今回は電脳くらげさんのブログ『脱社畜ブログ』からご寄稿いただきました。
■会社は、社員に休暇の理由なんて尋ねるな
あなたが、有給休暇を取得しようとしているとしよう。不思議なことに、日本の会社の中には、休暇の理由を書いたり告げたりしないと休暇が取得できないというところもあるようだ。「私用のため」とだけ書いて休暇願を出したら、もっとくわしく書かないと駄目だと言われて突き返されたという酷い話も聞いたことがある。
当然のことなのだが、会社が従業員に休暇の理由を尋ねるのはナンセンスだ。有給で何をしようと、そんなの取得する人の勝手であり、会社にとやかく言われる筋合いはない。休みの日の行動まで会社に知らせなければ休みが取れないというのは、会社による領空侵犯だと僕は感じる。
こういうことをいうと、「上司としては、部下がなぜ休んでいるのかも把握しておく必要がある」とかなんとか、よくわからないことを言う人がいる。部下が休んでいる理由を知らないことで、何か仕事上の不利益が発生することが果たしてあるんだろうか。トラブル時の緊急連絡が必要なような仕事だったとしても、携帯電話の番号あたりを知っていれば十分なはずで、なぜ休むかを尋ねる必要は全くない。
また、理由を尋ねるというのは、「明確な目的が無いのに会社を休むのはおかしい」といった考えが裏にあるようで嫌な気持ちがする。「休みたいから休む」という理由で有給を使って休んだって構わないはずだ。「免許の更新」とか、「荷物受け取り」とか、「家族旅行」とか、そういった理由がないんだったら会社に来いというのは乱暴な話だと思う。有給を使うんだから、「だるい」とか「かったるい」で休んだって別に後ろめたさを感じる必要はない。
理由を尋ねることで、「こんな理由で休むのはよくないかな」と思ってしまって、有給取得が萎縮されることは十分に考えられる。有給の取得理由を会社が尋ねるのは、暗にこの効果を狙っているのではないかと邪推してしまう。
ちなみに、有給の取得について、有給の願いを上司に提出した際に、上司がその取得理由によって「却下」を決定したとしたら、それは違法行為である。会社は従業員の有給取得について、取得時期を変更してもらう時季変更権という権利を有しているが、取得の理由によってこれを行使することはできない。時季変更権が行使できるのは「事業の正常な運営を妨げる場合」(労働基準法第39条5項)に限られるが、これも「業務が忙しい」ぐらいでは該当しない。有給を取得しようとしている従業員の業務が、業務運営上必要不可欠であり、かつ代替要員を確保するために努力をしたが見つけられなかった、という極めて限定的な場合に初めて行使できる。法律上はこうなっているのだが、実際にここまで労働者に配慮しているという職場は稀だろう。上司が神様のように一方的に「許可」とか「不許可」とか言っている酷い職場が大半ではないかと思う。形骸化が甚だしい。
有給は、従業員に認められた「当然の権利」である。理由なんて関係なく、原則好きな時に堂々と取得できるような職場が増えることを祈っている。
執筆: この記事は電脳くらげさんのブログ『脱社畜ブログ』からご寄稿いただきました。
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