こんにちは、マガジンハウスです。今日は私、大好きな街・原宿に来ています☆ 原宿といえば、今や世界的なカルチャー発信タウン。そしてその中心にあるのが、ここ『アソビシステム』でしょう。きゃりーぱみゅぱみゅさんや中田ヤスタカさん、ゆうたろうさんや多くの青文字系モデルが所属する事務所でありつつ、日本のポップカルチャーを海外に向けて紹介する「もしもしニッポンプロジェクト」なども手掛けるユニークな会社『アソビシステム』の社長・中川悠介さんってどんな人なんでしょう? 今回、中川さんが初の著書を書かれたとのことで、お忙しい中、少しでもお話を伺わせてもらおうと押しかけちゃいました!
―――初めまして。昨日、できたての著書を読ませていただきましたが、これは…ビジネス本なんですかね。というのも、ビジネス書によくある、「●●すべし」的な指南もないし、中川さんの成功譚というわけでもない。
N 「そうですね、経営とは、仕事とは、みたいに堅苦しいことではなく、35歳の今の自分が考えていること、仕事で大事にしていることを書き記したという感じでしょうか」
―――いわゆる形式ばらないというのは、アソビシステムの社風というか経営スタイルにも通じますよね。本書にもあった、‟横割りの発想”は、目からウロコが落ちました。業界や既存のカテゴライズで分けるのではなく、横軸で考えると。
N 「ひとつのジャンルだけを提供するのではなく、ライフスタイル全般を提案しようって考え方ですね。うちの作るものが好きな子は、こんな店が好きだろう、こういったイベントに行きたいだろうって。常にそんな‟横串”の発想でやってきました。そうしたら、芸能マネジメントだけじゃなく、イベントやアパレル、飲食など色んなことをやる会社になったというわけで」
―――わかります! だから、アソビシステムが次々出してくるものはどれもストライクだという、会社そのもののファンがたくさんいるんですよね。でも、そんな色んなことやって忙しそうな御社ですが、始業は早いんですね。
N 「そうですね、だいたい朝10時にはみんな働いています。僕はもっと早い」
―――いわゆる‟業界”にしては朝型シフトですが、そうなったきっかけはあるんですか?
N 「具体的な出来事というのはないんですが、朝でも電話はかかってきますし、それこそ色んな仕事をしているので、相手がみんな夜型ではないですし」
―――本書にも、「会社の説明を一言で求められると困る」というようなことが書かれていましたが、経営スタイル同様、就業スタイルもあまり決め込まないんですね。社訓というのはあるんですか?
N 「ないですねえ。僕自身が、何事もひとつの言葉では語れないと思っているので。それよりも、感覚や感性を大切にしたいです」
―――そう、感覚! 本書にもありましたが、まだ高校生だったきゃりーぱみゅぱみゅさんに声をかけたのも、「感覚的な」ものだったそうですね。中川さんの仕事のやり方は、マーケティングとかデータ主義とは対極にあるように思えました。
N 「もちろん、経営者としてはマーケティングもしますし、データも参考にはしますよ。でも、それよりも人にたくさん会って、たくさん話をするほうが大事だとは思っています。何より僕は人と会ってしゃべるのが大好きなので(笑)」
―――セオリーやロジックは邪魔、とも書いていましたが(笑)。
N 「そうですね(笑)。だってそれが本当に正しい答えなら、その通りにしていればみんな成功するはずなのに、現実はそうじゃないですよね。誰もが同じ結果になる、そんな教科書はどこにもないですから」
―――あまり分析するのはお好きじゃないと?
N 「ええ。決め込まず考えすぎず、なんとなく、フワッと。その瞬間その瞬間の感覚を大事にしています」
原宿カルチャーの生みの親でもある中川さん。なぜ、渋谷ではなく原宿だったのか? その理由も本書で語られています。
―――中川さんは学生時代からイベントを運営されていて、その延長線上に現在のアソビシステムがある。当時の経験は今も活かされているわけですが、元々イベントを開こうと思ったきっかけは?
N 「高校のころからイベントが大好きだったんです。大学に入って実際に自分で運営もするようになって、一層その面白さに目覚めました。そのころから、当時の主流だった音楽ジャンルで区切るクラブイベントではなく、<美容師ナイト>とか、ファッションショーとか、なんでもありのイベントをやっていましたね」
―――それが今は仕事になりましたが、スタンスは変わりましたか?
N 「いや、今でもイベントは大好きで、よく顔を出しますよ」
―――え、そうなんですか。顔が割れちゃって面倒じゃないですか? 「あ、アソビシステムの中川社長じゃん!」って。
N 「そんなことないですよ(笑)。とにかく人が集まるところが好きですし、現場に行くことが大事だと思っているので、所属のアーティストがライブをやるなら観にも行きます。それに、領収書をもらう時、『宛名はアソビシステムで』って言っても、わかってもらえないんですよね。会社の知名度もまだまだですよ(笑)」
―――それ言ったらマガジンハウスもまだまだですよ、「少年マガジンのマガジンです」なんて説明したりしますから! それはさておき、きゃりーぱみゅぱみゅさんや三戸なつめさん、ゆうたろうさんなど、今をときめくインフルエンサーが多く所属しているアソビシステムですが、スカウトは主にSNSだとか。
N 「そうですね。今は一般でも、フォロワー数も影響力も持ってる子がたくさんいるので、そういった子たちから見つけます。そして東京に限らず、地方の子でもそうやって自己発信できる時代なんです」
―――地方といえば、アソビシステムは福岡にも拠点がありますよね。福岡は何が面白いですか?
N 「アソビシステムの福岡支社もある、(福岡市中央区の)大名って街が面白いですね。勢いがあって、面白いものがいっぱいある」
―――中川さんの原点でもある原宿のような?
N 「はい、原宿みたいな楽しさがあって、これからますます注目されると思います」
―――あの、奇しくも福岡場所開催中の今、最後に相撲好きとしては是非聞いておきたいのですが、表紙の写真…。
N 「ああ(笑)。これはうちの会社の年賀状なんですよ、2015年の。今年のはガンマンの格好で撮りました。本当は乗り気じゃなかったんだけど…(笑)」
―――乗り気じゃなかったんですか(笑)。でも確かに中川さんって、お会いするととても真面目で、チャラチャラしてたりウェーイな感じはまったくないですよね。会社も、IT系に多いピッカピカなオフィスじゃなくて、温かみのある雰囲気で」
N 「もっとチャラい奴だと思ってた、とはよく言われますね。おとなしいもんですよ(笑)」
―――とはいえ、この表紙写真はすっごく素敵だと思います! ちなみに来年はどんな写真を?
N 「それがまだ撮ってないんですよ。そろそろ撮らないとマズイですね」
―――すごく楽しみです。中川社長、今日はありがとうございました!
原宿のアソビシステム本社前にて。(写真・千葉諭)
今週の推し本
『#アソビ主義』
中川悠介 編
ページ数:240頁
ISBN:9784838728695
定価:1,404円 (税込)
発売:2016.11.17
ジャンル:ビジネス
[http://magazineworld.jp/books/paper/2869/]
コメント
コメントを書く