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12月4日に開催されたM-1グランプリ2016で、関西実力派コンビ三つ巴となったファイナルステージを制して芸歴11年目の銀シャリが第12代王者となった。

どのコンビが勝ってもおかしくない、大接戦となったファイナルステージでの判定には、ネット上では「一番勢いがあったのはスーパーマラドーナだ」「いや、和牛の方が面白かった」などの異論も上がっていた。確かに、筆者もオンエアを観ていて、最後のネタだけで見れば銀シャリではないのでは?という疑問も浮かんだが、今回は別段M-1の審査批判記事ではない。

僅差で効力を発揮する先輩芸人との距離感

大阪を拠点に活動する銀シャリは大物関西芸人との付き合いも長く、とても評判がいい。番組の中で上沼恵美子が「可愛がっている芸人」と言及したように、銀シャリの2人は礼儀正しく付き合いも良く、しかしあからさまな太鼓持ちではないため、先輩芸人たちからは誰からも気に入られている存在だ。大阪勢3組の混戦となり、どのコンビも甲乙つけがたい、となった時にやはり物を言うのは日ごろの先輩付き合いだな、と痛感した一幕だった。

それは、”癒着”や”えこひいき”とは少し違う。もしも、あの場で他のコンビが圧倒的に面白かったならば、銀シャリは選ばれなかっただろう。しかし、審査員全員が頭を抱えてしまうぐらいの接戦になった時、人間の心理としてどうしても、これまでの印象や頑張りが総合的に影響を及ぼす。審査員の中に同じ大阪芸人の大先輩である、オール巨人と上沼恵美子がいたことも大きかっただろう。

ビジネスシーンでも鍵を握る先輩の引き立て

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筆者がある大手出版社に新人で入社した時に、先輩から言われた衝撃の言葉がある、それは「長いものに巻かれに行け」。力のある人間には仕方ないから従おうではない、「自ら積極的にくっ付いていけ」というアドバイスなのだ。若い頃は「ふざけるなバカバカしい・・・」と思っていたが、ある程度年次を重ねてくると、その効力が分かってくる。

日本型組織の多くは、まだまだ年功序列の上下社会。先輩が後輩を査定し、後継指名するシステムが脈々と受け継がれている。そこである程度抜け出すことは可能だが、上位チームの中からズバ抜けて突出することは難しい。つまり、往々にして、今回のM-1のような横一線の中から、先輩に名前を上げてもらうことでしか上に行けない状況が起こる。”実力主義”という言葉が流行りだが、スポーツのように分かりやすく実力を数値化できない以上、俗人的な要素が多分に影響するのはやむを得ないと思っていた方が良いだろう。

正直、自分があまり上の覚えめでたい人間ではないからかもしれないが、今年のM-1を見ていて“先輩付き合い”も実力のうちなのかもしれない、と改めて考えてしまった。

画像出典:M-1グランプリ2016ホームページ / 足成

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(執筆者: 荏谷美幸) ※あなたもガジェット通信で文章を執筆してみませんか

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