今回はたかみゆきひささんのブログ『shadowcube』からご寄稿いただきました。
■おたくやファンが仕事に就く時
僕が「おたく」という言葉を初めて聞いたのはここ*1にも書いた通り、30年以上前。
*1:「おたく歴は27~28年?」 2009年10月08日 『shadowcube』
http://ameblo.jp/shadowcube/entry-10360048006.html
「おたく」という言葉のとらえ方は世代によって違うだろうから「えー、そうかな?」っていう人がいても構いません、ということを先に書いておきます。
また、「おたく」の表記はいろいろあるけど、ここでは「おたく」としておきます。
ということで、「おたく」と「ファン」の話。
で、その中でも「おたく」や「ファン」が自分の「おたくである」、または「ファンである」対象に関する仕事に就く際の話。
例えばアイドルファンが何かの切っ掛けでアイドル業界でスタッフとして関わるようになることって割とあったりする。
実はうちの会社のスタッフも初めの頃はアイドルファンばかりで占められていた(笑)。
もともと自分がアイドルファンのみなさまと交流してその中で知り合った人たちとやってるところがあるからというのもあるけど、じゃ、誰でもそういうことができるかというと、全然そういうことでは無く、そこにはとても大事な条件がある。
それは
アイドル関係の仕事をするようになったらアイドルファン活動は辞めなければならない。
これができるかどうかがとても大事なのです。
これは声優ファンでも同じ。
なので僕がアップフロントで社長をやるって話になったときも、ハロー好きでライブやイベントに行きまくってるスタッフには「仕事の現場には連れて行かないよ」と改めて通達した。
(うちの会社のスタッフは基本的にそういうことはよくわかってるので、何も問題はないんだけど)
例えばAちゃんのファンがAちゃんに関連する仕事に就いたら、もうAちゃんのイベントやライブに行って飛ぶことはNGなのである。
そういったファン活動は封印。
でも応援する熱意は封印する必要は無い。
Aちゃんの活動が今後うまくいくように裏方として尽力するところにその熱意を転換することになる。
続けるならそういう表に見えないファン活動。
ファンあがりのスタッフが現場にいる時
「あの人はファンだから現場に連れてこないで」
「ファンが現場にいると困る」
と言われてるのを見ることが結構ある。
ファンの時代にスタッフ側にファンと認識されてしまっている人は特に注意です。
ということで
ファンはその仕事に就いたらファン活動を辞めなければならない
ごく希業界にいながらファンであることを継続できる人がいるが、その話はまた別の機会に。
さて、「おたく」はどうか
「おたく」に対する僕個人の認識というのは「自分が生業としていることではないジャンルについてやたらと熱意があり、とても造詣が深い人たち」である。
要するに他人から見たら「仕事と関係ないこと(他人から見たらどうでもいいこと)にやたら詳しく、情熱を傾けている人」という感じだ。
この辺の「おたく」に対する見解は時代や環境で人それぞれ違いがあると思うが、自分の場合は上記である。
(「ファン」と「おたく」がごっちゃになっている人は今回の話はピンとこないかも)
そういう人がそのおたくである対象の仕事に就くとする。
この場合は、おたくであること、その豊富な知識を活かして仕事に就くことが多いと思う。
そうするとどうなるか。
僕は単純にその人は「おたくじゃなくなる」と考える。
おたくはおたくを職業にしたら、その人は「おたく」ではなく「専門家」になる
と思うんです。
わかりやすい例で言うとアイドルおたくがアイドルに詳しい事を活かしてアイドル評論家になったら、その時点でアイドルおたくではないということ。
だって評論家なんだから、アイドルに詳しいのは当たり前。
専門家がその対象に関して詳しいのは当然なことです。
「元々はアイドルおたくだったんだよ」っていうのは言い方として正しい。
でも「アイドルおたくで且つアイドル評論家」という言い方は不思議な感じがするのである。
要するに
おたくってのはプロになったらおたくじゃない!
と思うのだ。
ということで、おたくはおたくであることを活かして仕事として成立しうる。
けど、仕事にしたらおたくではなくなる。
(ただし、おたくであることに付随するファン的な行動は慎まなければならないことが多い)
なーんてことを昔から思ってたりするのである。
●追記
僕も上記の事を考えつつもその仕事をしてる人でも便宜上「おたく」と言うこともあります。
「アイドル」という言葉もそうですけど、その方が相手に伝わりやすかったりするんですよねぇ。
執筆: この記事はたかみゆきひささんのブログ『shadowcube』からご寄稿いただきました。
寄稿いただいた記事は2013年04月04日時点のものです。
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