参議院議員選挙に東京選挙区から無所属で立候補しているタレント・俳優の山本太郎氏が、有権者の知人友人のメールアドレスの登録を呼びかける“100万人メールメール大作戦”をホームページ上で募集したところ、登録者の名前・メールアドレスなどが表示されるというシステム上の不備が発生。募集の一時停止が発表されましたが、ユーザーからは公職選挙法違反を指摘する声が上がっています。
改正された公職選挙法では、候補者・政党等の電子メールを使った選挙運動が認められることになりましたが、これには一定の制限が設けられています。例えば、メールを送ることができる「送信対象者」としては、下記のように定められています。
・あらかじめ、選挙運動用電子メールの送信の求め・同意を選挙運動用電子メール送信者に通知した者(その電子メールアドレスを選挙運動用電子メール送信者に自ら通知した者に限る。)・政治活動用電子メール(選挙運動用電子メール送信者が普段から発行している政治活動用のメールマガジン等)を継続的に受信している者(その電子メールアドレスを選挙運動用電子メール送信者に自ら通知した者に限り、かつ、その後に政治活動用電子メールの送信を拒否した者を除く。)であって、あらかじめ、選挙運動用電子メールの送信の通知を受け、拒否しなかったもの(改正公職選挙法第142条の4第2項より)
つまり、有権者自身が候補者のメールフォームなどにより送信の同意をしている場合や、メールマガジンを継続して購読することに同意している場合に限って、候補者や政党等はメールを送ってよいということになります。これは、個人情報が掲載されている名簿を購入したり譲り受けたりして、大量に送信するといった行為に制限を設けるための条項になっています。端的に言うならば、迷惑メールと有権者が感じるようなものはほぼアウトであると考えていいでしょう。
山本氏の“100万人メールメール大作戦”の場合、本人以外の第三者によりメールアドレスを教えるという内容のものなので、「送信の求め同意を選挙運動用電子メール送信者に通知した者」には該当しないため、公選法が定める選挙運動用文書図画以外のものを頒布したとみなされる可能性があります。
公選法のほかにも、特定電子メールの送信の適正化等に関する法律(特定電子メール法)にも、「あらかじめ、特定電子メールの送信をするように求める旨または送信をすることに同意する旨を送信者または送信委託者に対し通知した者」以外の者に対しての送信を禁止する条項があり、やはり抵触している恐れがあります。
また今回、登録者のメールアドレスが流出したことにより、個人情報保護法に定められた「取り扱う個人データの漏えい、滅失又はき損の防止その他の個人データの安全管理のために必要かつ適切な措置」を怠ったということになります。同じく、「あらかじめ本人の同意を得ないで、個人データを第三者に提供してはならない」という条項もありますので、うかつに知人・友人のアドレスを登録すると法に問われる可能性はゼロではありません。
山本一郎氏は2012年の衆議院選挙に立候補した際も、20時以降に選挙カーによる拡声器を使った呼びかけをしている行為が公選法に違反しているという目撃情報がネット上を流れて話題になりました。今回の一件が選挙後にどのような影響を与えるのか気になるところです。
※参考 山本太郎が公職選挙法違反か? 20時以降も選挙運動していたと目撃多数(動画) – ガジェット通信
http://getnews.jp/archives/279102 [リンク]
※画像は山本太郎事務所ホームページより
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