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過去ログ20歳のときに知っておきたかったこと

2013/03/07 16:03 投稿

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過去ログ20歳のときに知っておきたかったこと

今回はktさんのブログ『quipped』からご寄稿いただきました。

■過去ログ20歳のときに知っておきたかったこと
就活なるもののシーズンだと聞いた。

そもそも僕はアメリカの大学を出て、アメリカで就職しているので、日本の就活に関して具体的なアドバイスは当然できない。もっと言ってしまえば、大学を出た時は一社しか受からなかったし(正確には一社受かった後、仕事を探すのをやめてしまった)、その後の転職も、一社誘いが来たら基本的にそこで転職活動終了だったので、「どうやったらたくさん内定が取れるか」「面接で好印象を与えるコツは」みたいな助言は到底できそうにない。むしろご教授願いたい立場である。

だが一応曲がりなりにも数年社会人をやってきたものとして、リクルートスーツに身を包み、どうせ読まれもしないエントリーシートを書きまくり、会社説明会からOB訪問へ奔走するシューカツ生に、いくつか伝えたいこともある。このブログの他のエントリと一緒で、基本的にムチャクチャでマユツバなので、気軽に読み流してくれればいいと思う。

それなりに読みやすいように、10の短いアドバイスにわけてみたが、本題に入る前に、メタアドバイスを。このエントリのタイトルだが、当然西のハーバード(なんだっけ)と名高いスタンフォード大学のシーリグ教授の本のタイトルをパクったものだ。パクったことは認めるが、少なくともこのタイトルに釣られて読みにきた純真無垢な就活生もいるはずだ。ということで、最初の(メタ)アドバイスは、「流行っているものは上手く利用しろ」だ。

さて本題。10項目とか長いから、まず目次。

1.大抵の大人は大抵何も知らない。

2.大抵の大人は何かに長けている。

3.なんでもいいから能動的に読め。

4.なんでもいいから能動的に書け。

5.なんでもいいから周囲を助けろ。

6.なんでもいいから助けてもらえ。

7.勉強せんでいい。何かを覚えろ。

8.英語ができると何かとラクだぞ。

9.ホントの意味でやさしくなろう。

10.今の時代の主人公は、自分だよ。

●1. 大抵の大人は大抵何も知らない。
まず最初に大人たちがひた隠しにしているシンジツを教えよう。

大抵の人間は大抵のことに関して、幼児向けプールくらいの浅い知識しか持っていない。就活をしていると色々な大人に尋問されるだろうが、慌てないで注意深く話を聞き、疑問に思ったら点を質問しよう。驚くほどテキトウな答えが返ってきたり、場合によっては答えに窮するかもしれない。

個人的な経験として、何かについてよく知っている人ほど、自身の無知をあっさり認めるものだ。もし面接中に、知ったかぶりをする面接官がいたら、その会社には行くな。君たちが受けている会社はだいたいどれも未来が暗いんだ。なにも知ったかぶりをするやつと一緒に仕事をする理由はない。

●2. 大抵の大人は何かに長けている。
さっきのアドバイスと矛盾するじゃないかと思った君は、論理的思考に欠けているから、さっさとこのウィンドウを閉じて、論理パズルの本でも読もう。

よく考えれば当たり前なのだが、何十年も生きてきている以上、みんな大人は何かはそれなりに得意なのだ。文章力だったり、チームをまとめる力だったり、アイデアが豊富だったり、よく気が利いたり。その人の長所は、大学での専攻や会社の役職と必ずしもマッチしているわけではないので、相手を注意深く観察して、彼らの長所から学ぼう。

●3. なんでもいいから能動的に読め。
ポイントは「能動的」である。字面を追って理解したところで、意識の高い連中のパーティの話題程度にしかならない。読む対象はなんでもいい?ビジネス書でも、新聞でも、ラノベでも、チラシでも?から、自分はどう思うか、どこが良くてどこが悪いか、なぜこの表現が自分の注意をひいたのかといったことを考えながら読もう。だらだら本を読むくらいなら、友達と遊んだ方が100倍有意義だ。

●4. なんでもいいから能動的に書け。
これは日本に限ったことではないが、みんな文章を書かな過ぎである。学校で書かされる文章は、権力者(先生)の顔色をうかがい、空気を読む訓練なので、まあ役に立たないわけではないが、自分の意見をきちんと文章化する訓練は、アメリカも日本も圧倒的に足りないので、君たちが自分で補うしかない。

承認欲求が大きければブログにして公開すればいいし、そうでなければ、誰にも見せない日記を書くのでもいい。いずれにせよ、読者を想定して自分の意見を書く訓練をしよう。

文章力ほど教育課程で軽視され、社会人生活で重視されるものは他にはない。

●5. なんでもいいから周囲を助けろ。
以前、@dankogaiも書いていた*1が、人生を豊かに生きる最大のヒントは、「まず助ける」だと思う。宿題を手伝うのでも、引っ越しを手伝うのでも、電話で話を聞いてあげるんでも、うちに泊めてあげるんでも何でもいい。小賢しく利害関係を考えたりせずに、自分のリソースが余っているなら、周囲の人を助けろ。

もちろん、いろいろと助けているのに、お礼もなければ、利用するだけ利用して後は知らんぷりという奴もいる。そいつらは次から無視をして構わないと思う。大して怪我をこうむらずに、相手の気質がわかったと思えばいいさ。

*1:「与えよ、されば求められん - 書評 - あなたがあたえる」 2008年07月10日 『404 Blog Not Found』
http://blog.livedoor.jp/dankogai/archives/51078135.html

●6. なんでもいいから助けてもらえ。
助けると同じくらい大事なのが、助けてもらうことだ。助けてもらうということは、自分の及ばなさを認めるということで、これができるとできないでは、人生大きく変わってくる。周りに頼りっぱなしではダメだが、助けてもらうことで、新しいことを学んだり、友情が深まったりする。自分から能動的に周囲を助けていれば、周囲は必ず助けてくれるはずだ。もしも助けてくれないんだったら、周囲の人間の質が悪いので、周囲を変えよう。

●7. 勉強せんでいい。何かを覚えろ。
日本のエリートでアメリカの大学や大学院で「お勉強」した人間が、日本の大学生は勉強しないというが、勉強に何の価値があるのかと僕はいつも思う。(ぼくは大学で数学とコンピューターサイエンスを学んだのだが、授業内容はほとんどキレイサッパリ忘れた。覚えている内容は、大抵友達の宿題を何回も手伝ったクラスや、逆に友達にたくさん手伝ってもらったクラスばかりである。ほら言ったじゃん、周りを助けて、助けてもらえって。)

大事なのは何かを覚えることだ。覚えるということは、自分の一部になるくらい深く理解し、スキルとして周囲の役に立てられることだ。プログラミングでも、デザインでも、イベントのロジでも、なんでもいい。周りの役に立てることができる「何か」を覚えよう。何かを覚えることで、「周囲を助ける」にしても、可能性がひろがる。

●8. 英語ができると何かとラクだぞ。
ぼくは意識が高いエリートではないので、英語ができなきゃダメだみたいなことは言わない。ただ、バイリンガルの人間として思うのは、英語ができると何かとラクだということだ。

よく日本人は英語ができないと言われるが、それよりも重要なのは、「日本人は自分たちが英語ができないと強く信じている」ということだ。なので、英語ができるというスキルが、異常なほどまで高く評価される。実際、自分もそれで得をしていると感じている。

英語ができたり長期の留学経験があったりすると、他の能力が2割引でも評価が高かったりすることなんてザラである。英語ができるというスキルには、まだ希少価値があるからかなと思っている(つまり人材の代えがなかなか利かない)。

なので英語は上手になろう。ネイティブにはなれないかもしれないが、いつだって上達ならできる。手前味噌だが、これ*2とかこれ*3が参考になるはずだ。

*2:「Stand By Me, Ally McBeal」 2012年09月23日 『quipped』
http://j.ktamura.com/archives/9898

*3:「10年という短期間で英語をマスターする方法」 2011年11月24日 『quipped』
http://j.ktamura.com/archives/1263

●9. ホントの意味でやさしくなろう。
一番覚えるのが難しいスキルが、「やさしくなること」だと僕は思っている。というのも、やさしさというのは、受動的なスキル、つまり「周囲がやさしさを必要とした時に、それを供給できること」だからだ。自分の気分で周りにやさしく接するのは、ホントのやさしさではない。例えば、自分の仕事が上手くいっていなくても、それを一旦横に置いておいて、午後11時に泣いて電話してきた友達の話を聞けること。例えば、猛暑で空腹でも、目の前でお婆さんが重い荷物を引いていたら、その荷物を持ってあげること。

よく、子供を持つと人はやさしくなるというが、これは多くの人にとって、初めてホントの意味でやさしくなることを迫られるからかなと憶測している(ぼくは親ではないので、あくまで憶測だが)。

「やさしさというのは根本的に受動的な概念だ」というのは、ぼくは20歳を過ぎる頃くらいまで気づきもしなかったし、今でも100%実践できているとは思わない。でも、やさしさほど生き方を左右する概念はないような気がする。

●10. 今の時代の主人公は、自分だよ。
これが一番大事なんだが、「今の若者は?」の枕詞で始まるジジイババアの意見は無視して構わない。彼らになくて君たちにあるのは未来で、未来があるということは、可能性があるということだ。これは最強の武器だ。

大体、「若者に対してどう苦言を呈したら耳を傾けてもらえるか」というレトリックの問題もロクに考えず、真っ向から今の若者を否定する連中は、どうせアホなので、話を聞くだけ時間の無駄だ。聞く価値のある大人というのは、君らを否定する前に、君たちから何が学べるのかを考えている。そういう人の話は、金を払ってでも聞きに行こう。

忘れちゃいけないのは、これからの主人公は君たちだってことだ。

ということでグッドラック!

執筆: この記事はktさんのブログ『quipped』からご寄稿いただきました。

寄稿いただいた記事は2013年03月05日時点のものです。

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