ホラー映画好きには実は女性が多い――。その通りすぎて、“実は”も“意外と”も必要無いくらい、もともとホラー映画は女性の為の映画なのかもしれません。そんなことを思わずにはいられないのが、映画『クソすばらしいこの世界』。
夏の公開に先駆けて、2月21日(木)~2月25日(月)まで開催中の「第23回ゆうばり国際ファンタスティック映画祭」にて初めて上映された本作は、女性監督・朝倉加葉子さんが手がけるジャパニーズ・スラッシャー・ムービー。
『ムカデ人間』の“先頭”でお馴染みの北村昭博さんも出演しているとのことで、筆者もいち早く鑑賞してきました。浮かれてる男女が次々と殺戮される、というホラーファンにとってはド直球なプロットでありながら、予想もしなかった展開に驚く作品に仕上がっています。
そもそも、『クソすばらしいこの世界』という映画は、日本人の監督が手がけ、日本人の俳優が出演していながら、オール・アメリカロケ&英語主体で作られているという点でも、オリジナリティを発揮しています。
男子と女子がグループで田舎に出掛け、しかも宿は森の中過ぎて、携帯電話は圏外でーす! ともなれば、フラグがたたないわけがない。ここで立たないフラグなんてフラグじゃないと言わんばかりの立ちっぷりなのですが、安心してください。本作は死亡フラグのオンパレード。『ジェイソン』(主にホッケーマスクを被った後の)シリーズや『ホステル』がお好きな紳士、淑女にはたまらないシュチュエーションだと思われます。
しかも、日本人の学生は“留学”という肩書きが欲しいだけに適当に学生生活を過ごす学生たち。お酒もドラッグもガンガンの輩たち。名作『息もできない』で、とてつもない演技をみせた韓国人女優のキム・コッビさん演じるアジュンは、そんな彼らに苛立ちを隠せず、「何でこんな旅に来たのだろう」と後悔をしています。
このキム・コッビという女優さんの存在が素晴らしい。ホラー・スプラッタ映画の名作には必ず、「この子だけは助かって欲しい」「この子だけには良いクライマックスを」と願うキャラクターが存在するものですが、このアジュンという役柄は、最も助かって欲しい人間だと言っても過言ではありません。
そんなアジュンの素晴らしさに魅せらているうちに、物語は意外な展開に。先ほどから、幾度となく「定番ホラーの展開を見せる」と書いていますが、そんなのは中盤まで。中盤以降は思いもしなかった事が次々と展開します。今までに観たことの無いホラー映画、という意味が段々分かってくるわけです。
終盤の演出で若干「???」な部分は感じたものの、映像美、音楽の使い方、ゴア描写、とデビュー作でここまで格好良く仕上げた朝倉監督は、今後もすごい映画を撮ってくれるんじゃないかと期待大です。
ガジェット通信では出演の北村昭博さんのインタビュー記事を公開予定ですので、そちらもお楽しみに。映画『クソすばらしいこの世界』は今夏、ポレポレ東中野にて公開。
朝倉加葉子 (asskrash) on Twitter
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(C)2013 KINGRECORDS
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