今回は茂木健一郎さんのブログ『茂木健一郎 クオリア日記』からご寄稿いただきました。
■あいつら、ぜんぜんファッションリーダーなんかじゃないと思うよ。(脳科学者 茂木 健一郎)
ふだんテレビをほとんど見ないのだけれども、咳やくしゃみで調子が悪くて弱っていて、なんとはなしにBSをザッピングしていた。
そしたら、NHKで、フィリピンで三輪車みたいな車をつくっている人のことをやっていて、面白かった。たまに見ると、いい番組やってるね。
別の番組で、パリのファッション最新事情みたいなものをやっていて、番組自体のつくりとか、映像は良かったのだけれども、パリのファッション界自体は、なんだか「ださ!」と思ってしまった。
ぼくが見てたのは、メンズの次の秋/冬? コレクションだったのだけれども、どのブランドも、出て来るモデルが、白人で細身で長身で目が青くて髪の毛ブロンド、みたいな感じだったのである。
なんて、この人たちはダサいんだろう、と私は正直思った。
だって、パリコレとか言っても、一応、世界市場をねらっているんじゃないの? なんで、モデルが、みんな特定のエスニシティの人しか出てこないの? もっと、アフリカの人とか、アジアの人とか、中東の人とか出せばいいじゃん。だっても、世界市場で実際にそういうファッションを着てくれるのって、そういう人たちなんだから。
面白かったのが、モデルじゃなくて、ファッションをつくっているデザイナーの方は、いい感じに髪の毛黒かったり、ちんちくりんだったり、お腹出てたりして、それこそ見かけが様々で、ぼくは、実はそっちの方がかっこいいじゃん、と思ってしまった。
だって、実際にファッションをつくっているクリエイティヴな人たちは、そっちでしょ。だから、内面の充実が、外にも出るんだよ。
なんで、パリコレのブランドたちは、判で押したように、同じようなルックスのモデルばかり使うんだろう。バッカみたい。
政治的に正しいとか、そういう問題じゃ全然なくて、今のグローバル化した文化感性という視点から見て、ちょーダサイというか、こいつら何にも見えていないんだな、と思った。
美の基準が狭いというか、ダイナミック・レンジが小さいというか、ぜんぜんイケテないということが、映像から見えちゃうんだよね。
あいつら、ぜんぜんファッションリーダーなんかじゃないと思うよ。レディーガガがなぜファッションリーダーなんか、よく考えてみろよ。
執筆: この記事は茂木健一郎さんのブログ『茂木健一郎 クオリア日記』からご寄稿いただきました。
寄稿いただいた記事は2013年03月19日時点のものです。
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