今回はメカAGさんのブログからご寄稿いただきました。
■春闘復活
安倍政権になってようやく金融政策がリフレ(インフレ)へと転換した。当然のことながらインフレはバラ色の世界ではない。デフレが真綿で首を絞めるようなゆっくりとした衰退なのに対して、インフレは激痛である。
物価が上がっていくが庶民の給料はそれほど上がらない。最終的には給料も上がっていくが、つねに後追いになるから、山道を登っていくようなもの。常に終わりのない苦しさが続く。これは日本経済復活の代償として耐えなければならない。
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で、給料は黙っていても上がらない。そのために労働組合があり、ストライキ権もある。1970年代は国鉄(現在のJR)などが激しいストライキをやった。交通が麻痺し、当時の大人たちは、出勤できるか朝のニュースを見守っていた。
「春闘の賃上げ推移」 2012年08月16日 『疑似科学ニュース』
www.asks.jp/community/nebula3/107654.html
1980年代になると好景気で比較的楽に賃上げ交渉がまとまったので、大規模なストは行われなくなった。庶民の生活に多大な影響を与える大規模な交通機関のストなどは国民からも支持されにくいという判断もあった。
1990年代になると今度は猛烈な不況とデフレで、逆の理由で賃上げ交渉は行われなくなった。賃上げよりも雇用を守るのが先決であり、また物価が下がっていくので、賃上げの正当性が主張しにくくなったためだ。同じ給料でも買えるものが増えるのだから、実質給料が上がっているのと同じだ、と。
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庶民からは労働組合の存在感がすっかり薄くなっていたが、これからインフレの時代になれば、再び賃上げ交渉が盛り上がることだろう。
上述の理由でスト未体験の世代も多いだろう。うちの会社は労働組合なんてないとか、あってもストなんてできないとか。その点は心配はいらない。大きな企業の労働組合が賃上げ交渉してくれる。そこでだいたいの賃金アップ幅が決まる。中小の会社はそれを目安にして、自分たちの会社の社員の賃金アップの幅を決める。
もちろん理屈としては無視してもいいわけだけど、他の会社がこれだけ賃金アップしたのにうちの会社は少ない、と不満が出ると会社としても好ましくないものだ。だからたいてい上がる。
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ということで今後順調に物価が上昇していけば、再び労働組合の活動と賃上げ交渉(春闘)が新聞やテレビをにぎわすようになるのではなかろうか。そうなると30年ぶりぐらいだよね。まあさすがに交通機関のストはもう行われないだろうけど。国鉄(JR)で最後までストライキをやってたのが、悪名高い動労千葉ですな。
執筆: この記事はメカAGさんのブログからご寄稿いただきました。
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