●『日経トレンディDigital』ってどんなアプリ?
『日経トレンディDigital』は、「日経BP社が発行する月刊誌『日経トレンディ』を、スマートフォン向けに仕立て直したデジタル月刊誌」(App Storeの紹介文より)。本格的に購読するにはアプリ内購読メニューから購読を申し込む必要があるが、一部無料で読める記事もある。単なる「雑誌をスマホで見れるようにしたもの」ではなく、スマホ用にイチからレイアウトしてある。評価時バージョンは1.0.2。無料。
●アプリURL
http://itunes.apple.com/jp/app/id548590869?mt=8
●ひとことコメント
「Webでいろいろ読むようになってしまった僕らは、いろんなものをフラットにして見るようになってしまったので、本文なのかとかコラムなのかとか、気にしなくなってしまった」
レビュアはぎ:IT業界をひっそりただよう39歳。こないだタモリ倶楽部に出演したことが密かな自慢。
ねり:将来はガンダムパイロットになりたい女子大生。そろそろ就活について考えないと、なお年頃。
はぎ:『日経トレンディ』という雑誌がありまして、僕はたまにここのPodcast聞いてるのね。こないだその中で『日経トレンディDigital』という『日経トレンディ』をiPhoneやiPad用にレイアウトなどを最適化したアプリの紹介があったので、試しにダウンロードして使ってみたんだよね。
ねり:『日経トレンディ』ってアプリも出してたんですね!
はぎ:そうそう。
ねり:どうでした?
はぎ:なんか使いにくかったんで『Twitter』で「『日経トレンディDigital』使いにくい。たぶん作り手の思いが反映されすぎてる」って書いたんだよ。そしたら編集部の人からリプライがあって、アプリ改良の参考にしたいから、よかったら詳しい感想が欲しいと。なので、だったらせっかくだしキミにも触ってもらって、はねプリで書けば良いかなと。
ねり:わっ、なるほどなるほど! 一石二鳥ですね。
はぎ:かどうかはわからないけど(笑)。じゃ、触ってみて。
ねり:わかりました!
――数時間後――
はぎ:どうだった? まず、ざっくりとした全体的な印象は?
ねり:第一印象は「文字がでかい!」でした(笑)。
はぎ:ああ、たしかに(笑)。しかもサイズを変更できない。ま、僕はそれは良いかなと思ったけどね。他にはどうでしょう?
ねり:ライブラリからいま配信されているものをダウンロードしてみたんですが、どう読み進めていけばいいか最初わからなくって。
はぎ:ちょっと独特な作りだからね。
ねり:トップは縦スクロールで特集が上から下にそれぞれメニューになっているのに、それぞれの特集に入るといきなり横スクロールになる。横にスクロールできるのに気付くのに時間がかかってしまいました(笑)。
はぎ:ひとつの記事は縦に長く短冊みたいな形になってて、各記事を横フリックで選ぶのが、慣れないと戸惑うかもね。
ねり:そう、そうなんです。
はぎ:僕は、Podcastを聞いてたんで、そのあたりの作りが独特なのは知ってたんだけど。
ねり:ああっ、そうなんですか……!
はぎ:うん。たしか目次にもアプリの使い方のコツが載ってたりするよ。
ねり:目次の一番下にあったんですね……。気付きませんでした。あと、自分がいまどのあたりを読んでいるのか把握できなくって。
はぎ:うん、それは僕も思った。電子書籍って全体的にそうだけど、全体のボリューム感がわからないから、すごく迷子になりやすいよね。
ねり:そうなんです。目次をみればいま自分がみている記事が青く表示されているのですが、読み進めているとき不安になってしまいました。
はぎ:以前電子書籍アワードの話をしたとき(第8回)に取り上げた『神様のカルテ』はそのあたりうまく処理してたけど、雑誌と書籍ではまたやり方も違うしなあ。
ねり:『神様のカルテ』はうまかったですね。
はぎ:『R25』とかはさ、なんかそのあたり吹っきれてる感じあるよね。
ねり:はい(笑)。
はぎ:いっそメニューがランダムで表示されてもいいじゃんと。どうせ全部読まないんでしょ? みたいな。
ねり:それも素敵です(笑)。ひょっとしたら、どの位置がよくタップされるか統計とか取ってるかもしれないですけど。
はぎ:で、僕は改めて「なんで自分が使いにくいと思ったのか」、「なんで“作り手の思いが反映されすぎてる”と思ったのか」、そのあたりを中心に再度触ってみた。で、結論として、一番大きいのは、画像の扱いだと思った。
ねり:画像の扱い、ですか?
はぎ:たぶん写真をちゃんと見せたいってことなんだと思うんだけど、写真をタップするとポップアップのような感じで、画像だけの画面に切り替わるのね。画像の拡大なんかはその画面で行う。でも、いちいち画像用の画面が立ち上がっちゃうのもウザいし、わりとどうでもいい画像を間違ってタップしたときも別画面が立ち上がっちゃうし、そしてその画面を閉じるには左上の“閉じる”ボタンをタップしないといけないし。結構何回も、特に見るつもりのない画像を拡大してしまって、画像の再タップで閉じるかと思いきや閉じなくて、「ああもう」となりながらイライラしたりした。
ねり:そうなんですよね。記事の背景色にあわせて透過している画像も、ポップアップしたときは背景が黒で表示されるんで、なんだかよくわからない画像になったりしてしまいました。
はぎ:「どれが画像かよくわからない」は、わりと大きな問題かもね。
ねり:どれもこれもタッチできなくてもいいんじゃ、と。
はぎ:そうそう。表組みも画像だったりするしね。で、別画面で表示された画像の解像度もそんなに高くなかったりして、珍しくちゃんと意図を持ってタップしたロシアの10代女性のコスプレの画像が拡大してみたらちょう粗かったという……。
ねり:ゆゆしき問題ですね(笑)。
はぎ:画像に関していうと、iPad版は本文記事の左にいろんな画像が並ぶんだけど、その画像が何の画像かよくわかんなくて気持ち悪い。本文とつながりある画像なんだろうけど、どうつながりあるか明確じゃないというか。
ねり:それはちょっと「ん?」ってなりますね。
はぎ:もひとつ、作り手の思いとのズレっぽいことでいうと、「本文ここまで」とか「記事ここまで」とかあるんだけど、それが何のことやら、と。
ねり:ありますね、これで特集終わるんだなって思いながら横にフリックしたら続いてて、「その情報いらない!」ってなりました。
はぎ:想像するに、紙の本誌では「本文ここまで」以外はカコミ記事になってたりするんだろうと思うんだが、そんなのオレ関係ないし。
ねり:わかります(笑)。
はぎ:たぶん、こちらが思ってる情報の分け方と、編集者が思ってる情報の分け方の、粒度が違うんだと思うのよね。僕も昔編集者だったから、なんとなくわかるんだけど、Webでいろいろ読むようになってしまった僕らは、いろんなものをフラットにして見るようになってしまったので、本文なのかとかコラムなのかとか、気にしなくなってしまったというかね。
ねり:そうですね、この小さな画面の中で、全体像が把握できないままそれを言われても、と思ってしまいました。
はぎ:でも、読む能力の高い編集者たちは、僕らがバカになったことに気付いていないのではないか、みたいなね。ちょっと極端な言い方をあえてすると、だけど。
ねり:あー。
はぎ:とはいえ、やっぱり文章は読みやすいし、情報量もたくさんあるしね(ありすぎかもしれないけど)。たまに使う『マガストア』と違って目次が細かいのもいい。今回挙げた“気になる部分”もきっとそのうち直るような気がするから、とりあえず3ヶ月購読を契約してみたよ。記事ごとに買えるともっと良いけどねえ。
ねり:そうなんですね! わたしもとりあえず1か月とか買ってみようかなあ……。
はぎ:★★★☆☆ 今後に期待。ねり:★★★☆☆ 良いところも悪いところも多いかも。
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