今回は竹内 健さんのブログ『竹内研究室の日記』からご寄稿いただきました。
※この記事は2012年11月11日に書かれたものです。
■電機産業の凋落を見ておもう。自分の人生は自分の直感で決めるもの。
日本の中でも競争力が高かった電機業界がまっさかさまに転落していて、知り合いの中にも、海外の企業に転職する人が増えています。
私が東芝に就職したのは1993年ですが、当時は、日本の電機メーカーの間での転職も厳禁と言われていました。
本当かどうかわかりませんが、電機業界では各企業の人事部が連携して、相互に転職ができないようになっていると、噂されたものでした。
転職を禁じると言うことは、逆に言うと、それだけ企業が盤石だった。一生の雇用を保証できると、会社も社員も思ってたんですね。
当時は、金融バブルが崩壊し、護送船団と言われていた、日本の金融業界で倒産や統合が相次ぎました。
証券会社や銀行が潰れることはあっても、どこか、他人事。
電機業界は不動産などに手を出さなければ大丈夫だろう、というように思われていたかもしれません。
それが、DRAMなどで三星に負けた90年代の後半から2000年代になると、不採算事業の撤退もはじまり、日本企業の間での転職は普通に行われるようになりました。
それでも、外資系企業に移る技術者には、冷たい視線を浴びせる風潮がありました。
露骨に「裏切り者」と罵る人も居たように思います。
それが、今では、電機メーカーは経営危機に陥り、希望退職を募るところまで追い込まれました。
むしろ、外資系企業でもどこでも、移れるところがあったら、移ってほしいという状況です。
そして、シャープに対するホンハイの出資のように、外国企業の出資がなければ、日本企業が延命することさえ難しい場合も出てきています。
20年近くを振り返ると、盤石だと思えていたのは、ただの幻想だった。
もちろん、電機メーカーでも私が勤めていた東芝や、社会インフラ事業に舵を切った、日立・三菱電機のように、時代の変化に応じて事業を変え、逞しく生き残っている企業もあります。
ただ、当たり前ですが、どんな大きな企業であっても、「絶対に大丈夫」「一生を保証」なんてありない。
むしろ、社員が「自分の会社は大丈夫」と思った時には、会社は衰退の危機にあると思った方がいい。
以前は、電機メーカーを辞めるのは「不安定」な生活になると思われたのが、今からすると、あの時に移って良かった、という場合が多いのではないでしょうか。
会社は倒れる時はあっという間ですが、内部に居れば、「そろそろ、まずそうだぞ」とかなり前に気付くもの。
自分の直感で、「ここに居てはマズイ」と思ったら、移るのが正解なんでしょうね。
執筆: この記事は竹内 健さんのブログ『竹内研究室の日記』からご寄稿いただきました。
寄稿いただいた記事は2013年04月23日時点のものです。
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