人のデザインを私たちはどう評価し学ぶべきか

今回は秋葉秀樹さんのブログ『Hideki Akiba Private Blog』からご寄稿いただきました。

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■人のデザインを私たちはどう評価し学ぶべきか
人のデザインを私たちはどう評価し学ぶべきか
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先日ユニクロの電車内中吊り広告や新聞広告のデザインが話題になりました。

文字だらけのレイアウト、赤をベース、黒と黄色という昔のスーパーのチラシ風のテイストで、「不快感しか感じられない」「センスを疑う」といった、どちらかというと批判的な意見のほうが目立ったようにも思えます。

またそんな声の主が、デザイン関係あるいはライターなど、私と近い業界にいる人の声が多かったことも気になりました。

さらにNAVERにまでまとめられたようです。

「どうしたユニクロ!?ひどすぎる新聞広告に心配の声まで!まとめ」 2012年11月22日 『NAVERまとめ』

http://matome.naver.jp/odai/2135355820375056401

今回は広告デザインをどの視点から自分なりに評価するべきかを考えてみたいと思います。

●デザインの先には必ずユーザがいる
広告をつくる仕事に携わる広告業界の人だけでなければクライアントでもなく、私たちがデザインしてつくるものには必ずユーザがいます。
電車内広告デザイン、Webデザイン、プロダクトデザイン、種類は違えどその先にユーザがいることに例外はありません。

もしもデザインを勉強している人だったら、「なぜこうなった?」をまず自分なりに考察するチカラを養うために考えてみたいことです。

●「あんたはウチのお客さんが見えてるのか?」と言われて...
私は過去にデザインの事例や潮流などが紹介されている書籍を見ては、流行のデザインや基礎などそれなりに研究したつもりですが、そのような書籍のほとんどは「この広告デザインによって得た成功効果」というデータまでは載っていません。
つまりデザインの潮流を学習するだけでその先のユーザがどう行動したかを理解するのは難しい、ということです。

20年ほど前、私が駆け出しの頃に海外の事例を学んでクライアントに見せた自分のデザインに対し「あんたはウチのお客さんが見えてるのか?」と言われたことを思い出しました。

私は当時、東急線の窓上ポスター(車額とも言われていた)を売っていて、自分で電話営業して契約を決めクライアントと折衝してデザインを仕上げ印刷入稿、電鉄会社に納品ということを一人で全部やっていたので、クライアントのそういった声を聞けたのです。

当時の社内ポスターは規格によって色々な料金設定がありますが、私が売っていたのは1車両に1枚、250車両分に付けられていたハーフ(半分サイズ)ポスターで月額30万円。

路線図のとなりに掲載されるため注目度の高さと網棚に隠れないというメリットはレギュラーポスターと比べると有利な特徴はありますが、当時はバブル崩壊して間もない時期、中小零細にとって月額30万円の交通広告費は必死ものです。

クライアントの社長さんや院長さん、学長さんが顧客にどう響かせるかを一緒に考えたものでした。

私も携わった電車内広告で、あえて文字だけの広告を「仕掛け」たことはあります。

ただしそういう「仕掛け」の場合、いつまでもそのままということはせず掲載期間を区切って意匠替えをしたり、特別なイベントの時期だけ数週間のみ掲載することが多かったように記憶しています。

このユニクロの場合もそれなりの予算を投じて行っただろうし、それなりの「仕掛け」があったのかもしれません。

少なくともユーザに向けて、どうアプローチしたかったのかを学ぶことができると思います。

●デザインとは表面上の視覚ではなく背景にいる人の行動を予測して設計するもの
色やレイアウト、メタファなどは私たちで確認できる表面的な要素に対し、それを見たユーザの動向は私たちに見えにくい位置にあります。
このユーザ動向を背面的な要素としたら、背面的な要素に存在するユーザにどうアプローチしているのかを考えることがデザインの本当の評価につながるのだと私は思っています。

人のデザインを私たちはどう評価し学ぶべきか

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表面的要素を見て「不快感」と思う人は思うし、そう感じないユーザもいないとは限りません。

大事なことは、その不快感と感じないユーザがクライアントの事業とどう関係性を持っているかを考えることが大事で、自分の考えばかりをデザインに取り入れるべきではないということです。

少なくとも表面上得られるヒントから「なんでこんなデザインにしたんだろう?」を考えることも必要なトレーニングだと思っています。

●自分の経験でしか感想は語れないから正しいかどうかなんてわからない
この業界を経験している多くの人、そのほとんどの経歴なんて10~20年程度です。
自分ができるモノに対する評価とは、自分が過ごしてきた時間の中で得た経験の中から初めて評価できます。
「好き」とか「嫌い」とか「カッコいい」とか「ダサい」とか、その多くは自分の経験でしか得られなかったことと言えるでしょう。
もっと多くの年齢層か感受するシチュエーションを考えてみると私にはとても難しい話です、しかし考えることをやめてはいけないように思えます。
もう表面的にしか見えない評価、それはデザインの評価ではないと思うんです。

「人のデザインには何らかの因果性がある」ということをもっと人から学ぶとするか。と。

執筆: この記事は秋葉秀樹さんのブログ『Hideki Akiba Private Blog』からご寄稿いただきました。

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