いちブロガーの立場から見て「なぜ?」と感じる、国会や官公庁の慣習や仕組みについて、政治家や官僚、メディアの中の人に聞いてみる『なぞなぞ霞ヶ関』。最近では解散総選挙が年内にも実施されるのではとささやかれる日々。もし政権交代したら、重要政策とかどうなっちゃうの? というのが今回のテーマです。
民主党が政権を担うようになってから、拉致担当大臣が8回も交代しているということが一部で批判されていますが、同じように担当大臣が6人替わっているのが“新しい公共担当”。2010年、当時の鳩山由紀夫首相が施政方針演説にて国家戦略の柱として取り上げ、仙谷由人氏を担当大臣に任じました。以来、玄葉光一郎氏・蓮舫氏・岡田克也氏・中川正春氏と交代されていきました。現在は中塚一宏金融担当大臣が兼務。ちなみに他にも少子化対策担当・男女共同参画担当も兼ねているのですが、これらと金融庁の業務と関連性がまったくないのが不思議に見えるのは私だけでしょうか。
このように、大臣が頻繁に替わっているとはいえ、民主党政権の重要政策であることは確かな“新しい公共”。会見でも、中塚大臣は有識者を集めた“円卓推進会議”について「座長の金子郁容先生(慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授)とも打合せしてまた党側とも打ち合わせをしております。次回のテーマを今考えていて、近々開催したい」と述べ、「ボランティアというのはNPOだけではない。例えば町内会とか消防団とか、地域の社会福祉協議会とか、そういったものも、ある意味において歴史的には“新しい公共”というものを担ってきたと思っています。各ボランティアセクターの間の連携強化と国と地方公共団体との役割分担が、円卓推進会議での大きなテーマになっていくでしょう」と今後も引き続きこの政策を深めて進めていく意思を示しています。
とはいえ、もしも次の衆議院選挙で民主党が敗北し、政権交代してしまった際に、この政策が引き継がれるとは限りません。その場合、省庁の官僚の皆さんはどうなってしまうのでしょう? そんなわけで、“新しい公共”を担当している内閣府政策統括官経済社会システム担当に取材をしてみました。
Q:新しい公共の取り組みについて、10月の現内閣になってからの指示はあったのでしょうか。
A:現在のところ方針を決めているということはないです。
Q:仮に政権交代があったとして、政策自体がなくなってしまった場合、事務方のチームは解散してしまうのでしょうか? また、執行状況などの検証・評価はどの部署が担当するのでしょう?
A:経済社会システム担当という部署は省庁再編(2001年)で内閣府ができた時から、5年や10年といった中長期の経済財政運営についての政策を担当している部署になります。民主党政権になってからできた組織ということではありませんので、(選挙の結果関わらず)なくなるということはないです。
Q:他に、どのような政策や執行を担当しているのでしょう?
A:前原誠司国家戦略大臣の管轄のものも、経済社会システム担当が見ています。2020年までの成長戦略を描いた“日本再生計画”や財政健全化といった政策も担当しています。
つまり、長い年月をかけた政策に関しては、経済社会システム担当という部署が一手に担っている、ということが分かりました。日本の政治には長期的なビジョンがない、と言われてしまうことが多いですが、経済成長の施策や財務状態の好転といった、多岐に渡る日本経済の懸案を担当するというのは並大抵の苦労ではすまない、と思います。そんな中、“新しい公共”といった社会システムに関わることまで担当させられていることが良いのかどうか、判断がつきかねる部分もあります。
いずれにしても、政権交代があっても、少なくとも官庁サイドでは、政策課題の継続性が失われてしまう、ということがないことは確かなようです。おそらく選挙の結果がどうあれ、それほどの混乱もなく霞ヶ関は粛々と回っていくことになるのではないでしょうか。
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