「規律ある民兵は、自由な国家の安全にとって必要である。そのため、人民が武器を保有し、また携帯する権利は、何人も侵してはならない」
これはアメリカ合衆国憲法修正第2条である。かつてアメリカがイギリスから独立する際、一般市民は銃を取って戦った。また、テキサス市民がメキシコの独裁体制から離脱するためにアラモ要塞で壮絶な戦闘を繰り広げ、全員が玉砕している。そうした歴史があるからこそ、現代でもアメリカ人は武器を手放さない。
国際的クラウドファンディングサービスにも、その影響がはっきりと表れている。
1.XM42
世界で最も規模の大きいクラウドファンディングである『Kickstarter』と『Indiegogo』。この両者の共通点は、「武器の出展を禁止している」ということだ。
ただしIndiegogoの場合は、Kickstarterよりも審査が緩やかと言われている。時として、どう考えても武器としか思えない製品がIndiegogoのキャンペーンページに登場することもある。
そのひとつが、一昨年世界中のテクノロジーメディアで話題になった『XM42』である。
これは除草・除雪などを目的としたバーナー、という名目の製品。だが、日本でも見かける除草バーナーとは訳が違う。XM42の吐き出す火炎は25フィート(約7.6m)。雑草どころか辺りの木々をことごとく焼き尽くしてしまうだろう。
よくこれがIndiegogoの運営からBANされなかったと感心してしまうが、現在は見事市場化に成功しオンライン上で注文を受け付けている。
念のために強調しておくが、これはあくまでも野外作業を目的とした家庭向け製品だ。XM42を手に取り「汚物は消毒だ〜っ!」と叫びながら人に向けてはならない。
ちなみに、以下の動画は製品のレビューである。マネキンを丸焼きにする実験も行っている。
2.s1 Pepper Spray Gun
一方、こんな製品もある。
『s1 Pepper Spray Gun』は、非致死性の護身用具である。見た目は拳銃そのままだが、実弾ではなく催涙パウダーの入った球形の玉を発射する。
圧縮CO2を用いた発射機構であるが、その他の機構は本物の拳銃と殆ど変わらない。弾丸はグリップの中にある弾倉に込める。
最大射程は150フィート(約46m)を超えるというから、かなり遠くにいる不審者に対しても容赦なく攻撃できる。決して相手を殺すことはないから、殺人罪に問われることもない。ヒャッハー!
ところがこの製品、一昨年Indiegogoに出展したがキャンペーン半ばで運営にBANされてしまった。火炎放射器はよくて催涙拳銃はダメ。一体その基準は何なんだ?
だが開発者は決してめげることなく、自社サイトでの寄付を展開した。その甲斐あり、現在は製品化にこぎつけている。
3.iPTS
最後にご紹介するのは、トレーニング用品である。
何のトレーニングかって? 銃撃戦のトレーニングに決まってるだろう!
『iPTS』は、低コストかつ安全な拳銃射撃の練習を可能にするシステムである。この製品の主軸である模擬拳銃『iPTS1700』は、スマートフォンと連携し様々なデータを算出してくれる。
「様々なデータ」とは、射撃のスコアや早打ちの秒数、射撃間隔、残り弾数などである。しかも模擬拳銃にも関わらず、発射音やリコイルも再現するという。
拡張レイルを備えているから、電子サイトの搭載も可能。より実戦に近づけたトレーニングを、自宅にいながらにして積むことができる。日頃からiPTSを利用すれば、乱射事件に巻き込まれた時も即座に「対応」できるだろう。
全米ライフル協会のウェイン・ラピエール副会長の言葉を借りれば、「悪人の銃に対抗できるのは善人の銃のみ」なのだ。
【画像・動画】
XM42[リンク]
Salt Spply[リンク]
Interactive Pistol Training System[リンク]
XM42 Flamethrower Review-YouTube[リンク]
The s1 Pepper Spray Gun Test by The Modern Rogue-YouTube[リンク]
―― 見たことのないものを見に行こう 『ガジェット通信』
(執筆者: 澤田 真一) ※あなたもガジェット通信で文章を執筆してみませんか
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