今回はメカAGさんのブログからご寄稿いただきました。
■若者の思考って柔軟なんだろうか
これからは若者の時代だ、柔軟性が求められるのだ、頭の硬い中高年は引っ込め、とネットでよく聞かれる。最近少し下火になったかな。世代格差論ブームだった頃はよく聞いたフレーズだと思うけど。
思考が柔軟なのは良いことなんだけど、本当にそうなのか?と最近思うのだよね…。たとえばマクドナルドのメニュー廃止問題。廃止するとこういう問題が起きる、ああいう問題が起きると反対の大合唱。
何事にもメリットとデメリットがあるのに、デメリットだけ列挙して、現状から何一つ変えるなと言わんばかり。
たとえば若者が職場で「こんな方法はどうでしょう?」と上司に提案したら、デメリットを怒涛のごとく列挙されて却下。よくあることだと思うけど、それと同じ光景だよね。きっと若者は「やってみないとわからないじゃないか」と思うに違いない。
実際には現状というのは過去の試行錯誤の成果であり、若者が思いつく程度のことはとっくに過去に試行済みというのが少なくない。でも若者が変わらみれば「やって見させてくれ」と思うよね。そういう時にやらせてみてあえて失敗させることも教育的には必要。
マクドナルドの件も、見ていてそう思った。やらせてみればいいじゃん、と。
* * *
どこかの自治体がボランティアでデザイナーを募集した件も、無料で働かせるなんてけしからんという声が大きかった。確かに反対する人の言い分も一理あるのだけど、まるっきり既得権を守ろうとする人の姿だよね。
いや、自分たちの権利を守るのは重要なことだから、それを否定するわけじゃない。でもよく国民が大企業や官僚組織を批判する時に言う「既得権にしがみついている」という批判と、どこが違うのだろうか。
とにかく一歩でも譲歩したらすべての既得権が失われてしまう…みたいな勢いだったよね…。とりあえずやってみて「やっぱ問題が大きかったらやめよう」というスタンスではなかった。昔の労働組合の労使交渉のシーンを思い出してしまったほどだ。
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なんの本で読んだか忘れてしまったけれど、よく子供の発想を柔軟だというのは違うと主張していた記事があった。子供は大人が予想しないような発想をするが、それは大人が知っているベストな答えを知らないから、自分の知識の中でベストな答えを導き出しているだけだ、というような論旨だったと思う。
自分なりのベストな答えを出す点は評価されるべきかもしれないけどね。ただその時俺が思ったのは、知らないから仕方なしに妙な発想にたどり着くのと、オーソドックスな答えを知っていてあえて別な答えを発想するのでは、後者の方がやっぱ高度だろうな、と。
大人・子供に限らず、知らないことが思考のモチベーションになっている点は否めないが、本当の柔軟性というのは、知っている答えではない答えをあえて生み出すことだろう。その意味で子供や若者の思考が柔軟かというと、はて?と思ってしまう。
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人間の大半は凡人だ。自分の専門分野では秀でた人間でも、専門外の分野では凡庸な思考しかできないし、専門外の分野の方が広いのだから、トータルすれば凡庸な思考の方が多いことになる。
つまり人間が思いつくままを口にすると、その発言はたいてい凡庸なのだ。みんなが自分はその分野で専門的な判断ができるというケースだけ発言すれば、非凡な意見が集まるだろうけど。
でもやっぱなんにでも口を挟みたい人の方が多いよね。特に外向的な人はそうなんじゃなかろうか。
執筆:この記事はメカAGさんのブログからご寄稿いただきました。
寄稿いただいた記事は2013年05月01日時点のものです。
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