アカデミー賞が2009年の映画『ダークナイト』を冷遇して以来、映画芸術科学アカデミーは、より商業的なタイトルが盛り込めることを期待して、作品賞レースの候補を最大10枠までに広げた。しかし、コミックを原作とする実写映画が作品賞にノミネートされたことは一度もない。
今週の本紙ヴァラエティの特集記事の中で、映画『デッドプール』に出演したライアン・レイノルズは、映画『ローガン』が公開されればその状況は一変すると予測した。今春に公開される、『ウルヴァリン』シリーズの待望の完結編だ。ジェームズ・マンゴールド監督(映画『ウォーク・ザ・ライン/君につづく道』)によるR指定の本作は、ジャンル分けするとすれば、真っ当なアクション映画とは対照的な、キャラクター描写に長けた作品だという。
レイノルズは「『ローガン』は目に見えぬ壁を打ち破ってくれるかもしれない作品だ。素晴らしい作品であることはよく分かる。部分的に鑑賞したから。極めて刺激的だった。キャラクターを大いに信頼した作品だ」と、本紙ヴァラエティに語った。
確かに、今月発表される最優秀作品賞のノミネートに『デッドプール』をサプライズ選出することで、アカデミーが歴史を作る小さな可能性はある。この考えを一蹴する前に、次のことを記憶にとどめてほしい。今年は例年より競争が激しくないうえ、昨年春に公開された同作は全世界で7億8300万ドルの興行収入を記録しているのだ。
ハリウッドが愛していることが1つあるとすれば、それは負け犬の物語だ。赤いコスチュームをまとったアンチヒーローのために、なぜ米20世紀FOXがオスカーに向けて思いも寄らないキャンペーンを続けているか、それで説明がつくだろう。
2009年の映画『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』でレイノルズと共演したヒュー・ジャックマンは、アカデミー賞に向けて『デッドプール』を支持する1人だ。ジャックマンは、「私がアカデミー賞の司会を務めた時、『ダークナイト』はノミネートされず、皆がそのことを話題にしていた。不正行為だと言う人もいた。我々は映画を製作できるだけで幸せだが、ライアンのような人物が認められれば、非常に嬉しく思う」と本紙ヴァラエティに語り、続けて「多額の予算をかけた映画やコミックブックを原作とした映画が、オスカーを獲得するのは簡単ではない」と述べた。
レイノルズがデッドプールの役を演じたときの経験や、スクリーン上でウルヴァリンと再共演することについての思いは、今週のカバーストーリーで明らかになっている。