることができる。少々太ってもいい。ただ食べ過ぎはダメ。大事なのは普通と感じているものをたくさん食べる・・ではない。美味しいものを少量または普通に食べる。これは生きる上での心の幸せを呼ぶとおもう。出来れば、7番に来る前にもしタバコを吸っているならば、タバコも辞めれると素敵。味覚が格段に上がる。米の時点で味が違う。さあ生きる幸せを感じる準備は結構整ってきた。
●8.朝日を浴びる。
本当はもう少し前でもいいのだけれど、難易度を上げる。まず・・・7番まで来ると自力で寝れるようになってきてると思う。(思いたい)その寝れるタイミングにあわせて朝7時半ころに起きてみよう。そして・・・即座にベランダや庭に出て、朝日を浴びよう。これをたったの1週間続けることが出来れば、毎朝7時半に起きれるようになるはず。夜も美味しいものを食べた後の23時ころには眠くなってくるはずだから。
●9.何か簡単な事を毎日繰り返す。
8番ができていれば造作も無い。乗る電車を固定するでもいい。近所の本屋に出来れば同じ時間にウォーキングでもいい。もうここまで来ると鬱な気分は無いところまできている。これができるようになってくると、自分自身も意識の高い人側に立てそうな気になってくる。なにせ、自分がその毎日繰り返すをできるようになってきている実感があるから。とにかく簡単で基本的なことを繰り返す。とにかく繰り返す。これを1ヶ月続ければいい。それだけでなんでもできる気がしてくる。
●10.目標、夢を持ち実行しはじめる。
最大級の難易度がこれ。この時点で鬱な気分、死にたいなんてのは”ほぼ”脱している。このあたりで、会社や仲間から必要とされる人材になっているはず。自信も出てくる。そこで、大事だなと思っていることは、仕事に対して気負い過ぎないこと。「必要とされてる!俺頑張っている!」と思うことは全然構わないが、危険な段階でもある。ここで急に大きな仕事を任されて、大失敗。大転落。はありうる。大きな仕事からはまだまだ距離を置こう。一度うつで壊れた地盤は完全ではない。一旦実現可能な夢と目標をしっかり立てて、周囲の仲間をしっかり味方にして、地盤固めをしよう。
例:簡単なWebサービスを趣味で作ってみる、語学を勉強して海外のブログを読んでみるとか、喫茶店巡りをしてレポートを書いてみるなど、難し過ぎない目標を立てていく。
●番外編
番外編も超重要ではあるけど、人によっては関係ないし、外的要因や会社の状況環境によって左右されるかなと。
■ テレビなんかを見て笑う。
テレビを見る人の場合だけど、なにか笑ったほうがイイと思う。漫画でもいいし。人とコミュニケーション的なやり取りではなく自分のペースで自動で入ってくる笑いが大事。
■ Skype、LINEなどのメッセンジャー系をしない。出来ればメールも。
つながっている感が非常にダルい。拘束されている感も非常にダルい。なんなんですか「既読」って。とか思う。あんなものに束縛されるくらいなら友達減らそう。こっちは命がかかってる。
■ まとめサイトはほどほどにする。
負の想念渦巻くネットの最新ネガティブ情報の巣窟。でも私はまとめサイトが結構好き。みんな言いたいこと言っていて、お手軽簡単な便所の落書き。しかし場合によっては超後ろ向き思考に引きづられるので程々に見る程度に抑えたほうがいい。嘘を嘘と見抜けな(以下略)*1
*1:「嘘を嘘と見抜けないと難しい」 『通信用語等の基礎知識』
http://www.wdic.org/w/WDIC/嘘を嘘と見抜けないと難しい
■ 同僚、後輩などに追いぬかれても気にしない事。
10個の項目に入れるか悩んだ。もしかしたら11個目かもしれない。4番のポジティブな~も関係あるけど、彼らには追いぬかれてもいい。まだ、彼らは知らないだけ。鬱による苦しみを。記憶に薄いのだけど横山光輝氏の「項羽と劉邦」で、張良という賢人が言っていた言葉で「最後に1回勝てばいい」といったニュアンスのことを思い出す。「100回負けても、最後に勝てばいい ――お金持ちのヒントは目の前に【Vol.023】」*2こちらでも似たようなことを書いています。最終的に勝てばいいだけです。今は休息の時間。
*2:「100回負けても、最後に勝てばいい――お金持ちのヒントは目の前に【Vol.023】」 『ダイヤモンド社 書籍オンライン』
http://diamond.jp/articles/-/7041
鬱を患った自分たちは挫折や苦悩を心から経験しています。だから、失敗を知らない意識の高い弱っているものの気持ちを知らないものなど好きにさせておけばいいと考える。そして、彼らが挫折したり心が折れかかったら、助けてあげればイイと思う。(もちろん自分に余裕があれば。)自分がまず元気になってその後、一緒に競い合えばいい。人生は長いし、やり直しはいくらでも出来る。
■ 上司や先輩と今後について話す。
まず、昇進できなくてもいいので、必要以上に責任が重い作業は避けられるようお願いをする。一定の作業はきっちりこなすことは代わりに約束する。新人雇うコストよりは自分がまだ有用であることは伝えなければならない。それでもダメなら休職するか、転職の必要がある。
■ ついでにタバコを辞める。
これは結構うつ病だとできる気がする。無気力であるうちに辞めてしまえばいい。せいぜい3日ぼーっとなにもしないでいればいい。新型うつなら、ひたすら寝ることで3日は経つだろう。場合によっては有給休暇を使ってしまってもいい。4日以降はだんだん吸わなくてもなんとかなる。無気力な時が重要。(これで私は辞めた)責任が重い、精神的に来る仕事をしている時に辞めるのは結構不可能なので、こういう微妙なときに辞めちゃうのがお得。
●最後に
私は何度か治りかかっては折れているので、上司や会社から「必要とされている!」感には騙されない。そんなに甘くない。後ろ向きな思考に見えるかもしれないけれど、冷静に病気と仕事を考えてそう思っている。以前「【ブログ・記事】自分がいなくても仕事は進む」*3でも書いたが、代わりはいくらでもいる。自分から必要な人になっていく、頑張っていくは結構だけど、経営者はやはり従業員を経営者とは見ない。
*3:「自分がいなくても仕事は進む」 2013年06月19日 『さとうさんのキロク』
http://sato-san.hatenadiary.jp/entry/2013/06/19/114211
従業員と経営者は全く異なる。従業員が経営者的思考を持つことは・・・超安いコストで会社のことを凄く考えて尽くしてくれる経営者から見てとても都合のいい従業員。でしかない。その経営者や上司が部下である自分を同じ地位にはしてくれない。同じ給料にはしてくれない。
脱社畜ブログさんの「会社を辞めました」*4エントリーにもあるが、その従業員が100億稼ぐアイディアとサービス考えて制作しても経営者の所得が1億になることはあっても、従業員にMVPなどの一時金で褒め称えるか、ちょっと昇進して年収が300~400万から450~500万に上がる程度。それで精神と肉体を捧げて燃え尽きるだなんて、1度しか無い人生が悲しい結果となりかねません。(燃え尽きてる自分かっこいい!って思う方はどうぞご自由にですが。)
*4:「会社を辞めました」 2013年07月08日 『脱社畜ブログ』
http://dennou-kurage.hatenablog.com/entry/2013/07/08/193545
従業員としての仕事は程よく頑張るもんです。やり過ぎはよくない。
それなら別にアイディアや工夫を尽くしてやったらやっただけ返ってくる副業、もしくは起業でもしたほうがマシと考えます。
以上、うつで苦しんでいる人の役に少しでも立てれば・・。
執筆: この記事は「さとうさん」さんのブログ『さとうさんのキロク』からご寄稿いただきました。
寄稿いただいた記事は2013年07月30日時点のものです。
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