今回はブービン × 津田啓夢さんのブログ『前略、セチガラ山より』からご寄稿いただきました。
■全文起こしは必要か
最近ちょっぴり全文起こしブームですかね? そんな中ですごく面白かった記事を置いておきます。読んでみてくださいな。
▼ 「堀江貴文氏が仮釈放、記者会見の様子を全文起こしでレポート」 2013年03月29日 『NAVERまとめ』
http://matome.naver.jp/odai/2136436809806353001
▼ 「ホリエモンの考える「新しいニュース批評の形」を勝手に考えてみる」 2013年04月01日 『NOTE by Hiromi Kubota』
http://hiromikubota.tumblr.com/post/46832485560/imagination-of-horiemons-new-news-media
▼ 「会見全文書き起こしは、企業が自ら提供したほうがいいのでは?」 2013年04月02日 『dialog』
http://daialog.com/2013/04/kakiokoshi/
全文起こしは、普段発表会などで一次ソースにあたる取材者がどれだけちゃんとやってるかの証明であり、どれだけ怠慢かの証明にもなるのでこれは歓迎したいです。執筆者がどれだけちゃんとやっているか、どうぞチェックしてください。そこまで調べる人はあまりいないのかもしれませんが(^0^;)
それに、一次ソースにぶつかるということは、受け取る側の能力も試されるわけで、受けとる側が素晴らしければ、それは価値ある情報になるし、誤解して解釈したり、話のうまい人の方便にコロッと傾いてしまうようであったりすれば、衆愚の見本になるはずです。
一次ソースにぶつかれる僕らマスゴミは権力者です。放送事業者以外は免許が必要なく、記者クラブ以外はたいていの取材に顔が出せるので、完全にかたまった権力ではないものの、情報という価値あるものに直接接触できる既得権益の上で商売が成り立っています。
引きずり下ろせる権力なら、そんなもの引きずり下ろしたらいいんです。そうなれば、極端にカスあつかいされたり、極端に高いところに置かれることなく、マスゴミの価値が判断しやすくなると思うのです。少なくとも、きっと判断してくれる、と思うぐらいには読者を、そしてネットの住人を僕は信じています。
さしあたって、以下は課題ですかね。動画や音声で信頼性を担保できるとすればなんとかなりそうです。
【信頼性】
・全文が本当に“全文”か
・塗り替えられた“事実”はないのか
それと、課題はこっちだと思うのですが、労力に見合うのか、という課題です。動画や音声で担保しなければならない、わずらわしさもこちらに含みます。
【労力に見合うか】
・全文起こし大変だ
・全文に価値がある会見はほんの一部ではないか
・ほんの一部なら“全文起こし”は可能性を語るほどのものではないのではないか
今回は皆が注目することがわかっているような会見でした。そもそも注目されているものだからこそ、全文起こしに需要が生まれるのかなと思います。スポーツニュース記事では、一問一答の掲載がよくあります。また、省庁のお偉方や大企業の社長会見などでは発言全文が文章化され、Webサイトなどで掲載されたりもしています。そのため、ある人にとっては新しいムーブメントとは映らないかもしれません。とはいえ、すでにあるという意味では、すでにニーズもあるわけです。金銭や時間的なコストと、ニーズのバランスさえとれればすぐに成立しそうです。成立して少したつと「全文起こしに創作性は認められるのか?」みたいな話が出てきそうですね。
発表会の主催者側が全文起こしを提供するってのも面白そうです。需要云々の前に、主催者発表と実際の会見に開きがあると、そこをつくメディアも登場しそうです。いっそのこと、プレゼン発表内容の文章や想定問答なんかも全部公開しちゃうと、発表する側がどれだけ準備してきたのかもわかりますな。
自分自身では全文起こしは読むのが面倒で、読んでません。すごく興味のある人なら読んでもいいけど、それなら動画の方がいいかな、と思います。ホリエモンが今後提供するものに興味があっても、シャバに出てきたご本人には興味ないので今回も全文起こしは読みませんでした。
労力をかけずに、音声が自動的に文章化され、あらゆる発表や公式発言内容がテキスト化される。それが自由に使えるようになったりすると、すごく面白い世界になりそうです。ここ数年、キュレーションという言葉が一人歩きし、実体がふわふわしたまま、言葉の価値だけが高まりましたよね。少し前にはナントカ2.0というのもありました。そういった、ちゃんちゃらおかしい世界がより手応えのある編集の領域になるわけですから、これは楽しみです。楽しいは正義です。
執筆:この記事はブービン × 津田啓夢さんのブログ『前略、セチガラ山より』からご寄稿いただきました。
寄稿いただいた記事は2013年4月9日時点のものです。
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