ただし今回の機種は「開発端末機」のため、発売モデルとは異なる可能性もある。その点はあらかじめご了承いただきたい。
●5インチ、440ppiディスプレイの性能
まず『butterfly』で特徴的なのは、5インチ、16:9、1920×1080フルHDの液晶だろう。相応のインパクトを備えているものの「大きい」という印象は少ない。
ただし、男性である筆者の感想とは異なり、女性スタッフからは「やっぱり大きいですね」という声もあった。基本的には両手での操作になるだろう。
この大きさにして「440ppi」の表現力は文句なし。文字や画像のキレが素晴らしかった。液晶画面であるにもかかわらず、印刷物のような文字のキレなのだ。写真に至ってはポジフィルムを拡大して見ているかのような鮮明さであった。
また、太陽光の下でもハッキリ見えるというのも本当だった。
普段は「あー、日差しが強いから見づらいなあ」と、屋外に出たことを“ディスプレイの見づらさ”で初めて実感することが多かった。
今回、屋内と屋外で見え方の差が少なかったためか、外で使っている時には「日差しの下にいること」に全く気づかなかったほどである。
視野角についても同様だ。同じ画面を別の角度から眺めても見え方の差がほとんどない。たとえば撮った写真を職場の同僚と一緒に見る場合でも各々の角度からきちんと見えた。いちいち見る人に合わせて画面を傾けたりする必要がないのは、細かいところで便利だった。
●カメラ性能
『Butterfly』ではカメラ性能の高さにも注目したい。
「起動0.7秒」だけあって、カメラアプリの立ち上がりはとにかく軽い。加えて「F値2.0レンズ」のおかげもあり、ブレは少ない。
フロントカメラは88°の広角レンズを備えているので、従来だと2人までが限界だった自撮りも、4人まで余裕のフレームインが可能になっている。
フロントカメラではデフォルトのシャッターがカウントダウン仕様になっているのは親切設計と言えよう。
ただし、フロントカメラ210万画素、メインカメラ800万画素と画素数に差があるので、画質も相応に異なってくるのでその点は注意。
画面タッチでのシャッターも実装しているが、その反応の良さゆえ、つい触って意図せぬシャッターが切れてしまう場面もいくつかあった。
ちなみにシャッターボタンを押しっぱなしにすると、最大99連写が可能だ。連写間隔は1秒間に4枚なので多すぎず、足りなさすぎずという印象だ。
子どもや動物などの動きのある被写体でも、ベストポーズを後からチョイスできるのは非常に便利だ。表情でも、たまたま撮れたのが半目だった!という事態を防げるに違いない。
連写した中から「最高の一枚を選ぶ」ことも「すべて保存」(※拡張メニュー)することもどちらでも可能だ。
個人的に要望を挙げるとしたら「フォーカス音」の設定だろうか。画面タッチで任意の部分をフォーカスすると、一眼レフのレンズモーター音をエミュレートしたと思われる効果音が発生する。
静かな場所で撮る場合などでは、この「ジーーッ」と鳴る鋭い音が、案外大きく感じることがあった。
日本ではシャッター音のミュート(無音)が難しいのは仕方ないとしても、フォーカスを合わせる時の音は(種類、もしくは音量を)選択させて欲しいと感じた次第だ。
オートフォーカスが迷う場面などは、ピントを合わせるポイントを自分で決める必要があるだけに、フォーカス(のエミュレート)音が気になってしまった。
あと、せっかく明るいレンズを備えているだけに「絞り固定」で撮れればなあ、などと思う場合もあったが、スマートフォンのカメラユニットに出す要望ではないのかもしれない。というか、そもそも『butterfly』はデジカメではなくスマートフォンである。そんなことを忘れるくらい、カメラ部分の仕上がりは良いと感じた。
●電池持ちは心配なかった
最初のレビューでは、カメラの試し撮りやfacebook、twitterのチェック、ブログ閲覧アプリなどを織り交ぜながらいつもの筆者のペースで使ってみたところ、当初は丸2日無充電で過ごすことが出来た(3日目の朝に充電の警告が来た)。
次はもう少し電力消耗を意識的に使用してみた。
まずテザリングを実行し、2時間PCでメールチェックとブラウジングを行ったところ45%程度まで下がった。そのあとはスタンバイ状態がメインではあるものの、簡単なカメラレビューやブラウジングなどを行いつつ使ってみたが、20時間ほどで20%に到達するにとどまった。
いずれの場合も電池の消耗を強く感じることは無かった。
2020mAの大容量バッテリーの搭載、そしてAndroid4.1とのチューニングに成功しているのか、本体標準のバッテリー消耗グラフの減りは非常に緩やかだった。
●わかっていたけど、やっぱり4G LTEは速い
編集部周辺での実測値では下り26~33Mbps、上り15~20Mbpsとなった。やはりLTEは速い。
ちなみに、先のテザリングを用いた際にPCで計測した値では下り8~12MBps、上り2.6~3.3Mbpsという結果となった。
●防水
風呂場に持ち込んでの検証も行ってみた。水にぬれた状態でもタッチやフリックが正しく行えるかどうかを試してみたが、大きな問題は無かった。
水滴のせいか、ごくたまに意図しない挙動が見られたものの、過去の防水スマホに見られたような「制御不能」におちいる事は無かった。
余談だが、スマホをガード無しで風呂場に持ち込む事に慣れていない筆者としては、かなり緊張する検証であった。
●普段持ち歩いてみての感想
1週間近く検証してみたが、大きさで不便を感じることは無かった。
画面が広い一方、その薄さゆえジーパンのポケットに入れてもまるで違和感がなかった。
ケータイやスマホにおいて「持っている」ことを意識させるのは、広さよりも厚みなのだ、と気づかされた。
●さすがの“日本仕様”“全部入り”
誤解を恐れずに言うならば『Butterfly』はスペックが素晴らしいのではなく、使う人間を想定したスペックを必要なだけ備えている点であると、今回のレビューで感じた。
カタログの数値を追うのではなく「こうすると便利になる」という開発者の心遣いが垣間見える機種だと言えよう。
もう一つ印象的だったのは、カメラやブラウザなどの標準アプリ、ホーム画面の仕上がりも良かった点。
筆者がこれまで個人的に使ってきたAndroid端末においては、ホーム画面用のソフトやブラウザなどは(標準添付のものではなく)出来るだけ挙動の軽いものを選択して使っていた。しかし『Butterfly』で同じことをしても、体感のパフォーマンスは変わることがなかった。場合によっては、使用感が悪くなるケースも見られたくらいだ。そのくらい標準添付されているソフトのマッチングが優れていたように思う。
昔のリソースが限られた端末とは違い、1.5GHzのクアッドコアや2GBのRAMをはじめとした高性能部品を積んでいるのだから軽くて当たり前だという声もあるかもしれない。が、ユーザーがチューニングをせずとも快適に使えるというのは、当たり前なのにこれまでなかなか出来なかった部分かもしれない。
Androidをいち早く押し出したauだけに『Butterfly』の仕上がりは嬉しい進化と言えそうだ。
発売は「12月上旬」。テレビCMも間もなく放映されるはずだが店頭でのお目見えはその直後が予想される。もうすぐだ。
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