洋の東西を問わず、社会から否定的に扱われてきた感のあるちょっと太めの女性達。渡辺直美を筆頭とする女性芸人達の好感度もあってか、日本では「ぽっちゃり女子」という名称が一般的になりました。『ラ・ファーファ』といった雑誌や渡辺直美がプロデュースする『PUNYUS(プニュズ)』というアパレルブランドまで登場しています。
海の向こうアメリカでは「プラスサイズ」という呼称が一般的です。高カロリーなアメリカの食習慣が影響してか、プラスサイズの女性が日本よりはるかに多いのがアメリカの一面だったりします。ビジネスとしての注目度も高まってきていて、今年の3月には『ナイキ(NIKE)』が北米・西欧市場向けにプラスサイズコレクションを発表しています。また、朝日新聞デジタルによれば、ワコールのプラスサイズ女性向けブランド『Elomi(エロミ)』は「海外で売上高を伸ばしている」とのこと。
2014年にメーガン・トレイナー(Meghan Trainor)がプラスサイズであることを肯定的に歌った『オール・アバウト・ザット・ベース(All About That Bass)』が大ヒットしたことがきっかけかどうか定かではありませんが、アメリカでも最近プラスサイズの女性達の活躍が目立ちます。
Meghan Trainor – All About That Bass(YouTube)
https://youtu.be/-Ok6n_Cjmac
トップモデルしか表紙を飾ることが許されないことで知られる雑誌『スポーツ・イラストレイテッド(Sports Illustrated)』が毎年発売する大人気の水着特集号。これまでにもケイト・アプトン(Kate Upton)や、元NYヤンキースのデレク・ジーターと結婚したハンナ・デイヴィス(Hannah Davis)などが表紙を飾ってきました。2016年の水着特集号で表紙を飾り、一躍時の人となったアシュリー・グラハム(Ashley Graham)はプラスサイズ女性のトップランナーの一人でしょう。
アシュリーは2016年秋にはプラスサイズのアパレルブランド、『レーンブライアント(Lane Bryant)』の#ThisBody Is Made to Shineというキャンペーンのプロモーション動画で映画『プレシャス』の主演女優ガボレイ・シディベ(Gabourey Sidibe)や俳優のアンディ・ガルシアの娘アレッサンドラ・ガルシア(Alessandra Garcia)などと共演しました。#ThisBodyと名付けられたキャンペーンはプラスサイズの女性達へのポジティブメッセージで構成されています。「スポーツ・イラストレイテッドを台無しにした」と自分に対して投げかけられたSNSの否定的なコメントに対して「私から見るとより良い雑誌になっただけ」という彼女の絶妙な切り返しのコメントの影響もあってか、再生回数が600万回を超えるなど話題となりました。
#ThisBody Is Made to Shine | Lane Bryant Fall 2016(YouTube)
https://youtu.be/Z5wpn1QwOmQ
ユニークな動画プロモーションに定評のあるユニリーバのブランド『ダブ(Dove)』の『リアルビューティー・キャンペーン』シリーズの新作動画もプラスサイズの女性にフォーカスしています。登場するのはFat Girls Danceというダンスユニットを率いるキャスリーン・メレディス(Cathleen Meredith)。300万回以上の再生回数はプラスサイズの女性達に対する注目度の表れでしょう。
Dove | Real Beauty Productions | Meet Cathleen(YouTube)
https://youtu.be/-owM4crSd4Q
2017年に入り最も注目されているプラスサイズのアメリカ人女性の一人がアキラ・アームストロング(Akira Armstrong)です。彼女は、ビヨンセの『Get Me Bodied』『Green Light』のプロモーションビデオや『アメリカズ・ゴット・タレント』のシーズン10にも出演したダンサーです。同時にPretty Big Movementというプラスサイズの女性ダンサー達のエンターテイメント企業の経営者という顔も持っています。「Pretty Big Movementはダンサーのステレオタイプを破壊している(”Pretty Big Movement” is Destroying Dancer Stereotypes)」というタイトルの動画の公開以降、『ピープル』『Vibe』『Essence』などの大手メディアに取り上げられるなど注目度が一気に上がっています。
“Pretty Big Movement” is Destroying Dancer Stereotypes | The Scene(YouTube)
https://youtu.be/7Qb1c0nRQgE
今年の2月には前述した『レーンブライアント(Lane Bryant)』の#ThisBodyキャンペーンにシンガーのリゾ(Lizzo)、詩人のアシュリー・ヘイズ(Ashlee Haze)と共演しています。#ThisBodyキャンペーンの公式サイトで彼女は「ダンサーとして、判で押したようなダンサーの体型じゃないということには滅入ることもあります。(典型的なダンサー体型ではなく)もっと普通の体型の女性達を見ることも必要でしょう。Pretty BIG Movementはまさにそのためにあります」というメッセージを寄せています。
Lizzo, Ashlee Haze and Pretty Big Movement | Inspired by #ThisBody(YouTube)
https://youtu.be/XtXYKMAK1U4
芸人とダンサーと職業こそ違えど、渡辺直美とアキラにはいくつか共通点があります。プラスサイズ、女性、才能、台湾系とアフリカ系というマイノリティーであること、ビヨンセとのからみ、社会的に注目されているアイコン的存在などが共通項でしょうか。アキラという日本人にもなじみのある名前の彼女が欧米でも、渡辺直美的活躍をすることができるのかどうか、引き続き注目していきたいと思います。現在、アキラの生の声を聞くべく取材を申し込んであるので、後日そちらのほうもお伝えできるかもしれません。
※画像:
http://www.prettybigmovement.com/ceofounder.html
https://www.youtube.com/watch?v=Z5wpn1QwOmQ
https://www.youtube.com/watch?v=7Qb1c0nRQgE
※ソース:
http://thisbody.com/
http://news.nike.com/news/the-nike-plus-size-collection
http://www.asahi.com/articles/ASK5B4V6DK5BPLFA00B.html
http://www.vibe.com/2017/01/pretty-big-movement-dancers/
http://people.com/bodies/beyonce-backup-dancer-dance-company-curvy-women/
http://www.essence.com/entertainment/pretty-big-movement-akira-armstrong
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