今回は孫崎享さんのブロマガ『孫崎享のつぶやき』からご寄稿いただきました。
※この記事は2013年07月24日に書かれたものです。
■若い世代の方々へ・今、政治への覚醒の時でないか
私が大変衝撃を受けた時がある。
数か月前、私は名古屋から新幹線で帰ってきた。若干、高揚していた。この日、愛知県弁護士会と県庁の共催で講演会があり、ここでTPPの話をした。TPPのISD条項で国家主権が侵されること、そして多分国民皆保険が実質的に機能しなくなる可能性を述べた。この日聴衆は約500名位で、私にしては大聴衆であった。
そして東京駅に着くと、多分武道館でコンサートがあったのであろう、同じTシャツとマフラーに身をまとった若者が駅構内に溢れていた。地下鉄のフォームも同じコスチュームの人々で溢れていた。地下鉄に乗ると、また同じであった。
名古屋で500名の人々に話せたと高揚していたが、もっともっと多くの人はTPPの話の無縁な世界で生きていた。
この時、自分のTPPの話は多分政治的に何の影響も与えられないであろうことを痛感した。
若い人々は今、自分達の生活を謳歌していると言ってよい。
日本は世界第3の経済大国なのだ。十分に謳歌できる余地がある。しかし、それは決して貴方たちの世代が築いたものでない。親の世代。祖父の世代が築いたものである。
そして今、それが一気に崩れようとしている。
すでに崩れている。
総務省の発表では非正規雇用が2000万人に上っている。年収200万円未満が1000万人に上っている。社会は急速にふるい落としに入っている。
更に自民党政権では次々に生活環境を崩していく。
原発は再稼働する。
主権を侵害するTPPに加盟する。その最大のポイントは多国籍企業の利益確保が、生命家の危険を排除する、健康を守る、所得格差を是正する、地域格差を是正する等の考えに優先する社会をつくることにある。
消費税は上がる。
社会保障費は減額される。
一歩一歩、今楽しんでいる社会システムが崩壊していく。
一旦、崩壊すれば回復はまず不可能になる。ただでさえ財源が足りないと言っている。消費税が上がれば下げることはできない。
本当は今覚醒していれば、これを止めることが出来たのだ。出来るのだ。
でも崩れていく。
政治的には、私はしばらく立ち直れないのでないかと思う。
リベラル・革新と呼ばれる層が政治的力を発揮できる体制が消滅した。
例えば、緑の風。彼らの脱原発、反TPP等の主張は正しかったと思う。山田正彦氏等健康の不安を押して選挙戦を戦っていた。しかしほとんどの人が支持しなかった。
若い世代の人々はソーシャルメディアに長けている。
今、日本の最大の悲劇は大手メディアが日本を崩壊の方向に引っ張って行っている。
その中でソーシャルメディアが立ち直る契機を持っている。
私のニコニコチャネルはわずか2200名程度である。
この中で私は選挙戦中、発言し続けた。若い世代がフォローしてくれた。ニコニコ(15日-21日)で利用者が「20代18.0%、30代16.2%、40代21.4%、50代17.9%、という数字が出た。20歳代が30歳代50歳代の上へ行った。
多分一時期の異常現象である。
この異常現象の中、書いてみた。
執筆: この記事は孫崎享さんのブロマガ『孫崎享のつぶやき』からご寄稿いただきました。
寄稿いただいた記事は2013年07月26日時点のものです。
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