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大人も子どもも楽しめる! 野沢雅子さんが語る『やなせたかしシアター』初日舞台挨拶

2012/12/03 11:31 投稿

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やなせたかしシアター

12月1日、シネ・リーブル池袋にて『やなせたかしシアター』初日舞台挨拶が行われた。『やなせたかしシアター』とは、12月1日より同時上映される映画『ハルのふえ』『アンパンマンが生まれた日』『ロボくんとことり』の3本のやなせたかし監督作品のこと。『ハルのふえ』は、ハルというタヌキのおかあさんと人間の子どもパルのお話。『アンパンマンが生まれた日』は、テレビ放送第1話の『アンパンマン誕生』をベースに作られた作品。テレビ版をご覧になったことある方は多いのではないだろうか。『ロボくんとことり』は、教科書にも採用されたという、ロボットとことりが砂漠で助け合うお話だ。

舞台挨拶には、『ハルのふえ』でハル役を演じた野沢雅子さんと、アンパンマン、そしてやなせたかし先生そっくりのやなせうさぎの3名が登壇した。劇場には多くの家族連れが訪れており、登場したアンパンマンに手を振るお子さんたちも多く、和気あいあいとした雰囲気であった。

●やなせたかし先生の祖母がモデルとなった『ハルのふえ』

『ハルのふえ』あらすじ

タヌキのハルは宙返りと草笛が上手な森の人気者。ある日森で人間の赤ちゃんを拾う。ハルは人間のおかあさんに化けて赤ちゃんをパルと名付けて育てる。赤ちゃんはすくすくと大きくなり、ハルにならって草笛を吹く姿を、通りがかりの著名な音楽家に才能を見出され、音楽の勉強をするために都会へ出かけることになる。ハルは別れの寂しさをこらえ、パルの幸せを祈って見送る。そしてパルがいつ、傷ついて戻ってきてもいいように自分は人間の姿のままで暮らす決意をする。やがて、あることをきっかけにハルは姿を消してしまう。フルートの名演奏家となったパルがハルを探して森へ戻ってきた時、思いもよらない奇跡が起きた……。

タヌキのおかあさんハルとその子どもパルの物語。おかあさんであるハルのモデルとなったのがやなせたかし先生の祖母で、田舎ぐらしで農業をしていた祖母は、この物語と同じく田舎ぐらしで都会にはこようとしなかったそうだ。そんなやなせ先生からのメッセージが届いた。

やなせたかし先生からのメッセージ

『ハルのふえ』は、ハルというタヌキが人間の赤ちゃんを育てる話です。ハルは木の葉を頭にのせてくるりと宙返りをすると人間のお母さんに化けることができます。歳月が流れてフルーティストとして成功した息子のパルは「お母さん僕と一緒に都会で暮らそう」 ハルは断ります。「私は本当はタヌキなの。今正体を見せてあげます」といって木の葉を頭にのせて宙返りをしますがどうしてもタヌキにかえれませんでした。

息子のパルは「お母さんは冗談と宙返りがうまいなあ」といってふたりとも大笑いです。

僕はこの一言を書きたいためにこのお話を書きました。

実はこのお話にはモデルがあります。僕の父方の母つまり僕の祖母にあたります。けっしてタヌキではありませんでしたがほとんど秘境に近いような山峡の村で一人暮らしで農業をして暮らしていました。どんなにすすめても町でボクたちと一緒に暮らそうとはしませんでした。

夏休みになるとボクと弟はおばあちゃんの家に遊びに行きわがままなやり放題、産みたての卵の卵かけご飯、塩茹でのとうもろこしの味は今でも忘れられません。天使の様な人でした。スタッフの皆さんが協力してこの映画を作って下さった事に深く感謝しています。

ありがとうございました。

●「母を思い出しました」 野沢雅子さんの想い
野沢雅子さん
舞台挨拶では着ぐるみに囲まれた野沢雅子さんが作品や子どもの頃について語っていた。会場で「『アンパンマン』で育った保護者の方は?」と聞くとほとんどの方が挙手をするというほどで、やはり『アンパンマン』は世代を超えて愛されている作品だ。そんな『アンパンマン』の作者であるやなせたかし先生の作品『ハルのふえ』でパル役を演じた野沢雅子さんは、やなせ先生の祖母がモデルであることについてこのように語った。

野沢「私が生まれた時に祖母はいなかったので、すぐ母を思い出したんです。母は、人と自分を比べてはいけないと言う人でした。子どもが、他人がもっているものを欲しがるのはわかるんですけど、あなたがもっているこれのほうがいいのよ、と教えてあげることもいいんじゃないかなと思うんですよね。身近なもので遊べるものがたくさんあると思います。子どもはなんでも与えられると遊べるものなんです」

また、この作品は2011年に第24回東京国際映画祭特別招待作品として東日本大震災の被災地である仙台で上映された。そのことを振り返って野沢さんは「テレビで見ていて大変だなって思っていたのですが、現地で見て大変さが全然違いました。テレビの比じゃないです。上映したらお子さんたちがお母さんたちときてくださっって、そんなのうるうるしちゃいます。こういうときって毎日心がすさんでしまって、どうしたってとげとげしくなっちゃいますよね。そんなときにホッとする時間を与えてくれるアニメって大切だなと思います」と、被災地を訪れた際の心境とアニメの大切さについて語った。

ところで、『アンパンマン』ファンの方で『アンパンマン』と野沢雅子さんの関係をご存知の方はおられるだろうか。なんと実は毎年必ず1回はアンパンマン出演しているというのだ。どのキャラクターかピンと来る方はかなりの『アンパンマン』フリークであろう。そのキャラクターとは、冬に登場する“シチューおばさん”というキャラクター。野沢さんは“シチューおばさん”の収録の時期が来ると「ああもう冬かぁ……」と季節を感じるそうだ。

『やなせたかしシアター』は12月1日より絶賛公開中。ハルの子ども、パル役は“アンパンマン”の声優である戸田恵子さん。こちらのベテラン声優2人の掛け合いにも注目だ。

配給:東京テアトル

(C)やなせたかし/フレーベル館・TMS・NTV

(C)やなせたかし/TMS

(C)2008やなせたかし/「やなせたかしメルヘン劇場」製作委員会

やなせたかしシアター ハルのふえ

http://hal-fue.com/index.html

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