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テレビやインターネットのメディアで少年犯罪を目にする機会が増えている気がする。イメージだけで考えると少年犯罪は増えている気がするが、法務省が発表している“犯罪白書”を確認してみると少年犯罪は1960年代、1980年代をピークにその後はむしろ減っている。罪状別にみても強盗や殺人などの凶悪犯罪は1960年代から特に増加はしていない(激増しているのは横領だけである)。少年犯罪が増えている気がするのは情報にアクセスしやすくなった現代の事情に大きく左右されているだけかもしれない。

とはいえ、悪質な少年犯罪は決してなくなっているわけではないし、平和な日本でも依然として少年犯罪は発生している。それでは少年犯罪は何を要因として発生するのだろうか? ここでは、その謎を解くヒントになるかもしれないグリュック夫妻の仮説について紹介していきたい。

 

グリュック夫妻の非行予測研究

ハーバード大学からバックアップを受けた心理学者のグリュック夫妻は、ボストンのスラム街にある少年院にいる500人の少年と、非行歴のない500人の少年を比較し、非行を予測する研究を10年以上にわたって続けた。そして、(1)家庭環境(2)家族生活の背景と両親の状態(3)生活レベルと家族との関係性(4)少年と学校(学業や友達関係)との関係性(5)少年と地域との関係性(6)身体の健康状態と体格(7)知的能力と身体的能力のバランス(8)葛藤と葛藤に対処する知的能力(9)現在の性格と生まれ持った気質の9点を軸にして少年達の調査・分析をすすめた。その結果、少年たちが非行にはしるのには4つの要因と7つのリスクがあるという仮説を提唱した。

 

少年が非行にはしる4つの要因

グリュック夫妻が提唱した少年が非行にはしる4つの要因は以下の通りである。

(1)身体的特徴としてガタイの良い少年が多い

(2)精神的に不安定、アグレッシブ、社交的、攻撃的、無鉄砲などの気質的特徴をもつ

(3)すぐに相手に突っかかり、人を疑いやすい態度。常識や権威に従わない態度。短絡的で計画を立てないで行動に移してしまうなどの態度をとりやすい。

(4)愛情や他人を尊重するといったことに無関心な家庭環境で育ち。親子関係が破綻、もしくは破綻しかかっている。

 

少年が非行にはしりやすくなる7つのリスク

上記の4つに加えてグリュック夫妻が提唱した非行にはしりやすくなる7つのリスクは以下の通りである。

(1)過去1年間のうちの家出をしたことがある。

(2)一緒に過ごしている父母からなんらかの悪影響がある(両親の不仲など)

(3)過去1年間のうちの怠学(授業をさぼったり、急激に成績が落ちるなど)

(4)中学から高校までの思春期(年頃になり、親に反抗する気持ちが社会に反抗する気持ちに転化される)

(5)同じ非行を繰り返す

(6)家族の問題行動(親や兄弟が逮捕された、親が家族を省みなくなった)

(7)非行にはしるモチベーションができた(友人がぐれた)

 

グリュック夫妻の研究はアメリカで行われ、アメリカ人を対象にした調査なので、日本人とは異なる状況も多々あるだろう。それでも共感できる部分はいくつか見受けられる。個人的には「俺って昔ワルだったんだぜ」といって過去の非行を武勇伝として語るのは、あまり格好の良いものではないと考えている。すでに思春期の身内を持つ方や、これから思春期になる子供と身近に接する機会がある方は、子供が非行に走るのを何とかブロックして頂きたいものである。

 

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photo by -Jeffrey-

 

※この記事はガジェ通ウェブライターの「浅川 クラゲ」が執筆しました。あなたもウェブライターになって一緒に執筆しませんか?

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