今回はメカAGさんのブログからご寄稿いただきました。
■Appleを見習えとかいう経済学者たちは経済をわかってない
日本経済がダメな理由として、AppleのiPhoneみたいな製品を生み出せないからだと、耳にたこができるぐらい聞かされてきた。でもそれって本当の経済をわかってないと思うのだよね。
金利がどうとか量的緩和だとか、経済の数値だけを見てあれこれ言っている。経済全体の方向を見るのにはそういうものが大事だろう。でもそこから「具体策」を導く段階になるととたんに、おかしくなってしまう。たとえるなら自殺者数の増減の分析はできるけど、具体的な自殺対策の提案になると、児戯に等しいレベルになってしまうようなもの。
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国の経済で一番大事なものはなにか? 労働者だよね。労働者の賃金だ。多くの労働者にたくさんの賃金を払う産業が、国の経済を支えている。
そんなの当然だって? いやいや、それがわかっていない。多くの労働者を抱え、多くの賃金を払う企業というのは、言ってみればすごく効率が悪い企業だ。労働者の賃金というのは企業側から見ればコストであり、高いコストを払って僅かな利益を上げる産業。
それって農業とか漁業とか製造業とかだと思う。高い利益率を誇る花形産業は、いいかえれば低コストで大きな利益を出す産業。企業としては結構なのだが、必要な労働者が少ないから、その産業で国全体を支えることはできない。
また花形産業というのは先行者利益を享受できる産業だから、少数の企業しかその分野に参入していないことが必要条件。つまりみんながやりだしたら旨みはなくなってしまう。労働者が増えたら成り立たない。必然的に多くの労働者を抱えられない。
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そう考えると国の経済を本当に支えているのは、一見ぱっとしない第1次、第2次産業だと気づくだろう。多くの労働者を抱え、さして高くない利益率の産業こそが、多くの労働者に賃金を払い、国を支えているのだ。
いくら企業単体としてみた場合、利益率が高く、少ない労働者で膨大な利益を上げている超優良企業があっても、雇用には貢献しない。そういう企業で働く労働者の数は限られているからだ。
したがって日本の経済をどうすれば好転させられるかを考えるなら、目立つ花形産業ではなく、地味な産業にこそ目を向けなければならない。少ない社員でものすごい利益を上げている会社があったとして、その会社はカッコイイだろうけど、それで日本の経済を支えることはできない。
時代を牽引するようなイノベーションを起こす企業は、いくら光り輝いていても、一国の労働者を養うことはできない。どの国でも大多数の労働者はさして脚光を浴びない産業に従事している。いくらiPhoneが売れているといっても、パナソニックや日産の全労働者がiPhoneを作るわけにはいかないだろう。
自動車とか洗濯機を地味に作っている企業を、「いまどき時代遅れだ」「いまはそんな時代じゃない」とかいうのは素人ならしかたない。しかし日本経済の方向性に一家言ある人間が素人と同じレベルで「いまどき流行らない」じゃだめだろ。
…と思うんだけどねぇ。たとえば日本にApple社があったとして、Appleただ一社で日本の景気を良くすることができるのだろうか。
執筆: この記事はメカAGさんのブログからご寄稿いただきました。
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