今回は河野太郎さんのブログ『ごまめの歯ぎしり』からご寄稿いただきました。
■売るものが無くとも儲ける日本原電
日本原電という企業がある。
(ごまめの歯ぎしり2012年10月17日「あなたの電気代も流用されている」参照のこと)
「あなたの電気代も流用されている」2012年10月17日『ごまめの歯ぎしり』
http://www.taro.org/2012/10/post-1276.php
2012年9月末の日本原電の中間決算をみると、2012年4月1日からの半年間は東海第二、敦賀1、2号機の全原発が停止し、販売電力量は完全に0となった。
他方、この半年間に売るものがない日本原電が電力会社から「基本契約」で得た販売電力料は762億3500万円。
各電力会社の負担額と割合は
東京電力 277億5700万円 36%
関西電力 162億1600万円 21%
中部電力 146億6200万円 19%
北陸電力 102億5700万円 14%
東北電力 68億6600万円 9%
売上 762億3500万円に対し
営業利益 315億9400万円
経常利益 316億3700万円
当期純利益209億7300万円となった。
この数字を2011年3月期の数字と比較すると
原発稼働率 74%
販売電力量170億kWh
売上 1751億8100万円
営業利益 124億1700万円
経常利益 132億1600万円
当期純利益 8億1200万円
原発が停止し、販売すべき電力が無いほうが圧倒的に利益が多い!
日本原電は儲け、電力会社は買う電力もないのに762億円を支払い、20人の取締役があわせて4億7900万円の報酬を取り、従業員は平均で638万円の給与をもらい、消費者がそれを電力料金で負担している!!
更に不思議なことに、もうけまくっているはずの日本原電の有利子負債を見ると
2011年3月末に849億円だった有利子負債が
2012年3月末に1225億円に
2012年9月末に2136億円に増えている。なぜだ?
専門家は、被災した東海村の発電設備の復旧費用の借り入れと建設中の敦賀3、4号機の建設仮勘定の増加が利益以上に増加していると指摘する。
敦賀1号機はすでに運転開始から40年以上が経過し、敦賀2号機は直下の活断層で廃炉せざるを得ない。東海第二原発は地元の強い反対で再稼働のめどはたたない。もし廃炉決定が行われれば、あっという間に自己資本は吹っ飛び、親会社である電力会社にも負担が及ぶ。
さらに計画中の敦賀3、4号機が中止になれば、減損コストがかかってくる。
だから経産省と財務省は、電力料金や電力供給を理由に再稼働に持ち込もうとするが、真の問題はそこではない。
電力会社と原子力の会計上の問題を、もっと明確にしていかなければならない。
執筆: この記事は河野太郎さんのブログ『ごまめの歯ぎしり』からご寄稿いただきました。
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