今回はgenさんのブログ『gen-uine』からご寄稿いただきました。
■思考を言語化する
ベースが国語教師だからか、私は数学や理科の指導でも「言葉にする」ことにかなりこだわる。
勉強ができる・できない、成績がよい・悪いは、小中学生のうちはほとんどが「思考の深度」で決まると思う。同じ問題を解き、解説を聞き、やり直し、それでも成績に大きな差が出るのはなぜか。それは解くとき、聞くとき、やり直すときの「頭の使い方、考えの深さ」が違うからだ。
成績が中々伸びない生徒というのは、我々基準から見ると「考えているふり」でしかないことがよくある。いや、彼ら・彼女らなりに一所懸命やっているのだ。でも、その「考える」は非常に浅いレベルでしかない。「考えているカンジ」「分かったカンジ」で勉強をこなしている(繰り返すが皆一所懸命なのは分かっている)。
私は、そうした思考の深度を左右するのは言語化の力だと思っている。問題の解答プロセスを、設問意図の理解を、言語化という形で表現できること。これが小中学生にとっての「できる」の中身ではないだろうか。
例えば、中3数学、三平方の定理と円。例題解説で「円の中心から円周上の点Dに補助線を引くよね。そうするとどこと長さが同じになる(ここでは半径AOと同じ長さ)?」と発問する。こういう問いかけに、塾で勉強している生徒なら大体正しく答えられる。話の流れ的にも、ポイント的にも「ここしかない」という雰囲気があるからだ。さて、ここからが問題。
「AOと同じ」と答えた生徒達に「なぜ?」と問いかける。そうすると間髪入れずに「ともに半径だから」と「言葉を与えられる」生徒と、回りくどく「中心から円周に引いた線で~それは同じで~」と説明し、「半径」という言葉が出てこない生徒とがいる。
言語化とは抽象化の力のことでもある。思考の深度とは、抽象化能力のことだ。できる生徒はこれに長けている。伸び悩む生徒は、この力が弱い。
となると我々の仕事は言語による抽象化能力をどのように鍛えるのかということになるのだが、言語化能力を磨くには言語化を徹底的に行うしかないと思う。問題を解くだけでも、読書をしてもダメである。書かないとダメ。
数学なら問題を解く際(計算を除く)、必ず思考プロセスを書かせる。自分で「解説」を作る感じ。苦手な子はここから始める(当然成績が伸びてくれば徐々に離陸させていく)。他の教科でも、模試などで間違えた問題について「なぜ間違えたのか」を記す復習ノートを作成させる。
勉強しているのに伸び悩んでいるというご相談を受けることが結構あるが、大抵は抽象化能力に乏しいのにただ問題を解くだけという悪弊に陥っている。言語化で思考の深度を深めなければならない。
ただし、この作業は生徒にとってもやらせるこちらにとっても結構大変だ。根気よく、性根を据えて取り組まねばならない。でも、これなしには成績は中々向上しない。言語化能力は気合いと根性で磨いていこう。
執筆: この記事はgenさんのブログ『gen-uine』からご寄稿いただきました。
寄稿いただいた記事は2013年06月25日時点のものです。
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